製品情報
DENON
AVC-2870
¥100,000(税抜)
ピュアな再生能力を有するバランスのとれた中価格帯機
ビジュアルグランプリ2004 ≪AVアンプ部門≫受賞モデル
オーディオ銘機賞2004 ≪マルチチャンネルアンプ部門≫受賞モデル
【SPEC】●定格出力:135W×7 ●実用最大出力:150W×7 ●映像入出力端子:コンポジット入力×7、同出力×3、S入力×7、同出力×3、D4入力×2、同出力×1 ●音声入出力端子:アナログ(LR)入力×11、同出力×3、アナログ5.1ch入力×1、同出力×1、光入力×4、同出力×1、同軸デジタル入力×2 ●消費電力:235W(スタンバイ時1W未満) ●外形寸法:434W×171H×416Dmm ●質量:13.0kg ●問合せ先:(株)デノン 03-3837-8915
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
7チャンネルのパワーアンプ搭載をはじめ、魅力を満載
本機の最大の特徴は、この価格で7チャンネルのパワーアンプを搭載したことだ。THXの認証は得ていないものの、サラウンドバック用に2チャンネルを装備したのである。その全チャンネルが同一クオリティであり、帯域保証で各チャンネル90W(8Ω)というから立派だ。音声デコーダーに、32ビット浮動小数点演算の高級なDSPを使用しているのも注目点。アナログデバイセズの「ハンマーヘッド・SHARC」である。上位機と同じ処理能力にゆとりのあるデバイスを搭載できるのは、シリーズ機の力だろう。トーンコントロールをパスする「ダイレクト」や、音の再生に不要な系統の電源を切る「ピュアダイレクト」などの高音質モードを受け継いでいるのも上位機ゆずり。また、実使用時間のS/Nを改善する可変ゲインボリュームも採用。たしかに高品位、高純度志向モデルらしい。
コンポーネント映像のセレクト機能はD端子のみだが、そこからメニューのオンスクリーン表示が可能というのは便利だ。それにスピーカー端子が横一列配置になっていて結線しやすいのも、隠れた利点だ。ピュアダイレクトで聴くCDの鮮度が印象深い。ホールトーンを重視したオーケストラのライヴ録音だと、余韻と直接音の分離が曖昧になりがちだが、それがしっかり描き分けられるし、音像がただの線画ではなく陰影がともなっている。これはたしかにオーディオアンプとして磨き上げられた音だ。この鮮度志向は「フォッシー」の5.1ch音声でも同様。肉声感とリバーブレーターで作られた余韻の対比とつながりがしっかり伝わるのだ。映画の台詞の歯切れ良さと音場の充実感はさすがだ。このブランドに一貫するピュア志向の設計を受け継いだ価格対性能比の高いモデルだ。情報量は多いものの迫力志向というわけではなく、また低域の量感はあるが制動力とのバランスを求める傾向ということに注意したい。これはこの価格帯共通の課題でありスピーカー選びの条件にもなる。中規模システムで純度を優先する人は注目したい。
(text:吉田伊織)