製品情報
PIONEER
VSA-AX3-N
¥100,000(税抜)
発売:2003年10月中旬発売
このモデルは生産を完了しています
自動音場補正MCACCを搭載した普及価格帯エントリーモデル
ビジュアルグランプリ2004 ≪AVアンプ部門賞≫受賞モデル
微小信号までリアルに生成する再現力。高性能A.D.E. MOS FETを7chすべてに搭載
【SPEC】●実用最大出力(JEITA、8Ω、サラウンド時):130W/ch(フロント2ch、センター1ch、サラウンド2ch、サラウンドバック2ch) ●周波数特性:5Hz〜100kHz(+0dB、-3dB) ●全高調歪率(2ch):0.09%(20Hz〜20kHz、100W、8Ω) ●SR入出力:各1系統 ●ACアウトレット:1系統(連動) ●外形寸法:420W×188H×464Dmm ●質量:18.3kg ●消費電力:440W ●待機電力:0.8W
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
THXセレクト認定のエントリーモデル
10万円以下の普及クラスで強力なフィーチャーを持つAVアンプである。THXセレクト認定の7ch構成。出力は定格で100W/ch/8Ωとハイパワーを誇る。付属マイクロフォンによってスピーカーの設定が自動的にできるオートMCACCを搭載し、英国AIRスタジオによるサウンド・チューニングを実現することが可能。またオンスクリーンがコンポーネント端子からも出力されるようになった。
シャーシは定評ある3次元スペース・フレームによる剛体構造。トランスにはバイファイラー巻きを採用し、トランススタビライザーも装備している。DTS96/24やEX/ESを始め対応フォーマットも多彩。マルチch入力も備えている。
暴れがなくややおとなしい音調だが、S/Nのいい静かな再現性が魅力である。ジャズはひっそりと出てくる感触だ。背景ノイズの低いことがよけいそう感じさせるのかもしれない。
ピアノもウッドベースもホールの余韻が実音になじんで不自然さがなく、音場の響きを実感させる。両端での押し出しは控えめだ。フロア型スピーカーではさらに制動をかけたいところだが、音色にくせがなく素直な質感が何よりだ。ボーイソプラノは力感に不足がなく、透明感の高いハーモニーが滲みなく出ている。声の質感が余裕をもって描かれている印象だ。透き通った音調だが厚みがあり、痩せることがない。オーケストラはしっかりした解像度で伸びやかな再現を見せる。鮮度が高くバランスの整った鳴り方である。
映画はセリフや身辺音がくっきりした輪郭線を持つ。「ハリー・ポッターと賢者の石」では声の感触が明瞭で明るい出方である。さらに陰影があってもいいように思うが、音数も豊富で情景が生き生きとしている。やや小振りだが密度の高い空間再現と言っていい。また「ロード・オブ・ザ・リング〜旅の仲間」では自然空間の感触が色濃く描かれている。セリフの輪郭線は太く、腰の強いタッチだ。地下空間の響きも遠くまで見通しが利き、効果音を緻密に分解する。ダイナミックな描き方だ。
自動音場補正は初心者の多い普及モデルにこそ相応しい。この価格帯でオートMCACCを搭載したのは快挙である。コンポーネント出力からのOSDなど操作性での改善も大きい。音質面ではS/Nの高さが基調になり、素直で無理のない再現性を得ている。タワー型やサテライトなどのスピーカーを組み合わせるのに恰好だ。
(text:井上千岳)