製品情報
PIONEER
VSA-AX2AV
¥137,000(税抜)
【SPEC】●実用最大出力(JEITA、6Ω、サラウンド時):200W/ch(フロント2ch、センター1ch、サラウンド2ch、サラウンドバック2ch) ●周波数特性:5Hz〜100kHz(+0dB、-3dB) ●全高調歪率:0.09%(20Hz〜20kHz、150W、6Ω) ●入力端子:同軸デジタル 2系統、光デジタル 5系統、オーディオ入力 4系統、7.1ch入力 1系統、ビデオ入力 7系統、Sビデオ入力 4系統、コンポーネントビデオ 3系統、D4ビデオ 2系統、HDMI入力 2系統 ●出力端子:プリアウト 1系統、光デジタル 1系統、オーディオ出力 1系統、ビデオ出力 3系統、Sビデオ出力 3系統、コンポーネントビデオ出力 1系統、D4ビデオ出力 1系統、HDMI出力 1系統、マルチルーム AV1系統、スピーカー出力 2系統 ●その他:SR入出力 1系統、RS-232C 1系統 ●消費電力:380W ●外形寸法:420W×188H×464Dmm ●質量:15.4kg
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
「VSA-AX4AVi」「VSA-AX2AV」は、数々の先進技術の投入によって、パイオニアの目指す理想的なマルチチャンネルオーディオの具現化を目指したAVアンプだ。
まずは機能面をチェックして行こう。
おなじみの自動音場補正システム「Advanced MCACC」は、入門層から上級者まで、全てのユーザーにとってありがたい機能だろう。マルチチャンネルシステムの補正に利用する数多くの設定項目の意味を一般ユーザーが全て把握して設定する必要があるというのは、現実的ではない。設定の簡易化のみならず設定の最適化のためにも、自動音場補正の搭載と精度向上は、AVアンプの必須条件だ。
「Advanced MCACC」は他の自動音場補正と比較して設定に要する時間が長い傾向にあるが(5〜6分ほど)、そのぶん、より詳細な計測と高精度な補正が行われていると期待できる。
その他、音質に関わる面では、室内定在波の影響を軽減する定在波コントロール技術、各チャンネル間で生じる低音の位相ずれを解消するフェイズコントロール技術などが目新しい。いずれも、マルチチャンネル環境で発生していた問題を解消し、本来の音をよりクリアに再現するための技術だ。
接続関係を見ると、アナログ入力をデジタル変換してHDMIから出力する「デジタル・ビデオ・コンバーター」が便利そうだ。既存のアナログ出力機器とディスプレイの接続を、本機を介することでシンプルにまとめることができる。
また、「VSA-AX4AVi」にはi.LINKデジタル伝送「アドバンスド・レゾリューション・デジタル・オーディオ・インターフェイス」も搭載されている。同端子搭載の同社ユニバーサルプレーヤー「DV-AX5AVi」との組み合わせでは、ジッター低減技術「PQLS」が働き、音質がさらに向上するとのことだ。
面白いところでは、iPod接続用の端子も注目点。おまけ的な機能ではあるが、iPodユーザーには魅力的だろう。
さて、今回は聴き慣れた音楽ソースを中心に試聴を行ってみた。全体的な印象は、繊細で輝きのある高域の表現と、主張しすぎず、だがしっかりとした存在感と輪郭のある中低域、といったところである。中でもRed Hot Chili Peppersの「By The Way」との相性は抜群だった。スネアドラムの枯れた抜け、ベースの腰の強さ、リズムを刻むシンバルの切れなどが見事なバランスで描写され、ロックのダイナミズムと、その裏にある繊細なプレイの両面が見事に表現されていた。試聴環境での音質傾向はやや硬質寄りで、中低域の豊かな音を好む方には合わないかとも思われたが、輪郭の立ったくっきりとした音を好む方にはフィットするはずだ。
なお、「VSA-AX4AVi」と「VSA-AX2AV」の音に明確な差は感じられないが、前者でのみ可能なi.LINK接続を行った場合は、全体の透明感、解像感が増す。i.LINK対応プレーヤーと組み合わせるかどうかが、どちらを選ぶかのポイントになるだろう。
デジタルマルチチャンネルオーディオ時代のシステムの中心となるにふさわしい機能と音質を兼ね備えた、先進的かつ堅実なAVアンプと感じさせられた。