高い出力音圧レベルと広い指向性

ハイスペックデジタルオーディオは、まさしくオーディオのかつてない超広帯域時代の先兵となっている。これに伴ってスピーカーの超広帯域化が進行し、それに対応すべくスーパートゥイーターが次々に発売され、パイオニアもその例外ではない。

本機は96年に発売されたＰＴ-Ｒ９の進化型。リボンはベリリウムで、磁気回路は強力ネオジウムを使用。高効率さもあって98dB（８Ω）という極めて高い出力音圧レベルを持つ。このため、高出力音圧レベルのスピーカーと組み合わせても楽に使える。

ケースはアルミダイキャスト製で、リボンから放射される波面がスムーズに拡散できるようになだらかなラウンドフォルムを持つ。ボディは専用台座に対して真鍮スパイクの３ポイントサポートで安定したセッティングが可能。ただし、仰角調整機構はなく、必要とあれば台座下部に適当なスペーサーを介して調整すればよい。クロスオーバー周波数の切り換えやアッテネーターもない。まさに単体としての発売。５ｋHz以上（遮断特性12dB／out以上）で使用し、１２０ｋHzまでカバーする超ワイドバンド。組み合わせるスピーカーシステムによってはレベルコントロールも必要かと思うが、専門店、ないしはパイオニアのサポートを受けるとよいだろう。いずれにせよ意外に広い指向性とリボン型ならではのハイスピードさがワイドバンドヘ誘ってくれる。

（text：藤岡誠）