テクニカらしいフラットな再生音

オーディオテクニカのカナル型イヤホンの入門機種となる新製品。単なる廉価版ではなく、ハウジング背面を指で押しやすい形状にして耳に挿入しやすくするという新アイディアが盛り込まれている。実際試してみたが確かに挿入しやすく、カナル型の中でもコンパクトな筐体のおかげもあり、装着感もよい。

音は、基本的にはおなじみフラット指向の“オーテクサウンド”。しかし同社カナル型最上位機種「ATH-CK7」と比べるとやや中低域に寄った印象で、低域の掻き消されがちな屋外ではそこが有利に働くかもしれない。

もちろん高域の伸びや解像度はもちろんCK7に及ばず、シンバルの鋭さや余韻のざわめき、空間再現性などに耳を向ければ不満は感じるだろう。しかし、そういった部分は屋外では騒音で掻き消されてしまうところであり、屋外利用限定で考えればCK7との差は小さい。また、例えばiPod付属イヤホンと比べれば音質も遮音性も格段の向上を得られる。費用対効果比の高い製品だ。

(text.高橋敦)