チューナーもスピーカーもない純然たるモニター仕様だ。フルHD P.U.R.E. Black Panelの搭載で達成した207万という画素数は、情報量に満ちた凄まじい写実力を予感させる。また、フルHDパネルを支える数々の独自の高画質技術も必見である。

ダイレクトカラーフィルター、フルHD P.U.R.E.Drive、高純度クリスタル層などは、すべて専用に開発されたものである。特に注目したいのが、高純度クリスタル層であろう。フルHD 化によってXGAの約半分と画素サイズがかなり小さくなるため、高精細と引き換えに輝度の低下が避けられないのだが、発光効率が高い高純度クリスタル層によって、明るいフルHDパネルを実現したのだ。ダイレクトカラーフィルターを改良することで達成したのは、色域、フォーカス感、外光反射率の向上。色再現域は、NTSC比で107%にも匹敵する。

画質は上質で、素晴らしく繊細。特にS/Nの高さは超絶的だ。ボケ味も、巧みに再現した。ハイビジョンモデルでこそ問われる単調な映像も滑らかに描写。より多くの画素を使ってぼかすので、レンズの焦点の動きが手に取るようにわかるのだ。ロングの風景では、ふわっと吸い込まれるような遠近感を感じた。

コントラストと輝度に余裕がある点も特筆したい。艶やかな黒の締まりは圧巻だが、それにも増して何という豊富な陰影描写だろう。暗と明の間が無限階調でつながるようなスムーズさが、そこにある。（林正儀）