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PIONEER
DV-S757A
\OPEN(予想実売価格60,000円前後)
発売:2002年10月上旬
このモデルは生産を完了しています
執念に近い機能の充実化でニーズに応えた「747」を凌ぐ万能モデル
【SPEC】 ●消費電力:13W(待機時0.25W) ●外形寸法:420W×95H×278Dmm ●質量:4.0kg ●出力端子:コンポーネント映像出力端子1系統、S1/S2映像出力端子2系統、映像出力端子2系統、D1/D2端子1系統 ●デジタル出力端子:同軸出力端子1系統/光出力端子1系統
■ 音声出力端子:アナログ2ch1系統/アナログマルチch(Lf/Rf/Ls/Rs/C/SW)1系統
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
SPレベル調整機能が向上、音質は見事というほかない
昨年秋に同社より発表されたDV-S747Aは、驚異的な高機能と低価格でDVDプレーヤーの階層秩序をくつがえすという問題児であった。最新のデバイスを用いた高画質設計に加えて、DVDオーディオにもSACDマルチにも対応した多機能。それが9万円台なのだから驚かずにはいられない。ならば、今度のDV-S757Aについては何というべきか。
この757Aは、747Aを一層強化した万能機に仕上がっている。SACDマルチ、DVDオーディオについても、バスマネージメント、スピーカーのレベル調整、10cm単位の距離の調整ができるのである。
また、入出力端子の配置が変更されていることにも注意したい。音声系が裏面の左側、映像系が中央寄りに配置されているのだ。回路基板を大幅に設計変更したことがうかがえる。端子類の金メッキ仕様は承前。
映像の方は、108MHz/12ビットの映像DACを搭載。起用したアナログデバイセズのADV7300Aは承前である。そこには「ノイズ・シェイプド・ビデオ」回路が内蔵されていて、信号処理の過程で発生するノイズを信号の帯域よりずっと高域に追いやっている。「スーパー・ファイン・フォーカス・デジタルフィルター」は、通過帯域内の特性のうねりを除去した高性能のフィルターにより水平解像度540本を実現したもの。これも承前だが、プログレッブ信号にも対応できるようになっている。
747Aとは外観の違いが目につく。前回の透明アクリルパネルや操作部の凹みをなくし、あっさりとしている。しかし底部には制振鋼板が張られていて、品位のために必要な部分への配慮はおこたりない。使用してまず目につくのは、「新GUI」として操作メニューが変更されていること。従来のものは、パソコンでファイルをめくっていくイメージだったが、こちらは平面に並んだカテゴリー項目を選択していくという方式だ。日本語の説明文も読みやすい。リモコンも新設計だ。
音源を選ばず、音像の見切りがしやすい清新な音だ。室内楽のしなやかな表情。ビッグバンドジャズの剛毅な押し出し感。活劇の鮮烈な効果音と語尾明瞭な台詞の通りなど、見事な高品位というしかない。DVDオーディオにしても、木管のソロなどタンギング(舌使い)が眼前に見えるようだし、淡い空気の層が、時には硬い音の塊となって突出している。つまりSACDの特徴と考えていた精妙な表情が実によく再生されるのだ。オーディオ用パーツを多用した成果だろう。画質の精密感と透明感も優秀。一対比較はしていないのだが、音はもちろん映像についても前モデルより進歩しているのではと思わせる。外観が単調になったのはコストダウンの結果だろうが、逆にいうと中身を充実させることへの執念がうかがえる選択だ。これは中古市場まで揺さぶりそうな秀作だ。
(text:吉田伊織)