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DSP-AX1800

YAMAHA
DSP-AX1800

¥165,000(税抜)

発売:2007年10月20日
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「DSP-AX1700」の後継機 7.1ch AVアンプ

【SPEC】●定格出力:130W×7 ●最大出力:175W×7 ●音声入力端子:アナログ×11、6ch/8ch×1、光×5、同軸×3 ●音声出力端子:SP OUT×7ch、PRE OUT×7ch、SUBWOOFER OUT×1、REC OUT×4、光×2 ●映像入力端子:コンポジット×6、S×6、コンポーネント×3、D5×3 ●映像出力端子:コンポジット×3、S×3、コンポーネント×1、D5×1 ●その他の入力端子:HDMI×4、DOCK×1 ●その他の出力端子:HDMI×1、コントロール×1 ●消費電力:400W ●外形寸法:435W×171H×438.5Dmm ●質量:17.0kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

C/Pに優れて高い空間再現力。上位機に引けを取らない

DSP -AX3800の姉妹機として開発された本機は、HDオーディオ対応次世代AVアンプとしてはリーズナブルな価格帯に属し、上級機に迫る人気が期待できる。シネマDSPの3Dモードが省略されているとはいえ、音場プログラムに使用する音場データを従来に比べて大幅に拡張したシネマDSP-plusを採用しているため、空間を3次元に構築する性能は格段に進化している。

さらにアンプの基本コンストラクションも上位機種と同様に各ブロックを独立させて相互干渉を排し、コンデンサーや電源トランスなど重要部品に音質対策パーツを投入するなど、アンプとしての基本性能については妥協がない。ストレートデコードを中心にHDコンテンツやDVDを楽しむことが多い場合は、コストパフォーマンスの高い本機を選ぶという選択肢は賢明なものといえるだろう。

音楽ソースで確認した基本的な音調はDSP-AX3800と共通点が多く、普及機とは一線を画す実体感のある音を再現する。奥行きのある空間再現力の高さも上位機種に引けをとらないし、PureDirectモードの音質メリットもほぼ同じように確認できる。

そうはいってもまったく同じというわけではなく、マーラーのような大編成のオーケストラ曲で細かい音符の粒立ち感に差が出たり、パーカッションと金管楽器が爆発的なエネルギーで一斉に大音響を発する瞬間などに、物量のゆとりの違いが出ることがあった。そうした違いは映画ソースよりもむしろクラシックなどダイナミックレンジの大きい音楽ソースで聴き取ることができるはずだ。SACDのマルチチャンネル音源は、空間のあらゆる方向で密度が下がる部分がなく、緊密で充実した響きを再現する。神経質なところがなく、安心できるバランスだ。

まずはPS3と組み合わせて試聴した。『エネミー・ライン』はAX3800に比べると重心が若干上がるものの、音の純度は高く、効果音の鳴らし分けも緻密。基本的な音の性質は大きく変わっていない。わずかな気配などを示唆する音も細かい部分まで把握することができ、暗騒音の伸びやかさもそなわっている。距離感の表現にも余裕が感じられた。ドルビーTrueHDをPCMに変換したサウンドはDTSに比べると厚みが増し、バランスは良好。3800のバランスに近い。ヘリのローターの回転音も厚みがあり、重さがあるし、車のエンジン音にもリアリティがそなわる。爆発音は衝撃の反応がはやく、緊迫感のあるシーンを演出。オーケストラはオリジナルとほぼ同じサウンドバランスで、解像感の高さとスピード感、弦楽器のセパレーションの良さが特筆できるポイント。ピアノのタッチも生々しい。『イノセンス』は音の移動がリアル。サラウンドの方位感と移動感を堪能することができた。情報量が豊富で切れがいいので、音が複雑に絡む様子や、緻密な音作りの面白さを引き出してくる。

続いてパイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX80」と組み合わせた。ドルビー TrueHD音声のストレートデコードを聴く。『サハラ』はオーケストラの質感描写が効果音に押されて若干後退する気配があるが、音の切れとスピード感は AX3800に遜色ないレベルである。別トラックの小編成オーケストラ(コープランド)は低音の響きがすっきりと上質で透明感が高い。『エネミー・ライン』の効果音の重心が意外なほど低く聴こえるのは、中高域の輪郭で粒立ちを演出する必要のない、ロスレスフォーマットならではの特徴と思われる。もちろんこのような音源ではそのほうが凄みが増し、効果音の距離が深まって安定度が増す。台詞のリアリティが非常に高く、ハッとする驚きがあった。リニアPCMのアナログ接続は『デジャヴ』のチャプター8を試聴した。台詞の交錯、効果音の動きがスピーディで、同じ場面を見ていても深みが感じられる。台詞も落ち着いている。

(山之内正)