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CD-S2000

YAMAHA
CD-S2000

¥168,000(税抜)

発売:2007年12月中旬
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音質を追求したSACD/CDプレーヤ

オーディオ銘機賞2008 ≪銅賞≫受賞モデル

ビジュアルグランプリ2008 ≪SACDプレーヤー(2ch仕様)≫受賞モデル

【SPEC】●再生メディア:音楽用SA-CD、CD、CD-R/RW(MP3、WMA再生可) ●周波数特性:2Hz〜50kHz(SA-CD)、2Hz〜20kHz(CD) ●高調波歪率:0.0017%以下(SA-CD)、0.002%以下(CD) ●ダイナミックレンジ:110dB以上(SA-CD)、100dB以上(CD) ●SN比(JEITA):116dB以上(SA-CD、CD) ●音声出力端子:光デジタル1、同軸デジタル1、アナログXLR(バランス)1、アナログRCA1 ●消費電力:25W ●外形寸法:435W×137H×440Dmm ●質量:15.0kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

音の純度が驚くほど高くスピード感のあるサウンド

ヤマハはかつてオーディオ愛好家に向けて数々の銘機を送り出していたが、ホームシアターに軸足を移してからは、スピーカーなど限られたジャンルの製品が「ナチュラルサウンド」の思想を継承するにとどまり、往年の充実したラインナップを知る者としては、少々寂しい思いがしていた。

そのヤマハが、久々にプリメインアンプとデジタルプレーヤーの新シリーズを導入するという。ピュアオーディオへのヤマハの取り組みがスタートした原点を意識しつつ、その歩みを一歩先に進めることも狙う。その成果として登場したのが、ここで取り上げるプリメインアンプとプレーヤーである。

さて、外見は非常にシンプルだが、中身は意欲的な作りで新しさがある。プリメインアンプのA-S2000から具体的に見ていこう。

今回のメインテーマは「バランス伝送」。位相を反転した正負の信号を伝送することでノイズを相殺・低減するおなじみの手法だが、通常の伝送方法に比べて回路規模が大きくなることもあって、一般的にこの方式を採用するのは高級機が中心だ。本機はこのバランス方式をすべての増幅回路と伝送経路に採用する「全段バランス伝送」を実現。フォノイコライザーとヘッドホンアンプを除くすべての回路と伝送路がバランス構成だ。

CD -S2000は自社開発ドライブを搭載し、CDとSACDのステレオ再生をサポートするデジタルプレーヤーである。ディスクローダーにアルミを採用し、削り出しの入出力端子を装備するなど、細部にいたるまでハイエンド仕様を貫いているため、クラスを越える高級感が漂うことが第一の特徴。ソリッド構造のディスクローダーを採用したことで本機のトレイ開口部はスリムな形状を実現し、デザイン面でのポイントになった。

最初にA-S2000単独の再生音を聴いた。ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団のベートーヴェン《英雄》は、この演奏の特徴である繰り出すような推進力がそのまま出てくるスピード感のある再生音で、特に低音の質感の高さとレスポンスの速さが素晴らしい。

次にCD-S2000をアンバランス接続で本機につなぎ、レファレンスプレーヤーとの違いを検証する。管弦楽は音場の広がりが伸びやかで空間の見通しがいい。ピュアダイレクトモードで聴くとさらに空間の精度が上がるので、アナログ接続の場合は常時利用したい。

最後にアンバランス接続からバランス接続に変更して音の変化を確認してみよう。一聴して確認できる変化はオーケストラの重心が低くなり、いかにも北ドイツのオーケストラらしい厚みが出てくることだ。この演奏と録音の特徴はバランス接続の方がよりリアルに出てくる印象を受けた。

久々に登場したヤマハのコンポーネントは、ナチュラルサウンドの名にふさわしい美しい響きに質感の高さとスピード感が加わり、ピュアオーディオへのさらなる取り組みを期待させる音に仕上がった。

(山之内正)