独自技術でノイズを99％カット 高音質カナル型NCヘッドホン

同社初のインナーイヤータイプを採用したノイズキャンセルヘッドホン。新開発のイヤーピースと独自のノイズキャンセリング技術を組み合わせ、可聴範囲のノイズを平均99％カットする。「99%」はかなりの自信がなければ打ち出せない数字だ。

まず装着しただけでも遮音効果を感じられる。アクティブなノイズキャンセルがその効果を十分に発揮するには、その前段階のパッシブなノイズキャンセル、遮音性が重要だ。本機の全体的なデザインと新開発イヤーピース（低反発素材×1とシリコン系×3サイズ）はその要件を十分に満たしている。

そしてノイズキャンセルをオンにすると確かに、特に中低域の騒音、電車の通過音や自動車の音、雨が傘を打つ音なども、相当に緩和、種類によってはほぼ聞こえなくなった。インナーイヤータイプのノイズキャンセル機として最高レベルの効果と言える。

もちろん音質もおろそかにしていない。仕様的には、大口径ドライバーの採用、振動板前後の音圧バランスを調整し音響特性を向上させるアコースティックオプティマイザーの搭載、ハウジングをアルミと樹脂という異種材料で構成して不要振動を抑制といったところがポイントだ。

それに加えて、圧縮音声の復元再生機能であるコンプレスト・オーディオ・リストアラーが搭載されているのはユニークな点だ。電池と回路の搭載はどうせ必須。ならばもう一つ回路（機能）を加えることも難しくない。という発想だろうか。電源オフ／ノイズキャンセルオン／リストアラーオンの間での音質変化は最小限。いずれも全体のバランスを崩さず働くように、よくチューニングされている。

さて実際の音だが、どっしりとした低域がその土台だ。ベースの量感は十分すぎるほどに確保されている。女性ボーカルの色気や湿度感も損なわずに届けてくれるし、男性ボーカルのさっぱりとした手触りもそのままだ。またいずれも肉感は厚めで存在感が濃い。ボーカルが主役となるのはもちろん望ましい描写だ。

ロック・フュージョンのハードなリズムは、大きめの音像が瞬発力・圧力・重量感を兼ね備えて迫ってくる。厚みと重みというのがどんな曲を聴いたときにも感じられる、本機の特質と言ってよいだろう。ノイズキャンセル機を検討中で、その傾向の音を好む方は特にチェックしてみてほしい。

（text：高橋敦）