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YAMAHA
YRS-1100
(POLYPHONY)
¥OPEN(予想実売価格10万円前後)
【SPEC】●総合最大出力:232W(YSP部:132W、SW部:100W) ●入力端子:アナログ1、光デジタル2、同軸デジタル1、HDMI3 ●出力端子:HDMI1、コンポジットRCA/メニュー表示用1 ●消費電力:42W(0.5W以下:HDMI Control OFF時) ●耐荷重:天板50kg、棚板15kg、底板30kg ●外形寸法:1200W×400H×445Dmm ●質量:45.0 kg
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
薄型テレビを中心としたホームシアターシーンにおいて、シアターラックとしての音質とインテリアとしての質感の両立を目指したヤマハ”POLYPHONY”シリーズ。スピーカーを完全に本体と一体化し、5mm厚の強化ガラスを用いた天板による開放型デザインを採用している。
今回ヤマハは、設置する薄型テレビのサイズ別に新しく3モデルをラインナップした。65V型まで対応する横幅1,600oの「YRS-2100」、50V型まで設置できる横幅1,200oの「YRS-1100」、横幅1,000oで42V型まで対応する「YRS-700」の3機種だ。
ホームシアターシステムの技術としては、本機シリーズ初となるドルビーTrueHD、DTS-HD Master AudioといったBDクオリティのHDオーディオのデコードに対応する。YRS-2100/1100の2機種は、同社のデジタルサウンドプロジェクター「YSPシリーズ」に搭載された「サウンドビーム」技術を搭載。本体に内蔵した多数の小型スピーカーにより、音のビームを壁面反射させてサラウンドを作り出す。加えて、2機種とも付属のマイクによる自動音場補正に対応。内部構成は、多数のビーム用スピーカーと13cmサブウーファーを内蔵している。また、7.1chのバーチャルヘッドホンにも対応する。YRS-700は構成が異なり、3本の10cmスピーカーに同社の「エアサラウンドエクストリーム」技術を組み合わせた仕様だ。
全機種ともiPod用ユニバーサルドック「YDS-12」や、ワイヤレスシステム「YID-W10」と機器連携し、流行の機能を取り入れている。
さて、実際にBDソフトを視聴してみよう。まずはYRS-2100だ。『オペラ座の怪人』のボーカルは丁寧で伸びやかで、スピーカーの特性に"素直さ"を感じる。囲むように広がるスコアも、立体的かつ深みのある鳴らし方で、まさにステージの臨場感を作り出している。
『ハートロッカー』の視聴では、張り詰める戦場の緊張感が四方八方から伝わってくる。特に遠くから聞こえる子供の声や喧噪など、細かやな音の再現に優れている。サラウンド方向からの響きは聴く者にスピーカーの存在を意識させず、距離感を上手く作り出す「サウンドビーム」の特性がしっかりと表れている。冒頭シークエンスのラストにある爆音の低音は、振動よりもヌケに振った響きで、マンション向きの鳴らし方だ。
『NINE』は豪華なステージ音楽のバランスが聴き所の作品だが、今回の視聴ではフロントのボーカルのみならずサラウンドチャンネルまで漲るパワフルな再生能力が感じられた。
YRS-1100は、YRS-2100とほぼ同等のユニット構成で作られているが、ボディがコンパクトであるので、実感するサラウンドの迫力としては一歩上手に感じ取れるかもしれない。両機は設置する薄型テレビのサイズに応じて使い分けたい。
YRS-700については、採用するサラウンド技術が「エアサラウンドエクストリーム」であるため、前述の2機種とはやや志向が異なる。同じ作品を一通り視聴すると、『オペラ座の怪人』のボーカルの厚みについてはほとんど同等でありながら、スコアのサウンドは密度感のある狭めのホールのように響く。『ハートロッカー』でもたらされる戦場の雰囲気も、音のキレ味に振ったようで若干音場は狭い。ただ、頭上を通過する航空機の強烈な移動感の再現力は特筆に値する。『NINE』の視聴でも同様の傾向があり、より近距離で視聴する環境に向いている。
3機種共通の特長としては、視聴時に「シネマDSP」のサラウンドプリセットが利用できる。ただし、BDのドルビーTrueHDおよびDTS-HD Master Audioには使用できず、デジタル放送のAACのみで可能だ。実際に地上デジタル放送を録画したプロ野球中継を「Sports」の設定で視聴すると、解説をしっかりとセンターで再生しながら場内の歓声を大きく取り、広々としたスタジアムの広がりを作り出している。
他にも、セリフを明瞭に聞き取りやすくする「Drama」、映画向けにスケール感を高める「SFX」など全11種類のDSPプログラムが利用できる。デザイン性、サラウンド感、そして機能。それらのバランスが優れた製品として、シアターラックの定番となりそうなモデルである。
(text:折原一也)
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