高いコストパフォーマンスを誇るエントリーモデル

比較的手軽に５．１ｃｈが構成できるハイＣ／Ｐなシリーズである。ＳＣ−Ｔ３３−Ｍは３ウェイのトールボーイ・タイプ。Ｐ．Ｐ．Ｄ．Ｄ．方式によるグラスファイバーコーン・ウーファーにネオジウム・マグネット採用のソフトドーム・トゥイーター、やはりネオジウムによるダイレクトドライブ式スーパートゥイーターを装備している。全てのユニットに非磁性体フレームを使用し、フロントバッフルはラウンド型とした。また天然のコルク製フットも付属している。

ＳＣ−Ａ３３−Ｍは２ウェイ・ブックシェルフ型。８ｃｍウーファー２個をＰ．Ｐ．Ｄ．Ｄ．方式で駆動し、ダイレクトドライブ式スーパートゥイーターによって９０ｋＨｚまでのレスポンスを得ている。バッフルにも３次元加工のラウンドタイプを採用した。

センターのＳＣ−Ｃ３３−Ｍは、５．７ｃｍの小口径ウーファーを４個横に並べてＰ．Ｐ．Ｄ．Ｄ．方式でドライブする。ネオジウム・マグネットによるダイレクトドライブ式スーパートゥイーターと合わせて５ユニット構成となるが、厚みは７１ｍｍとスリムだ。

サブウーファーＤＳＷ−３３−ＭもＰ．Ｐ．Ｄ．Ｄ．方式による２ユニット構成。口径は１５ｃｍで、６０Ｗのパワーアンプを内蔵している。

スケール感を無理に強調した音ではなく、まとまりのいいリアルな感触を備えている。効果音がシャープなのはスーパートゥイーターの性能を示す好例だが、そればかりでなくセリフのニュアンスと質感が細かく再現されている。室内での反射や身辺音などが素直な響きで描かれ、金属系の効果音も鋭さと厚みのバランスがいい。整って安定した音調である。後方の効果音もきれいに回り、空間の透明感と鮮烈さが表現に多彩さを加えている。

２ｃｈも切れがよく、しかもくせのない音調だ。高域がとりわけよく伸びて余韻が豊か。艶のある質感が素直に再現されている。

（text：井上千岳）