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HA-FXD80

HA-FXD80 (FXD/FRDシリーズ)

¥OPEN(予想実売価格7,000円前後)

発売:2012年6月上旬

新構造“ダイレクトトップマウント”採用のカナル型イヤホン

【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●再生周波数帯域:8〜25,000Hz ●インピーダンス:20Ω ●音圧レベル:102dB/1mW ●ケーブルの長さ:約1.2m Y型 ●質量:約8.5g(ケーブル含まず) ●付属品:シリコンイヤーピース(S/M/L 各2)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

新構造“ダイレクトトップマウント”やJVCの最新高音質化技術を採用

軽量・高剛性な特性を持ち、緻密でキレのあるサウンドを実現するナノカーボンチューブ振動板を採用したΦ5.8mmマイクロHDドライバーに加え、切削ステンレスによるメタルエンクロージャーに直接固定する独自の“ダイレクトトップマウント構造”を搭載したFXDシリーズ最上位モデル。

直近の下位モデル「HA-FXD70」との違いはメタルエンクロージャーの内部へ不要な振動を抑えるブラスリングを追加した“デュアルシリンダー構造”を採用したことと、ハウジングカバーにマルチポートを設け、マイクログラス吸音材やステンレス製メッシュを介してユニットの背圧を調整できるようにした点が挙げられる。加えてボディ表面には高級感ある金属の質感を高めるローレット加工が施し、落ち着きあるガンメタリックカラーを身にまとった。シリーズ共通仕様の制振フィットブッシングも採用し、音質だけでなく使い勝手の面でも完成度が高められている。

上位機「HA-FXT90」と比較するとシングルユニットであるため中低域の量感は抑えられるが、“デュアルシリンダー構造”やマルチポートの効用によって「HA-FXD70」よりも全帯域での解像度や制動感は飛躍的に向上し、こもり感もなくなったので、ボーカルの音抜けの良さをさらに実感できるようになった。むしろ「HA-FXT90」よりも優れていると感じるのは音場が整理されて見通しが良くなったことと、モニター系に近いリアリティある鮮やかな音像描写を行ってくれる点だ。外観ディティールの高さも踏まえ、1万円を超える製品といわれてもおかしくない驚異的なハイC/Pモデルであるといえよう。

クラシックではローエンドまで解像感が保たれ、ハーモニーは広がり豊かで浮き上がり感も素直な描写だ。余韻の階調も細やかで倍音感による煌めきも控えめとなる。ジャズでは密度ある音像を滑らかに描写し、音場の情報も的確にトレースしてくれる。S/Nも高く、ホーンセクションはボディ感を残しつつソリッドな芯を鮮やかに描き出す。キックとベースのアタックをきちんと帯域を描き分け、分離が良い。

ポップスではクリアなピアノやアコギの音色へ程良い倍音の艶が乗る。ボーカルのウェットな口元の描写と合わせ、耳当たり良い滑らかなサウンドとして受け取ることができる。シンセベースは密度を持たせつつ引き締めているので、押し出し良いドライブ力を楽しめた。

ロックでもリズム隊の適度な引き締まり感が得られるが、エレキの腰高で歯切れ良い刻み、ボーカルの太くスムースな口元のエッジ感もバランス良く融合。HM/HRジャンルではRIOT『IMMORTAL SOUL』〜Riotを試聴したが、スピード感あるタイトなツーバスのアタックが綺麗にベースと分離し、ドライな打感の密度、空気が動くさまをダイレクトに感じ取れた。フラッシーなソロギターのフレーズもキレ良く、ピッキングの粒立ちは細やかでトレース力も高い。ハイトーンボーカルの再現性も十分であり、メタルサウンドにも最適である。

(text:岩井喬)