4つのシネマDSPをワンタッチで選択可能

サラウンドシステムを導入したいけれど、出費を出来るだけ抑えたい。とは言ってもパソコンのアクセサリー的なシステムではなく、オーディオマインドながらコンパクトで手軽にオペレーションできるものを、といった思いの方は少なくないのでは。しかもこのクラスは販売店頭でしっかり試聴するのは困難ときている。そこでヤマハからの“小さくても本物の迫力、シネマDSP搭載コンパクトシアター”を検証。

ゲーム機をも意識した幅210mm、高さ67mmのコンパクトなコントロールセンターは、フロントデザインはシルバーでクールながら、ソースに最適なサラウンドプログラム、シネマDSPから厳選の4つのモードをダイレクトに選択できるボタンがポップ。このシンプルさは実用性が高い。DTS、ドルビーデジタル、デジタル放送を5.1ch再生できるMPEG-2 AACなどの幅広い音声フォーマットに対応したデコーダーを搭載。総合最大出力100Wのデジタルパワーアンプは余裕のハイパワーだ。

サテライトスピーカー部はそれぞれ2本の5cmコーンユニットを使用。このサイズで元気なサウンドの源はツインドライブにあった。サブウーファーは定評のあるヤマハ独自のA-YST方式によるコンパクトながら自然な拡がりと質の良い低音特性が維持されている。

サウンドは極めてマイルドと言えるだろう。一聴高域がおとなしいようだが、解像度は高く、台詞などで重要な中高域も明瞭。低域の量感も不足なしだ。しかし、音楽ソフトではサブウーファー領域へのバランスが過剰気味となるので、いくらかレベルを調節すべきだろう。通常のヘッドフォンで5.1chが楽しめたり、低音量でもレンジ感を確保できるナイトリスニングモードはなかなか便利。

（text：麻野勉）