VP-12S4の短焦点モデルがこのVP-13S1で、100インチの投写が3.3mという近距離から可能だ。レンズシフトは、上下最大で1.5画面分の範囲で移動できる。ジェナム社のフル10ビットビデオプロセッサーや、コニカミノルタ製非球面レンズも採用。その他、HDMI端子を2系統装備。心臓部のDMDデハイスは新世代の720Pダークチップ3を搭載。また、新たに採用したビデオプロセッサーに合わせて、映像調整メニューが新調されている。

4500 対1まで拡大されたコントラスト比や各種のチップ性能、それに入念な画作りなど相まって、映像の品格が見事に高まっている。フォーカスが鋭く細部の表情がより細密に描かれて、ノイズ感が少ない。誤差拡散ノイズの処理も巧みであり、ダーク部でのS/Nのよさは群を抜く。さらに、色の感触がすっきりとしていて鮮度なのも好印象。エッジはきれいで滲みがなく、キレがいい。視聴ではあらゆるソースを用いたが、グラデーションを精密に描ききっており、リアルな表現力が前モデルよりも高まったような印象を受けた。HDMI端子に差し替えると、情報量と鮮度がさらに高まる。ハイビジョンソース再生では、緻密で濡れたような色彩美が確認できた。

短焦点レンズ採用で、設置性に優れる印象が強い。また、ジェナム社のビデオプロセッサーを生かすなら、HDMI接続が必須だが、その切り替えがリモコンで簡単にできる。高画質を簡単操作で獲得できるのだ。

（Text.林正儀）