AV REVIEW

AV REVIEW特選 製品批評

 

ACCUPHASE
CX-260/PX-600
プリアンプ/マルチチャンネルパワーアンプ ¥380,000/¥550,000

文:山之内 正
TEXT BY Tadashi Yamanouchi

5.1chアナログ出力を搭載したDVDプレーヤーと接続するのが基本

アキュフェーズが待望のマルチチャンネルアンプを発売する。DVDが先鞭を付けたマルチチャンネル再生が、本機の登場でさらに深い表現力を身に付けることになるのは間違いない。

プリアンプCX−260とパワーアンプPX−600はいずれも6ch構成で、アンバランス接続に加えて高精度なバランス接続に対応する。CX−620は純粋なアナログプリアンプで圧縮デジタル信号のデコード機能は積んでいないが、オプションボードを追加すれば2chの非圧縮デジタル信号も受け入れる。だがそれはステレオ再生の場合。本機は、あくまでも5.1chアナログ出力を積んだDVDプレーヤーかデコーダーをつなぐ用途が基本だ。6系統のディスクリート・ラインアンプは、2ch再生時は3つのアンプを並列に動作させる3パラレル×2の構成に切り替わる。センターとサブウーファーを左右フロントに振り分けるダウンミックス機能も注目したい。

PX−600はサブウーファーchも含む6つのチャンネルを完全に同等に扱うマルチチャンネルアンプだが、ブリッジ接続の設定により、1chから6chまで任意の動作を選択できる。3つのメーターは簡単な切換え操作で全チャンネルの監視が可能だ。

DVDの音は驚くべき純度の高さ。サラウンドの音がここまでリアルに鳴っているのを聴いたことがない。解像度の高さも別格だが、なにより音の密度感、空気感に違いが出る。DTS収録の音楽ソフトでは、奏者や歌手がいまそこに立っているように弾き、歌う。そして、音楽が鳴り響く空間が、そのままリスニングルームにも3次元で再構成されるのだ。しかもその音場に隙間がなく、隅々まで響きが浸透する。弱音は息を呑むように繊細で、余韻が消え入る微妙な瞬間も実に美しい。音の表現力が深まることで、映像も生き生きと見えてくるから不思議なものだ。すべての音楽ファン必聴のアンプである。

 

PX-600のリアパネル。本機ではフロント左右のチャンネルをLEFT/RIGHTと表示し、サラウンドチャンネルはA/B、フロントセンターをC、サブウーファーをDと表示している。ブリッジ接続の際にはLEFT+A、RIGHT+B、C+Dで3系統になる

ACCUPHASE CX-260 SPEC
●周波数特性:BALANCED/UNBALANCED INPUT 3〜300,000Hz +0 -3.0dB 20〜20,000Hz +0 -0.2dB  ●全高調波歪率(すべての入力端子にて):0.005% ●入力感度・入力インピーダンス:BALANCED入力感度252mV(定格出力時)、63mV(0.5V出力時)、入力インピーダンス40kΩ UNBALANCED入力感度252mV(定格出力時)、63mV(0.5V出力時)、入力インピーダンス10kΩ ●定格出力・定格インピーダンス:BALANCED/UNBALANCED OUTPUT 2V、50Ω TAPE REC 252mV、200Ω ●S/N比:BALANCED 96dB(EIA)、UNBALANCED(2ch) 96dB(EIA)、UNBALANCED(6ch) 95.5dB(EIA) ●最大出力レベル:(歪率0.005% 20〜20,000Hz)BALANCED/UNBALANCED OUTPUT 5.0V TAPE REC 5.0V ●最小負荷インピーダンス:BALANCED/UNBALANCED OUTPUT 600Ω TAPE REC 10kΩ ●ゲイン:BALANCED/UNBALANCED INPUT → BALANCED/UNBALANCED OUTPUT 18dB、BALANCED/UNBALANCED INPUT → REC OUTPUT 0dB ●ラウドネス・コンペンセーター:+6dB(100Hz) ●トーン・コントロール(ターンオーバー周波数および可変範囲):低音(BASS)300Hz ±10dB(50Hz)、高温(TREBLE)3kHz ±10dB(20kHz) ●アッテネーター:-20dB ●ヘッドホン端子:適合インピーダンス4〜100Ω ●電源:AC100V 50/60Hz ●消費電力:25W ●外形寸法:475W×150H×405Dmm ●質量:17.5kg ●付属リモコン(RC-20):55W×194H×18Dmm/100g(電池含む)

ACCUPHASE PX-600 SPEC
●定格連続平均出力:6ch時→4Ω150W×6、6Ω125W×6、8Ω100W×6、3ch時→4Ω160W×3、6Ω140W×3、8Ω120W×3、 3ch(Bridge)時→6Ω(*)320W×3、8Ω300W×6、2ch時→4Ω220W×2、6Ω160W×2、8Ω130W×2、2ch(Bridge)時→6Ω(*)420W×2、8Ω350W×2、(*)印の負荷は音楽信号に限る ●全高調波歪率:6ch仕様時0.15% 4Ω負荷、0.1% 6Ω〜16Ω負荷、3ch(ブリッジ接続)仕様時0.05% 6Ω〜16Ω負荷 ●IM歪率:0.003% ●周波数特性(すべてのチャンネルにおいて):定格連続平均出力時 20〜20,000Hz +0 -0.2dB、1W出力時 0.5〜160,000Hz +0 -3.0dB ●入力感度・入力インピーダンス:BALANCED入力感度252mV(定格出力時)、63mV(0.5V出力時)、入力インピーダンス40kΩ UNBALANCED入力感度252mV(定格出力時)、63mV(0.5V出力時)、入力インピーダンス10kΩ ●ゲイン(利得) (すべてのチャンネルにおいて):28.0dB ●負荷インピーダンス:6チャンネル仕様時4〜16Ω、3チャンネル仕様時6〜16Ω(ブリッジ接続の6オーム負荷は、音楽信号に限る) ●ダンピング・ファクター:100(ノーマル仕様時)、50(ブリッジ仕様時) ●入力感度:6チャンネル仕様時:1.12V(定格連続平均出力時)、0.11V(1W出力時)、3チャンネル仕様時(ブリッジ接続):1.95V(定格連続平均出力時)、0.11V(1W出力時)、2チャンネル仕様時:1.28V(定格連続平均出力時)、0.11V(1W出力時)、2チャンネル仕様時(ブリッジ接続):2.10V(定格連続平均出力時)、0.11V(1W出力時) ●入力インピーダンス:バランス40kΩ、アンバランス20kΩ ●S/N(A補正、入力ショート):120dB(定格連続平均出力時) ●出力メーター:対数圧縮型、表示消灯機能付 -40dB〜3dB ●電源:AC100V 50/60Hz ●消費電力:166W(無入力時)、690W(電機用品取締法)、1,070W(8Ω負荷定格出力時) ●外形寸法:475W×211H×459Dmm ●質量:31.2kg