巻頭言 力強い業界建設を/和田光征 和田光征
流通においては巨大流通の勢い止まらずの形勢ではあるが、一方で巨大同士の、巨大同士が故の戦いが消耗戦へと突入しており、3年後にはどういった絵が描かれているのか、予断を許さない。それはメーカーも同様である。結局、製販とも消費者をしっかりと根本に捕らえ、そこを基本原則としているところしか生き残れないだろう。 巨大流通の役割は役割として重要であり、それ故に巨大化してきたと言えよう。しかし、力を武器にし過ぎたり、消費者が望むメーカーブランドに対する信頼性よ安心感から逸脱して、メーカーを下請的存在と見なしてしまえば、生かさず殺さず的な対応にどうしてもなり、お互いが利益泣き商売へと入り込んでしまう。いまは勝者でも、必ずや巨大が故の苦渋を味わう結果になるだろう。しかし当面の戦略、戦術に勝利しなければという現実的側面が加速をさらに促進させることになれば、まさに消耗戦である。 結局、最後は消費者を直に大切にし、そしてまたさまざまな物づくりのメーカーをメーカーとして認識するというポリシーをもつ者しか生き残れないのではないだろうか。 三方良くこそ真実である。 さて、これからは巨大であればいいのではない。巨大流通の役割、専門店の役割が両立する時代へ突入したと言えまいか。「3つの提言」の実現において、ひとり巨大流通が勝利するなどあり得ない。 60代以上の人口がますます増加するという環境は、専門店の時代を示唆していると言えるだろう。よく植物商法、動物商法と言われるが、巨大流通がある意味では巨大な植物商法化し、専門店が小さいながらも動物商法化して生き残る時代に入ったと言えるだろう。植物は地に植えられており、お客様を待つことになる。動物は獲物のあるところに動いて行き、お客様のところへ出かけて商談ができるということである。 当然ながら集客のための施策はそれぞれあるわけだが、例えばモールなどは、モールの集客が弱まれば一緒に枯れてしまう危険もある。また巨大郊外店などは、車で移動できない層にとって必ずしもいいというわけではないのである。いろいろ面倒を見てくれる専門店の存在に更に光が当たる時代を迎え、商材もまた、そうした変化でこそ生きるものが増加していく筈である。 「3つの提言」の実現化で利益ある商売を推進し、健全なる業界発展を心から願うものである。 |