池田俊宏氏

モノ+こと≠フ時代に価値共創をさらに強化
レグザエクスペリエンスで映像の未来を牽引する
東芝ライフスタイル株式会社
取締役
ビジュアルソリューション事業本部
VS第一事業部 事業部長
池田俊宏氏
Toshihiro Ikeda

09年発売のセルレグザ≠基点に数々の先進的なユーザーエクスペリエンスを提供す る東芝レグザ。テレビを取り巻く新たなステージの到来に、未来を引き寄せる新商品Z20Xシリーズを送り込む。年末商戦への意気込みを池田俊宏取締役に聞く。

モノ≠セったテレビが
モノ+こと≠ヨ

── VGP2016でレグザZ20X、G20X、J20Xシリーズが総合金賞を受賞されました。

池田普及期に入った4Kテレビのシリーズで受賞できたことが大変うれしいですね。東芝の映像技術を結集した最上位機種のZ20Xシリーズも11月上旬に市場投入となりましたが、立ち上がりから大変好調な動きを見せており、手応えを感じています。

── この一年のテレビ市場を振り返っていかがでしょう。

池田春先はケーブルテレビのデジアナ変換サービス終了に伴い、小型・中型を中心に活発な動きが見られました。しかし、その後はやや低迷している印象で、今年度のテレビ市場のスケールは約500万台と予測しています。市場規模はまだまだ回復途上ですが、4K高画質・高色域・高コントラスト(High Dynamic Range)化だけでなく、家庭内IoTデバイスとして、ここ数年でテレビを取り巻く環境は大きく変化してきました。これまではテレビ放送を見る“モノ”として捉えられ、選択されてきたテレビですが、これからはモノとサービスとがひとくくりに捉えられ、あらゆる映像コンテンツや情報を家庭内で楽しむためのディスプレイに位置づけられる方向に変化していくと考えています。

企業のマーケティング活動においても、従来のモノ中心のグッズ・ドミナント・ロジックに代わり、モノとサービスを包括的に捉えたサービス・ドミナント・ロジックが重視されています。東芝ではカンパニー・スローガンとして「モノ+こと」を掲げ、モノとサービスとを分けて考えず、トータルの視点に基づいたゼロからの商品づくりに取り組んでいます。キーワードとなるのは“価値共創”です。そうしてテレビの新しい役割を追求していく中で実を結んだのが、今回の新製品Z20Xシリーズとなります。

── まさに、これからの新しい時代を引き寄せる商品と言うわけですね。

池田俊宏氏

池田レグザシリーズの価値共創の起点となっているのは、09年に発売した「セルレグザ」です。今ではすっかりお馴染となったタイムシフトマシンをはじめ、高画質化を実現するエリアコントロールや直下型LEDバックライトなど、色々な技術がそこから生まれ、次の商品へと活かされています。

また、そうして実現された先進的な機能は、お客様への伝え方も大切なポイントとなります。例えばタイムシフトマシンでは、「丸録りできます」「何日間遡って見られます」では、一般のお客様の心にはなかなか響きません。どのようなサービスが提供できるのかのこと≠明快に伝えることが肝心です。例えば、帰宅時に見ようと思っていた番組がすでに始まっていた、家事で最初の10分を見逃したというような経験は誰にでもあるはずです。レグザのリモコンには「始めにジャンプ」というボタンを設けており、これを押すだけですぐに始めから見ることができます。「タイムシフトマシン」のメリットが大変わかりやすい、接客時にも効果的なポイントになっています。

コンテンツの量が膨大になる中で、地上波、BS、CS、インターネットなどを区別なく、見たいコンテンツを探して楽しめる「みるコレ」も好評をいただいています。お客様に満足いただけるものづくりとは、お客様の期待値をいい意味で裏切る、一歩超えた価値を提供することであり、それを実現するための商品企画、先行技術開発に力を入れていく ことが大切だと考えています。

── テレビの外見は変わりはない。しかし、楽しみ方は大きく進化している。「モノ+こと」による新しい世界をお客様に伝えていかなければなりませんね。

池田「VOC(Voice of Customer)」の収集は大変重要なマーケティング活動ですが、テレビはこれまで、買っていただいた時点でお客様との関係が希薄になってしまい、お客様も古くなったら単純に新しいものに買い替えるという、まさに“モノ”としての関係でした。

映像製品はこれまで、お客様の懐へ踏み込むことを比較的苦手としていたのですが、テレビがネットにつながることで購入後もお客様と継続してコミュニケーションが図れるという変化が生まれました。現在、およそ18万台のレグザがネットにつながっており、お客様の使用環境や使い方をVOCとして掴むことができます。例えば、使い勝手で大変高い評価をいただいているリモコンも、そうしたお客様の声を細かな点にまで活かした価値共創の成果のひとつなのです。

年末商戦で踏み出す
新時代への大きな一歩

── Z20Xシリーズはじめ新時代へ向けたラインナップを擁し、年末商戦は大きなターニングポイントとも言えます。

池田デジタル化でテレビの買い替えサイクルは短縮化される傾向にあり、2017年度、18年度には再び800〜900万台にまで拡大してくると予想しています。そこへ効果的にリーチするためには、お客様のイマジネーションが膨らむようなアプローチの仕方が必要となります。Z20Xは、そうした提案がますます重要になる中で、今後10年を示唆するモデルとして位置付けられるものです。

レグザブランドは来年で10周年を迎えます。今後レグザは当社テレビのブランドにとどまらず、家の中であらゆるコンテンツを楽しんでいただくサービスのブランドに育てていきたいというのが私の夢です。その価値を最大化していくことが、カンパニー・スローガンである「モノ+こと」をより明確にお客様にご理解いただくことにつながっていきます。従来のテレビの枠組みでは考えられなかったレグザだからこそ実現できる先進的な“レグザエクスペリエンス”を強力に訴えて参ります。

── 年末商戦へ向けた意気込みをお聞かせください。

池田テレビが将来なくなることはありません。ディスプレイとしてのテレビはこれからも進化を続け、家庭の中に残り続けます。東芝のDNAが新しい世界を切り開いてきましたが、これから10年、レグザエクスペリエンスがもっと豊かで多様な付加価値をお客様にお届けしていきます。新たなスタートとも言うべき大きな一歩を、今、Z20Xで踏み出しました。立ち上がりとなる年末商戦に大きな勢いをつけ、市場の活性化へも貢献して参ります。東芝レグザに是非、ご期待ください。

◆PROFILE◆

池田俊宏氏 Toshihiro Ikeda
1959年6月12日生まれ。東京都出身。1982年(株) 東芝入社。海外部門でB2B・B2C 映像関連商品の商品企画、セールス&マーケティングに従事。2000年 東芝アメリカ家電社、2010年 東芝システム欧州社。2012年 デジタルプロダクツ&サービス第四事業部長。2014年4月より現職。座右の銘は「不言実行」「先ずはやってみる」

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