宮地晋治氏

映像世界の深みを追求、さらなる楽しみを広げて
オリンピックイヤーに勢いづくAV市場を刺激する
パナソニック株式会社
日本地域コンシューマーマーケティング部門
コンシューマーマーケティング ジャパン本部
AVC商品部 部長
宮地晋治 氏

VGP2016 SUMMERにおける総合金賞、批評家大賞ビジュアル、批評家大賞サウンドのトリプル受賞≠成し遂げたパナソニック。注力する「4Kワールド」「ハイレゾワールド」の世界を追求、AV、ピュアオーディオ両面で攻勢をかける同社。その意気込みを宮地氏が語る。

次世代映像の世界を実現
4K/HDR World

── このたびのVGP2016 SUMMERで御社は、総合金賞、批評家大賞ビジュアル/サウンド、と3つの総合賞を受賞される快挙を遂げられました。総合金賞は御社の展開する「4K/HDR World」のご提案、批評家大賞ビジュアル部門は次世代BD規格Ultra HDブルーレイ対応プレーヤー「DMP-UB900」が、さらに批評家大賞サウンド部門はテクニクスのダイレクトドライブ ターンテーブル=uSL-1200G」が受賞しています。

宮地世界で初めてUltra HDブルーレイ規格に対応したBDレコーダーDMR-UBZ1、Ultra HDプレミアムによる認証を取得した4KビエラDX950シリーズとBDプレーヤーのDMP-UB900。当社はこれらによって展開する「4K/HDR World」の取り組みで、4KとHDRの新たな映像世界の構築をいちはやく実現しました。「4K/HDRワールド」が総合金賞を受賞したことは大変光栄で、新たな価値の認知や普及、そして商品の販売に弾みをつけたいと思います。

── DMP-UB900は、どのように店頭展開されますか。

宮地DMR-UBZ1はプレミアムディーガとしてレコーダーの最上位に位置づけ、全国の主力店様を中心に高価値訴求を展開しています。DMP-UB900も画質・音質に特化したプレーヤーの最上位モデルとして同様の展開を図ります。また画質に特化した普及価格帯のプレーヤーDMP-UB90も7月から導入し、こちらではより幅広いお客様に向け展開していきます。今国内でUltra HDブルーレイを展開するのは当社だけ、新規格をぜひ先行普及させたいと思っております。

オリンピック需要で拡販
テレビ、レコーダーの新価値

── オリンピックイヤーの今年は、テレビの買い替え需要の高まりが期待されますね。

宮地4Kテレビの占有率は直近でテレビ全体の20%を超えるまでになり、さらに40型以上で50%ほど。4K化はますます加速しています。液晶テレビの4Kビエラは今年、DX950シリーズを最高峰として、音声実用最大出力100W、ハイレゾ対応で音にも注力したDX850シリーズを新たに投入しましたが、これら高付加価値モデルによりビエラシリーズの最高画質、最高音質を実現しています。

拡販に特に注力するのはDX850シリーズ。音のよさを特長とする機種としてお求めやすい49インチサイズも投入し、より多くのお客様に高付加価値をアピールしたい。ここにレコーダーのディーガやプレーヤー、シアターシステムなどを絡め、さらなる単価アップのご提案をして参りたいと思います。また、コミュニケーションでは、「ビューティフルジャパン2020」のTVCMの放映をオリンピック開催期間中に強化し、ビエラを始めとするパナソニックのAV機器の価値を訴求して参ります。

── レコーダーの訴求もチャンスが広がります。

宮地レコーダーでは、昨年から「全自動ディーガ」として展開する自動録画モデルが好調に推移していますが、さらに今年は録画予約モデルに6チューナーを搭載したBRG2020を投入し、すでに好評を博しています。今回金賞も受賞させていただきました。全自動録画は録り逃しがなく、オリンピックの様々な競技を視聴して楽しんでいただけます。今年のモデルからは1ヵ月後使用されると機器がご使用状況を自動診断して、見ていない時間帯を録画しない、ほとんど見ないジャンルのものを低画質で録画するといった無駄のない設定を教えてくれる機能が付加されました。こうした使い勝手の改善など、より進化しています。

6月からは全自動ディーガのテレビCMを放映していますが、ここで宅外視聴の便利機能を強調しています。これまでのスマートフォンやタブレットに加え、この7月からはウィンドウズPCでも宅外視聴が可能となり、使い勝手がさらに拡がります。今年のオリンピック開催地リオとの時差は12時間、いろいろな競技を録り貯めて楽しむ需要は高まります。全自動モデル、6チューナーモデルの高付加価値カテゴリーを訴求するチャンス。また宅外視聴の機能はテレビの前を離れてもいつでもどこでもオリンピック競技の録画コンテンツを楽しめ、このメリットをしっかりアピールすることがさらに有効となります。

レコーダーの販売では金額面でお求めやすいWチューナーモデルが大きな台数を占めます。しかし、レコーダーのこうした新たな機能価値がお客様に魅力的なものとしてお伝えできれば、大容量モデルがさらに拡販できると考えております。

ジャンプLinkの
広がる楽しみを強力訴求

宮地晋治氏── お部屋ジャンプLinkや宅外視聴の機能は、レコーダーの概念を単なる録画再生機から大きく進化させ、価値を高めました。これがテレビCMでアピールされると認知度がさらに高まり、より幅広いお客様の食指が動きそうです。

宮地さらにこの夏からは、今回金賞を頂戴しましたハイレゾコンポSC-PMX100を始めとするパナソニックのオーディオ機器とディーガにより、新たな「サウンドジャンプLink」の訴求を展開します。ディーガに音楽のコンテンツを貯めて、お部屋のいろいろな場所でスピーカー再生して楽しんでいただくというものです。

「お部屋ジャンプLink」として、テレビやカメラ、ムービーなどと連動させたビジュアルコンテンツの楽しみ方に焦点を当てたディーガの訴求はすでにお馴染みとなりました。さらに音楽の楽しみ方でも、ディーガを核としてオーディオ機器との連動を図っていく。2016年から2017年に向けて注力する取り組みです。当社で注力している「4Kワールド」「ハイレゾワールド」の世界を「サウンドジャンプLink」でさらに拡げたいと考えております。

── ハイコンポであるSC?PMX100と、BDレコーダーであるディーガ、違うカテゴリー同士を店頭でどのように連動訴求していくのでしょうか。

宮地この夏商戦から秋にかけては全国の主要なご販売店様を中心として、レコーダーのディーガの場所でサウンドジャンプLinkのコーナーづくりをして参ります。もちろんオーディオ売場でも同様の訴求を図りたいですし、レコーダーとオーディオといった違うカテゴリーの2ヵ所でこれを訴求することにより、それぞれのお客様に双方の認知を高めたいと思っています。秋商戦から年末商戦にかけて、お客様にしっかりと伝わっていくようなタイミングで、キャンペーンも展開致します。

さらに4Kムービーも、今年は非常に好調に推移しています。特別賞を受賞させていただいたWX990M/WXF990Mはシェアが高まり、パナソニックが提案する4Kワールドの一翼を担い存在感を高めています。4Kテレビの普及が広がるに従って、4Kムービーのシェアも高まっている状況です。

── 金賞を受賞されたプライベートビエラも大変好調です。

宮地地域専門店様向けの取り組みで、「AVトリプル導入」としてビエラDX850シリーズ、全自動ディーガのBRX2020、プライベートビエラ19F6の3商品を5月26日から全国3000間口に一斉導入し、強化を図っています。プライベートビエラは昨年で前年比170%の伸長となりましたが、今年はさらにそこから大きく伸ばしたいという思いです。

今年のモデルではお客様からご要望の多かったBDのコンテンツも家じゅうで楽しめる機能も付加したTD6、D6シリーズも投入し、5月下旬から順次発売していますが、BD対応の上位モデルの動きがもっとも活発です。新規のお客様だけでなく、新たな機能の追加によってすでにプライベートビエラをお持ちの方からの買い替えの動きも出て来た状況です。従来はレコーダー売場での展開でしたが、今年は小型テレビのコーナーでの展開も強化しています。昨年のF5シリーズで小型テレビコーナーでの実需が伸長しましたので、それを受けて今年のF6シリーズもぜひテレビコーナーでの訴求を図りたいと思います。お客様がより多く来店するテレビコーナーで、プライベートビエラの認知度をしっかりと上げていきたいと思います。単価の高い高価値商品として、そうした流れには法人様にもご共感いただいています。

テレビCMでは昨年から47都道府県のキャラクターを登場させ、それぞれの地域でキャラクターのみなさん自ら情報をどんどん拡散していただき、地域に則したマーケティングが展開できました。お客様に見ていただく機会も増えています。

ピュアオーディオ拡大
テクニクスの進化

── 批評家大賞のサウンド部門受賞を始め、テクニクスの商品も数々の受賞を果たしました。

宮地批評家大賞を頂戴しましたダイレクトドライブターンテーブルSL-1200Gは9月から発売となりますが、先行発売しましたテクニクスの50周年記念モデルであるSL-1200GAEは、テクニクスのアナログプレーヤーの復活として、おかげさまで大変な反響をいただきました。

以前のモデルの10万円以下の価格に対してこれは33万円で全世界1200台の限定販売、日本では300台の販売と致しましたが、予約開始からわずかの間に枠が一杯となってしまい、お客様にもご販売店様にもご迷惑をおかけしました。テクニクスのプレーヤーに対するお客様のご支持と期待の高さをあらためて実感しています。

── アナログプレーヤーの市場は全世界的に注目が高まっていますが、テクニクスの銘機の復活で勢いに弾みがつきそうです。御社のテクニクスの取り組みもますます活発ですね。

宮地テクニクスは2014年にリファレンスシリーズのR1、プレミアムクラスのC700シリーズ、今年さらにGシリーズを加えて3つのカテゴリーで単品コンポーネントの世界を展開しています。また2015年に投入しましたSC-C500(OTTAVA)は、今回頂戴しましたリビングオーディオ大賞の名のとおり、生活空間で楽しむオーディオを提案しています。

SL-1200Gも含めて、テクニクスの商品はオーディオ専門店様を中心に、オーディオに造詣のある量販店様や地域専門店様で展開しています。C700はアンプ、プレーヤー、スピーカーのセット販売を推奨してきましたが、たとえば海外ブランドのスピーカーを組み合わせるなど、本来の単品コンポーネントとしての訴求をあらためてご販売店様にお願いして、お客様の選択肢を広げていきます。

リビングオーディオであるC500は部屋の中のさまざまな場所でいい音を楽しめ、これまでのようにオーディオに対峙するよりも、生活空間の中で楽しむ聴き方を想定しています。女性の方や若い方もターゲットにしており、こうした普段オーディオショップにはあまりいらっしゃらないお客様層にどのようにアピールするかが課題となります。

これまでご販売店様で試聴会をさせていただいたり、コンサート会場に展示させていただいたりもしましたが、新たなアプローチにも挑戦しています。6月6日から7月5日まで会員制の施設である六本木ヒルズクラブに出店されているバーに、テクニクスバーといった演出をし、限定された富裕層のお客様に対するマーケティングを展開しています。また、会員制の六本木ヒルズスパをご利用される方を対象にお貸し出しをするといったトライアルも実施しています。女性のお客様にアプローチするという点では、女性誌と組んだ新たな訴求も今後予定しております。こうした取り組みで、オーディオに対するお客様の裾野を広げたいと思います。

◆PROFILE◆

宮地晋治氏
1988年 九州松下電器(株)(現パナソニックシステムネットワークス(株))入社。2012年 AVCマーケティング ジャパン本部 商品グループ グループマネージャー。2013年 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 AVCグループ グループマネージャー。現在に至る。

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