宮地晋治

■受賞インタビュー Panasonic
感性価値に訴えるコト訴求の切り口で
お客様の来店を促進、体感の場を拡げる
パナソニック(株)
日本地域コンシューマーマーケティング部門
コンシューマーマーケティング ジャパン本部
AVC商品部 部長
宮地晋治

薄型テレビのラインナップに有機ELモデルを投入、レコーダーとの連動性も高めて大きく訴求を図る。ハイファイオーディオのテクニクス、ミラーレス一眼カメラルミックスの新展開など盛りだくさんの提案で、夏商戦に挑むパナソニックの取り組みを宮地氏が語る。

有機ELテレビ初導入
プラズマのお客様にアピール

── 総合金賞受賞の高画質モデル群はどれも強力です。テレビにはいよいよ有機ELモデルが加わりました。

宮地有機ELテレビは、EZ950シリーズと、さらに最上位に位置づけられるEZ1000シリーズの2ラインを投入しました。発売に先駆けてショップ店様で特別招待会などを通じ上得意様にご案内されたところ、TH-65EZ1000が多くのお客様からの先行受注をいただき、想定以上の引き合いとなりました。

テレビメーカー各社から有機ELテレビが投入されることもあり、量販店様でも当初の商談よりも間口が拡がっており、65インチモデルのご予約状況が顕著。販売の中心は55インチモデルとなるでしょうが、発売前はまずTH-65EZ1000が勢いづきました。

当社で展開していたプラズマテレビを、現在でもお使いいただいているお客様は非常に多くいらっしゃいます。プラズマパネルと同様、自発光パネルの有機ELテレビはそういったお客様にとってまさに待ち望まれた存在ではないでしょうか。当社では有機ELテレビの展開について、まずプラズマテレビのユーザー様を第一のターゲットとして買い替えのご提案をし、有機ELテレビの本年度の市場シェア4割を頂戴したいと思っております。プラズマテレビも65インチ、50インチ台で展開していましたから、有機ELテレビの65インチサイズも抵抗なく受け入れていただけると思います。

さらに、4Kテレビ初号機を購入されたお客様も重要なターゲットです。先端のデジタル製品を好まれるお客様に対して、新たなデバイスのテレビを訴求し、刺激したいと思います。スタートでは先頭集団のお客様にアプローチして有機ELのよさを拡散していき、次の段階ではさらなる拡販につなげて参ります。

またこの夏からはマーケティング活動も積極展開します。まずは店頭で有機ELの存在をご確認いただきたいのが第一。夏のボーナス商戦に合わせて6月後半からテレビCMも新たにスタートします。まったく新しいテレビに対する驚きを強調した演出、綾瀬はるかさん、西島秀俊さんを起用して感性価値を表現し、コト訴求の内容でお客様を店頭に導きます。

これから2019年、2020年とテレビの需要は大きく拡がる見通し。お客様に価値を伝え、いい商品を使って喜んでいただける提案をしながら、できるだけ高インチゾーンの販売を増やしたい。まずこの夏がそうした方向性への大きな一歩となります。

── 有機ELテレビは店頭での大きなコーナー展開が期待されます。

宮地この夏からAV製品のキャッチフレーズは「Every Day is a Sunny Day」として、テレビCMも統一感のあるイメージでコト訴求をしていきます。店頭もその内容を踏襲した展開になってきますね。カタログもテレビの総合カタログとは別に、EZ1000の単品カタログを用意して、感性に訴えかける内容としています。さらに秋以降は平昌オリンピックを前面に出した展開となり、平昌オリンピック以降は東京オリンピックを見据えた「2020公式テレビ」をアピールするマーケティングに切り替えて参ります。有機ELを大きなフックとして、パナソニックブランドのイメージをより高めていく展開になります。

店頭では特に黒の締まりや色再現性といった有機ELの特長を体感いただきやすいデモコンテンツを新たに用意しました。またビューティフルジャパンの映像も各地域で活用します。店頭の有機ELコーナーが注目されると思いますが、そういう中でもより当社のテレビに興味を持っていただけるよう、しっかりと展開して参ります。

── レコーダーも高く評価されています。

宮地テレビの新製品にはすべて、「アレコレchannel」機能が搭載されましたが、「全自動ディーガ」との組み合わせで放送中の番組、録画された番組、ネットのコンテンツ、有料コンテンツなどを一覧で表示する機能で、見たいものが素早く探せます。テレビとディーガをネット環境につなぎ、テレビ視聴のより新しい楽しみ方が提案でき、さらにディーガの同時訴求もすすみやすくなると期待しています。

今、ディーガのお客様のネット接続率は4割近くにのぼり、最近では宅外視聴の利用も増えています。録画コンテンツをスマホやタブレットにダウンロードして、宅外のネット環境に関わらず快適に視聴できるようになりました。こうしたことは、積極的に認知を拡げることにより、拡販の追い風になると考えます。

その1つとして、スマホやタブレットをお使いの方々をターゲットに、Yahooo!さんのアプリのトップページを活用し、「スマホやタブレットをつないで一番楽しいのはパナソニック」とアピールするプロモーションを展開します。

「全自動ディーガ」の名称での訴求は3年目。そのメリットが大分浸透して参りました。レコーダー全体の中で今5%ほどの割合ですが、今年は10%まで引き上げたいと思います。

── レギュラーディーガでは、ハイレゾ音源を貯めてサーバーとして活用する楽しみ方もあります。

宮地e-onkyoミュージックと連動させるとパソコンなしでハイレゾ音源をダウンロードでき、ご好評いただいていましたが、昨年モデルからは音楽CDの音源も保存し、ハイレゾ相当にアップコンバートできるようになりました。音楽を貯められる機能は、お客様の選択ポイントの上位に上がっています。ハイレゾ対応テレビDX850との連携は高まっていますが、今後はワイヤレスコンポなどとの連動性も高めたい。無線対応のオーディオシステムのラインナップを、ハイレゾ以外でも増やしながら、家じゅうどこでも音楽を楽しめる新しい使い方やアプリの使いやすさを向上させて参ります。お客様の使い勝手を進化させ、家でも外でも、車の中でも、の世界観を構築するべく強化して参ります。

宮地晋治

お客様層の拡大へ注力
テクニクス、ルミックス

── テクニクスのNEWグランドクラスが、企画賞を受賞されました。

宮地ターンテーブルのSL-1200GRは非常に引きが強く、想定以上のご注文をいただいています。スピーカーのSB-G90ともども一部でお届けに時間を要し、ご迷惑をおかけしている状況です。

テクニクスではおかげ様で、全国のオーディオ専門店様にも認知が拡がりました。新たに移動式試聴ルーム「テクニクスサウンドトレーラー」を投入し、お客様の体感の場を拡大する取り組みを行っています。今後は、かつてターンテーブルを大きく取り扱っていただいた楽器店様のルートの掘り起こしが課題であり、しっかり展開していきたいと思います。高級オーディオ店様のお客様とは異なる方々へのアプローチの手段として、重視しております。

── ミラーレス一眼DC-GH5は特別賞を受賞しました。

宮地「4K60p動画&4:2:2 10ビット」の撮影を全面訴求するモデルです。4K60p動画&4:2:2 10ビットは北米や欧州では非常に注目されており、予想以上の受注を頂戴しています。今後は、日本市場でもプロ動画を撮影される方やユーチューバーを中心にハイエンド動画市場も欧米並みに盛り上がってくる兆しがあります。これを弾みとして、日本でも4K60p動画&4:2:2 10ビットの訴求に注力したいと思っております。

このほど秋葉原に「ルミックスプロフェッショナルサービス」というプロカメラマン向けの拠点を設置しました。事業部のメンバーがそこに駐在し、プロカメラマンに直接対応致します。機器のメンテナンスなどに対応しながらGH5やLEICAレンズの貸し出しも行い、体感の機会を拡げております。ここからプロシューマーの開拓を強化していきます。

GH5は画質だけでなく、動画無制限記録も高くご評価いただいています。日本ではムービー の市場が縮小しておりますが、4K60p動画で新たなご提案をしながら市場を盛り上げていきたい思いです。地道な活動で、動画を撮る一眼カメラはルミックス、といったところを拡げて参ります。

さらに、「6Kフォト」のご提案をしております。従来の「4Kフォト」は約800万画素の長時間連写でしたが、新搭載の「6Kフォト」は高画質約1800万画素で秒間30コマの長時間連写が可能になりました。画質的にも十分に写真クオリティをお楽しみいただけます。動画が強いルミックス、そこから静止画へも、ハイブリッドカメラとしてGH5から2つの軸をつくって参ります。

── この夏は盛りだくさんの展開となりますね。おおいに期待しております。

◆PROFILE◆

宮地晋治氏
1988年 九州松下電器株式会社(現パナソニックシステムネットワークス株式会社)入社。2012年 AVCマーケティング ジャパン本部 商品グループグループマネージャー。2013年 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 AVCグループ グループマネージャー。現在に至る。

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