巻頭言
原点回帰
和田光征
WADA KOHSEI
1986年ハレー彗星が地球に回帰した際国立天文台が撮影した写真を、インターネットで見ることができた。私は鮮やかな美しい写真をコピーして社員一人一人に配り、そして大きな声で「これから世の中、ハイスピードで変わるぞ!」と訴えかけた。1995年のことだった。
そして大昔、故郷の村で母と1時間近く歩いて郵便局に行き、1時間近く順番待ちをして電話をかけたことを思い起こした。その後村にはもちろん各家庭に1台電話が普及したが、これからは1人1台、加えてインターネットとつながりコミュニケーションが拡大する。そしてインターネット通販によって、九州の片田舎にも「三越百貨店がやってくる」と社内で語り合っていた。
私は、出版業界、新聞業界にもその大波が押し寄せ、とんでもないダメージを受けると強烈に思っていた。そして「業界の建設的発展に寄与する」との小社の脈々と続く理念を継承するために、オーディオビジュアルの専門ポータルサイトを早急に立ち上げるべきだと思っていた。
1999年3月に発行した「ホームシアターファイル」のファイル、つまりギリシャ語の「愛」「愛好する」「同好者」を冠したPhile webをサイト名として登録、また.jpと.comを同時に登録した。さらに著作権やクレーマー対策のためにこうした面に強い弁護士事務所と契約し、万全を期した。
オーディオビジュアルの専門サイトとして毎日、週間、毎月更新するコンテンツを揃えた。ニュースソースはSenka21、全オーディオビジュアル雑誌、そして編集記者及び評論家の先生方の執筆で構成し、一級の精度と運営で業界の繁栄にしっかりと貢献する決意をもってスタート台に立ったのだった。
関連メーカー各社をお訪ねして皆様からご賛同の声をいただき、2000年6月に事業化を実現した。本年で18年目を迎えたが、ユニークユーザー数も170万人を超え、その精度の高い内容から運営側からも高い評価を頂いている。ますます業界発展のインフラとして強化していきたい。故に「原点回帰」である。