ただの4Kチューナーじゃない!
PIXELA 4K Smart Tuner
「PIX-SMB400」
- 提供するのは“モノ”ではなく体験
目指したのは「AIディスプレイ」
-
株式会社ピクセラ
製品事業本部 製品事業企画部門 副部門長
兼 製品企画部 部長
- 森 佳昭
Yoshiaki Mori
待望される4Kチューナーに、地デジチューナーの普及に大きく貢献したピクセラが、PIXELA 4K Smart Tuner「PIX-SMB400」をいち早く発表。10月5日よりいよいよ出荷が開始される。テレビを取り巻く環境の変化を捉え、ネット動画やスマート機能を搭載して商品化、“ただの4Kチューナー”にとどまらない提案を投げ掛けた。商品企画の狙いと導入への意気込みを森氏に聞く。
二段構え、三段構えで
お客様の満足度を高める
対応の急がれる4Kチューナーに、PIXELA 4K Smart Tuner「PIX-SMB400」をいち早く発表されました。しかも、ただの4Kチューナーではありません。開発経緯からお聞かせください。
森昨年3月に開催した「成長戦略発表会」の場で、4K試験放送受信機を初めて披露しました。9月には放送局から、当時、百万円以上する高価な受信機しかなかったことから、もう少し安価ものを販売していただけないかと要望を受け、コンシューマー用に開発していたものを途中下車する形で数十万円の価格で提供することができました。
2011年の地デジ化に際し、当時1万5000円前後した地デジチューナーを、もっと多くの人が享受できるよう5000円以下の安価なものを提供しました。今回も当初は同じ考え方で臨んでいましたが、世の中を見回せば、若者を中心にテレビ離れが起こっています。家電量販店のテレビ売り場を見れば、並んでいるのは大型テレビばかりで、単にテレビ番組を見られればいいという小型テレビはすっかり影を潜めています。
新しい4Kコンテンツが大変高画質なことはわかっていただけますが、地デジ化のような“置き換え”ではありませんから、どうしても見たくなる魅力的なコンテンツが揃っているかどうかが一番のポイント。それがまだないと判断されれば、せっかく用意したチューナーも買っていただけません。
テレビ離れが指摘される若者は、スマートフォンでYoutubeをはじめとするネット動画を視聴する時間が増えました。しかしそこにも動画はやはり大きな画面で楽しみたいというニーズも高いと言います。その大型テレビではネット動画を楽しめることが当たり前のようになっています。
そうした流れの中で、単に新4K衛星放送が受信できるだけでは商品価値は十分ではないと判断しました。OSもこれまでは各社が採用するLinuxでしたが、新たにAndroid TV OSを搭載することにしました。ネットワークに接続すればYouTubeはもちろん、世界最大級のオンラインストリーミングサービス「Netflix」で4Kをはじめとする多彩なコンテンツを楽しむことができます。
リモコンにも「Netflix」の専用ボタンがあり、気軽にアクセスできますね。さらにスマート化にも踏み込まれた。
森「Android TV OS」を採用した大きな理由のひとつは、音声認識に優れていることです。国内のスマートフォン市場はiPhoneの人気が圧倒的に高く、約半数を占めています。しかし別の視点から捉えれば、残りの半数はAndroid端末だということ。OSに採用したAndroid 8.0 Oreoには、Googleアシスタントが標準搭載され、音声によるテレビの操作はもちろん、当社の強みを活かし、家の中のさまざまな家電を、テレビを軸にホームIoTで繋いだ豊かな生活を提供していくことができます。他社はテレビ番組がメインで、ネット動画などは補完的な位置づけに過ぎませんが、ピクセラではテレビ番組とネット動画やスマート機能を対等な関係に位置付けています。そのスタンスが大きな違いと言えます。
PIXELA 4K Smart Tuner「PIX-SMB400」
10月5日発売/オープン価格(ピクセラ直営店価格・29,800円税抜)
家庭のハイビジョン対応テレビや4K対応テレビを買い替えることなく、本製品を繋ぐだけで、高画質で臨場感あふれる「新4K衛星放送」が楽しめる。USB対応ハードディスクを接続すれば、既存の地上/BS/110度CSデジタル放送だけでなく、新4K衛星放送の録画も可能。Android TV OSを搭載することで、インターネットに接続してYouTubeやNetflixの多彩なコンテンツも楽しめる。さらに、Googleアシスタントを活用したスマート機能も実現。4Kチューナーにとどまらない多彩なパフォーマンスを備えるのが大きな特長だ。
大きな入り口となる
リビングの4K化
新4K8K衛星放送のスタートまで3カ月を切りました。
森新4K8K衛星放送を受信できない4K対応テレビは累計で900万台に上るとも言われており、リビングのテレビを4K化したいというニーズが、今のタイミングではやはりもっとも大きなフックとなります。
しかし、そこにとどまらず、ネット動画の視聴やGoogleアシスタントの機能がこれ1台で全て手に入る。お父さんお母さんは新4K衛星放送の番組を、お兄ちゃんはスマホのネット動画の続きを大画面でなど、家族それぞれの楽しみ方を提供します。様々な生活シーンにおけるちょっとした課題を解消し、今までにないテレビ像を創造していきたい。
AIスピーカーは話題になっていますが、普及はまだこれからの段階です。
森ある調査会社の予測では、AIスピーカーは2019年に早くもピークを迎え、その後、市場は縮小するとしています。それは、AIディスプレイが取って代わると見るからです。例えば、「一週間の天気を教えて」と聞いたときに、AIスピーカーでは「月曜日は…、火曜日は…、水曜日は…」となるわけですが、AIディスプレイなら週間天気予報の画面をパッと映し出すだけで済む。視覚と聴覚の情報量の差は歴然です。今後のテレビのあるべき姿は、テレビにGoogleアシスタントが搭載されるのではなく、AIディスプレイの一つの機能としてテレビがあるのだと考えています。
商機拡大を実現する
AIディスプレイ
9月12日から予約開始され、10月5日より出荷開始となります。
森新4K衛星放送開始前にも、Netflixで4Kコンテンツなどがお楽しみいただけます。我々が売りたいのは“モノ”ではなく“体験”です。今後、ピクセラではテレビの発売も計画しています。正確に言えばテレビではなく、AIディスプレイですね。4Kやネット動画の時流をうまく捉えながら、他社とコラボしたタイアップPRなども積極的に行っていく計画です。
発表以来、市場からの手応えはいかがですか。
森チャレンジブルな商品ですが、私たちの考え方、実現される世界観に賛同いただけた方も数多く、大変心強い限りです。勝負は商品が発売されるこれからですから、気を引き締め、店頭での露出拡大に取り組みます。少し不安なのは大きな突破口となる新4K8K衛星放送の認知度がいまだ決して高くないこと。開始まであと3カ月を切り、どこまでリカバリーできるのか。鍵を握るのはやはりコンテンツですから、大きなインパクトを発揮する番組を期待しています。
店頭で単純に4Kチューナーとして埋もれさせない工夫も必要となりますね。
森まず、特長をご理解いただく活動を丁寧に進めていきます。お客様の満足度を高め、店頭での商機を拡げることにもつながります。地域やお客様の年齢・用途などで価値観が異なりますので、それぞれの商圏や売り場に合わせ、どのような味付け、料理ができるかが大切になります。
リビングに新しいスマートテレビを手に入れれば、お下がりで寝室に来るテレビもスマート化したくなる。「PIX-SMB400」を加えればそれが実現できます。テレビ市場の縮小が指摘される中、「PIX-SMB400」をひとつの起点にご販売店と一緒に新たなチャレンジを行って参ります。
PIXELA 4K Smart Tuner「PIX-SMB400」は、同社が推進するスマートホームハブ事業の中核を担う製品の一つとしても位置付けられ、Googleアシスタントを活用した音声によるテレビの操作だけでなく、強みとする家中のさまざまな家電を、テレビを軸にホームIoTで繋いだ新しい生活空間の提供を可能とする。