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受賞インタビュー「アキュフェーズ」

伊藤英晴

創業以来の基本姿勢と経営理念を堅持
確かなものづくりとブランド発展に注力
アキュフェーズ株式会社
代表取締役社長
伊藤英晴

オーディオ機器づくりの高い理想を掲げて技術力を磨き、すぐれた製品を創出し続けるアキュフェーズ。国内のみならず海外でも高い評価を獲得し、ブランド力は勢いを増す。販売店とともに、お客様への丁寧な接点づくりを重ねながらまい進していく同社、13年連続金賞受賞の意気込みを伊藤社長が語る。
インタビュアー/徳田ゆかり Senka21編集人 写真/君嶋寛慶

販売店とともに
お客様との絆をつくる

御社のオーディオ銘機賞における金賞受賞が、連続13回を数えます。

伊藤ありがとうございます。アキュフェーズは1972年の創業以来、真の高級オーディオづくりへの高い理想を掲げ、高度な技術で付加価値の高い製品を創り続けてきました。独自の経営理念でポリシーを貫くものづくり、販売店様とともにお客様との絆を大切にする姿勢が皆様に評価され、連続金賞受賞に繋がったかと思います。この栄誉に大きな喜びとともに、新たな使命を感じます。これからもオーディオ業界発展のために、邁進して参ります。

金賞に輝いたデジタルプレーヤー「DP-750」の訴求ポイントと、市場での手応えをお聞かせください。

伊藤「DP-750」は一体型CDプレーヤーのリファレンス機。セパレート型の「DP-950/DC -950」のノウハウを全て受け継ぎ、一体型の前モデルDP-720から4年半振りにフルモデルチェンジした新製品です。アキュフェーズ伝統の技に、回路・機構面とも最新のテクノロジーを結集し、ディスク音源、ハイレゾ音源などあらゆるデジタルソースの音楽情報を高品位に再生します。一体型としての頂点を目指し、こだわりと豊かな感性で音を練り上げ、より深い感動をお届けする最高峰のSACD/CDプレーヤーとなりました。

今年6月の発売で初回ロットは瞬く間に完売、当社の前期売上げに大きく貢献してくれました。かなりの高額品にもかかわらず、国内はもとより海外でも非常に高い人気となっており、本物の存在感の強さをあらためて感じています。

「E-480」「A-75」が銀賞、「C-2150」「P-4500」が銅賞受賞と、今年のラインナップは力強いですね。販促策などをお聞かせください。

伊藤今年はエントリーから最高峰まで、多くの特長ある新製品を投入致しました。高性能なエントリーモデルが充実し、アキュフェーズに興味を示してご購入されるお客様を増やしたいと期待しています。当社では常に、販売店様を通じてお客様との絆を大切にした販売を第一と考えます。自信を持って開発し製造した製品を、販売店の皆様方に、正しく、適正な価格で売っていただく。そのため、当社の経営方針にご賛同いただけた販売店様とのお取引とさせていただいています。

高価な趣味製品の販売は、見て・聴いて・触れられる環境が必須です。Web上ではなし得ない対面での販売を必須条件として、販売店の皆様にご協力いただいているのです。お店での十分な情報交換によって、お客様が製品の知識を共有し使い方を習得し、最高の音質を作り出す方法を研鑽されます。メーカーから販売店、そしてお客様へ、三位一体のトライアングルで製品が流通し、長期間のサービスも含めて品質を保つことができます。

新製品導入時は全国の主な販売店様と協力し、必ず試聴会を開催します。担当した弊社の設計者が自ら講師となり、製品の生の情報を正確にお伝えして大変好評です。お客様の要望を直接お聞きする貴重な機会にもなり、次の製品開発にも反映していきます。

ご購入に際しては、お客様のご自宅での試聴もお薦めしています。弊社で貸出用の試聴機を全製品用意し、販売店様からお客様のお宅に持ち込んで実施しています。オーナーとなられたお客様が製品をご登録されることにより、当社でデータベースを構築し、ご連絡をとりやすくしています。中古品のオーナーの「セカンドユーザー登録」も開始一年間で700名を超えています。当社からオーナー様宛の年賀状は、今年約5万通となりました。これもお客様との絆を大事にする、きめ細かなアフターサービスの一環です。

伊藤英晴

昨今の手応えは如何でしょうか。

伊藤この9月20日までの当社の前年度は、下期に強力な新製品を投入、営業・技術総出で販売店様とのイベント等を開催し、一昨年度とほぼ同じ実績となりました。海外は通期にわたり好調で、海外比率は4割以上に上昇してきました。海外の代理店が当社の企業ポリシーを理解し、当社の製品をメインに扱ってくれることも功を奏しています。

好調な海外のお蔭もあり、内外の累計売上げは一昨年度より数%伸び、前期はまずまずの利益が確保できる見通しです。短期の増収・増益を追及するより、長期的観点を持って、創業時の基本姿勢や経営理念をしっかり堅持しながら、アキュフェーズ・ブランドを維持し発展させることに全力を注ぎます。

今期は、好調に推移する海外の割合を若干増やした売上げを計画しています。引き続きお客様の興味を喚起する魅力ある製品を提案することが肝心で、今回の受賞を励みに、景気動向に振り回されることなく製品の魅力と中身で勝負できる開発に注力して参ります。

御社の変わらない経営方針や企業姿勢が、長年にわたるすぐれた製品づくりの礎になっています。

伊藤アキュフェーズは創業当初から自らの理想とするオーディオ機器作りを貫き、4年後に控える50周年に向けて飛躍を期しています。その原動力は、創業者が提唱した「科学技術を通して人間性の向上につとめ、人類の発展に貢献する」の社是、「自らが感動する世界第一級の製品を製造し正しく販売し、技術的にも営業的にも業界の質的リーダーになる」の基本理念。そして会社規模を大きくしないで、少数精鋭主義の会社経営と、長く愛されるための上質なものづくり、製造・販売・ユーザーの三位一体で確立する長期のアフターサービス、といった経営方針です。

自由経済の中で企業は成長を追いますが、無限の需要などありえません。また大量生産の中では製品の個性や高度な趣味性が失われます。我々アキュフェーズは「量より質の追求」を徹底し、音、性能、品質、デザインに「こだわり」を持ち、製品を納得がいくまで徹底的に作り込んでいるのです。

人生を楽しみ、豊かな感性を養うために音楽は必要不可欠で、音楽を聴くにはオーディオ機器が必要です。私達は良い音を奏でる機器をご提供し、お客様に無限の感動を味わっていただくために力を注いでおります。昨今企業に求められる品質問題やサービス対応にも万全を期し、圧倒的に故障が少なく長期間安心して使用でき、壊れても可能な限り修理に応じる。お客様の信頼を裏切らない姿勢、地道な努力を重ね継続する力が、長い間に企業イメージやブランド力を高めてくれたと信じています。

これからも販売店様と一緒に歩み、良いモノを適正な価格で売れるよう、ブランド価値に磨きをかけ、お客様から信頼されるメーカーとして魅力あふれる製品を作り続けて参ります。

◆PROFILE◆

伊藤英晴
1944年11月15日長野県生まれ。67年4月トリオ(株) 入社。73年4月アキュフェーズ(株)入社、技術部、品質保証部、広報宣伝部などに従事。04年取締役。09年専務取締役。11年代表取締役副社長。13年代表取締役社長に就任、現在に至る。

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