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「ビジュアルグランプリ2009」特別金賞、「デジタルカメラグランプリ」総合金賞をダブル受賞したパナソニック。西口氏は、堅調に推移するデジタルAVは「低迷する日本経済をけん引していく役割を担う」と力強く語る。その推進役ともいえるビエラを中心としたデジタルAVのさらなる進化へ、パナソニックが描く成長戦略を聞いた。 インタビュアー:音元出版社長 和田光征 |
■日本経済を牽引する薄型TV&BDレコーダー ――ビエラPZ800シリーズが特別金賞、PZR900シリーズが金賞となりました。おめでとうございます。 西口 プラズマはパナソニックの基幹商品です。社名変更、ブランド統一により、まさに全社をけん引する看板商品となりました。位置付けや責任がさらに重くなる中での今回の賞は、これまで以上に大変意義のあることだと思います。 PZ800シリーズでは、10月1日の社名変更、ブランド統一にタイミングを合わせて、103、65、58V型を追加。春には46V型をラインナップに加えており、あらゆるサイズで対応ができます。一方、PZR900シリーズでは、新たな領域に挑戦しようと1TBのHDDを搭載しました。 ――ビエラにリンクもますます強力になります。つながる領域も段違いですね。 西口 まず、使い勝手のよいものが欲しいというお客様の基本ニーズに対し、さまざまな視点から改善し、これまでにない使いやすさを実現してきました。同時に、テレビCMや店頭でのタッチ&トライを通して、お客様にお伝えしています。しかし、改善されるべき要素はまだまだあります。 商品企画の際にも、商品そのものの尖がり方と同時に、他の商品とのつながりという点に対しても同時に検討を行っています。社内でもあらゆる事業ドメインにおいて、そうした考え方が徐々に定着してきています。最初はそれこそ意識的に、「リンクしているのか」と確認している状態でしたが、最近ではごく自然に、お互いのつながりを配慮するレベルにまで達しています。 商品群の広がりとしてはもちろんトップクラスであり、それが、パナソニックの強みです。つなげられる商品の範囲を広げ、1年前からはセキュリティの分野もビエラにリンクで操作を可能としました。しかし、まだまだ実現できていないところもあります。今後もどんどん広げていきたいですし、リンクそのものの進化についても、ワイヤレス化を実現するなど、まだまだ宿題はいっぱいあります。お客様には、これからのパナソニックのビエラにリンクの進化に期待していただきたいですね。 ――BDレコーダーも順調な立ち上がりを見せていますね。 西口 北京五輪終了後、BDレコーダーを核に据えた「ブルーレイシネマキャンペーン」の展開をスタートさせました。夏は各社混戦状態だったBDレコーダーですが、現在はそこから大きく抜け出し、パナソニックがシェア40%を獲得しています。 現在、国内のAV市場を引っ張っているのが、薄型テレビとこのBDレコーダーです。世間では景気後退が大きな話題となっていますが、薄型テレビ、BDレコーダーともに大変堅調に推移しており、日本のAV業界が、停滞する日本経済全般を引っ張っていく役割を今後担っていく立場にあるのではないかと思います。 エンターテインメント分野は、お客様の欲求が非常に純粋ですから、それだけ、景気のアップ・ダウンに左右されにくい分野と言うことができます。メーカーサイドとしては、常に、チャレンジ精神を商品として具現化していく。その、ものづくりの姿勢さえ忘れなければ、自ずと、お客様からの支持を得られる。 |
PANASONIC プラズマテレビ PZ800シリーズ |
PANASONIC デジタル一眼カメラ DMC-G1 |
■デジ一眼の新市場をDMC-G1が創る ――今回は新設された「デジタルカメラグランプ」でも、DMC-G1が総合金賞を獲得されました。 西口 デジタルカメラは後発、しかも、ゼロからの出発でしたが、ルミックスのチャレンジに、市場からも大変高い評価をいただいて参りました。そしてDMC-G1も、デジタル一眼の新しい市場を創っていくひとつのチャレンジです。女性を含めた皆さんに使っていただき、新たな商品カテゴリーとして市場に定着できるよう、さらなる商品の進化、ラインナップの拡大を目指していく。そのスタートにあたっての今回の受賞は、本当に、事業部門、開発陣を含め、皆で喜びあえ、かつ勇気付けられる賞をいただくことができたと思います。 ――審査委員も「新しい市場を創造する」という点を大変高く評価されています。 西口 10月31日の発売当日には、色々な店に足を運びました。店長自らが陣頭指揮を執り、商品に当てる照明の当て方ひとつまで、どうしたらお客様によりよく商品を見ていただけるかと工夫されているご販売店もあり、メーカー、流通が本当に一体となり、新しい市場を創っていくのだという意気込みを強く感じとることができました。販売実績も、発売とともに、いきなり2桁のシェアを獲得するなど、できすぎと言えるくらいのテイクオフで、まさに垂直立ち上げで立ち上がっています。 ――プロモーションでは樋口可南子さんを起用されるなど、かなり女性を意識しているように感じます。 西口 当初考えた通りの打ち出し方で進めています。実際に店頭では「樋口加奈子さんの宣伝しているルミックスありますか?」という女性のお客様も少なくありません。今までの一眼ユーザーが興味を示してサブのカメラとして購入されるケースも目立ちますし、また、コンパクトからのステップアップとしても位置付けられています。一眼の新しいユーザーと従来のユーザーという両面を捉えられたことが、垂直立ち上げにつながった。店頭でも一眼とコンパクト、両方の売り場から展開いただいており、コンパクト売り場では、単価アップにもつながっています。 ――デジタルカメラグランプリでは、DMC-LX3が、コンパクトカメラでは唯一、審査委員特別賞を獲得しました。 西口 LX3は、かなり熱の入った商品企画をやりました。デジタルカメラでは、FX37に代表されるFXシリーズ、総合金賞をいただいたG1、そして、コンパクトのハイエンドを盛り上げたいという意思を込めたLX3という、3つの柱を展開しています。G1とともに、LX3にも高い評価をいただけたことは、メーカーとしても想いが届いたという心境ですね。 ――今年のCEATECでは、未来の生活像を見せられていました。ビエラにリンクが実現する世界も、従来のデジタルデバイトを解消するというステージから、さらにひとつ上のステージへ突入した印象をお受けします。 西口 今年のCEATECでは、技術的な要素開発など、皆様に肌で実感していただけたのではないかと思います。従来、日本のメーカーは、具体的な商品をリリースされる直前になって、そうした技術的な要素を説明していましたが、パナソニックの基本姿勢としては、これからはある程度のスパンを先駆けて、われわれが進んでいくのはこういう方向ですよという技術的背景も常に一緒にお見せしながら、将来性を示していくことが必要だと思います。 ――さきほど「宿題がいっぱいある」というコメントがございましたが、これからどんな商品が出てくるのでしょう。 西口 大きなテーマのひとつは使い勝手です。操作性がよくなったとはいえ、例えば、リモコンでのメニュー操作も階層が深くてわかりにくいなど、まだまだ色々なご指摘をいただいています。それらを地道に進化させていく。しかも、そうした地道な部分の改善に対し、お客様からわれわれが思った以上に反響をいただくことが少なくありません。 また、商品の広がり感も実現していかなければなりません。特に携帯電話やカーエレクトロニクスとの連携については宿題だらけです(笑)。「出先から操作や確認ができたらいいのに」といった声は大変強いですからね。さらにその先にはまた、白物を含めた電化製品があります。これらをひとつひとつ解決して、生活をより楽しく、快適にして参ります。どうぞご期待ください。 |
西口史郎氏 プロフィール |
Shiro Nishiguchi 1957年生まれ。三重県出身。1980年4月、一橋大学卒。80年、松下電器産業(株)(現パナソニック(株))入社。その後、アメリカ松下へ出向。テレビ事業部国際部部長、テレビ事業部商品企画部部長、LCDテレビビジネスユニット長を経て、2007年4月より、パナソニックマーケティング本部本部長に就任。 |
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