―― 現在、テレビ市場は大変活況を呈していますが、“アフター・地デジ"についてはどのように見ていらっしゃいますか。
岡田 先日、総務省から3月時点の地デジ普及率が83.8%との発表がありましたが、2台目需要などもまだあり、全体ではようやく半分が置き換わったイメージですね。台数にしても、地デジ化の済んでいないテレビがまだ6,000万台から7,000万台は残されていると思います。
お客様も本当は、寝室や子供部屋もテレビを買い替えたいと考えているのだと思います。しかし、それを実需につなげるために大切なのが付加機能です。小型=安価なモデルというイメージがありますが、それは設置スペースの都合にしか過ぎません。小型でも高機能、付加機能のあるテレビを見たいとのご要望を数多くお聞きしています。
付加機能のひとつとして、<レグザ>では、遅延時間の短い快適な操作性と超解像技術による映像処理やスケーリング処理でより美しくゲームが楽しめる「ダイレクトモード2」や、ポータブルゲーム機の画面を<レグザ>の大きな画面いっぱいに使って楽しめる「ポータブルズーム」など、プライベートルームでのゲームニーズに応える機能にも注力しています。
|
「ダイレクトモード2」ではIP変換、超解像処理、スケーリングの時間をさらに短縮。より遅延の少ないゲームプレイが可能になった |
|
テレビ市場は通常ペースに一度戻りますが、テレビが放送だけでなく、楽しみ方が変わってくる。そこへきちんと応えていくものでなくてはなりません。そこで、お客様にどのような提案を行っていくかは、一番近くにいるご販売店の方と一緒になって進めていきたいと思います。
―― この春の新ラインアップでも、ブロードバンドやDLNA対応などのネットワーク機能が強化されています。
岡田 お客様の立場に立って、今、何を一番やりたいのかを考えたときに出てくる答えのひとつが、家庭内のホームネットワークです。テレビがホームサーバーとなり、リビングで楽しんでいたコンテンツの続きが寝室でも手軽に楽しめる。そうした提案を積極的に行っていくためにも、春夏商戦向け新商品の全機種をDLNA対応としました。使い勝手もひとつのポイントになります。「Z1シリーズ」ではWindows7対応パソコンからの操作で<レグザ>をコントロールしたり、PC内の映像を<レグザ>で再生することを可能にしています。
|
Windows 7とレグザの連携イメージ |
|
ポイントは、店頭でどう訴求していけるかですね。多くのお客様は「まだまだ先」というイメージの世界が、実はもうすぐそこまで来ている。うまく提案できれば単価も上げられるし、2台目・3台目需要もより喚起できる要素になります。いち早くハードディスク録画対応を推進し、“時間"からの解放を実現してきましたが、今度は“場所"。場所を気にせずに楽しめる環境を早く浸透させていきたいと思います。
今後、テレビに対するニーズが多様化していく中で、我々の持つ技術をどう活かしていくことができるか。ポスト地デジ後も、テレビの楽しさは健在です。ただし、何をどのように楽しむのか。ますます提案力の勝負になってくると思います。 |