□□□□□井上千岳のラスベガス-西海岸・珍道中!(10)□□□□□
その音まで聴かせてもらえるとは思わなかったが、最上の席での『パトリオット』。これは凄かった。いままでのどんな音とも違う。なにしろ厚い。セリフは見事に脂ぎって、肉質の厚みをたっぷりと利かせた印象だ。それでも決してこもらないのはホールが広いせいか。それに音楽、効果音のどれもが決して混ざらない。全てが独立して、音楽などまるでそこで演奏しているかのようだ。遠近もおそろしく深い。スクリーンの奥の遠くまで音が広がっている。そして重低音の激しさといったらない。大砲の炸裂する音がとにかく大きいのに、スカッと切れがよく大変な圧力を感じる。これがつまり本当の本物なのだ。ハリウッドまで来た甲斐があったと思った。
この音を今後はレファレンスにしていかなければならない。けれど同時に思うのは、この音をホームシアターで出すのは不可能だということでもある。映画はやはり映画だ。にもかかわらず、そこに近づけてゆこうというのがホームシアターの醍醐味でもあろう。目標は遠いほど励みになるというものである。貴重このうえない経験であった。
<写真左>アカデミー・ゴールデンシアターを我々の取材の為に貸し切ってくれ、『パトリオット』をデモしてくれた。金色に光るのはもちろんオスカー像
<写真右>スクリーンの裏側につれていってくれてそのスピーカーシステムについて話す、グリーンフィールド氏。本当にお世話になりました!