録音したその場所で体感する「クセナキス」

パーカッショニスト加藤訓子の最新作『IX』の発売記念イベントが開催決定!

公開日 2015/04/20 18:19 季刊NetAudio編集部
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リンレコーズ唯一の日本人アーティストであるパーカッショニスト、加藤訓子。これまでにリリースされた『KUNIKO PLAYS RIECH』や『CANTUS』といった作品は、豊富な音の情報を記録した音楽性豊かな作品として、数多くの音楽ファンから絶大な支持を集めたことは記憶に新しい。

加藤訓子の作品で注目したいのが、CDやSACDといったデジタルメディアに加え、いち早く192kHz/24bitのハイレゾ録音、そしてアナログ盤でもリリースするなど、常に幅広いオーディオファンへ向けた展開も行っていることだ。特にハイレゾにおいては、マリンバをはじめとした極めて広い帯域を持つ楽器の音色を限界まで収録したサウンドで、次世代の音楽フォーマットの可能性を知らしめる意味でもとりわけ重要な位置付けを担うことになった。

「PROJECT IX PLEIADES」のフライヤー

そんな加藤訓子の最新作となる『Xenakis:IX(アイエックス)』が発売され、早くも大きな話題を集めている。その発売を記念したユニークなイベントが、2015年5月1日(金)〜3日(日)の三日間、神奈川県立相模湖交流センターにて行われることが決定した。会場となる相模湖交流センターは、『IX』の収録にも使用されたホールのひとつとなる。

今回、加藤訓子が挑んだのは、数学者であり、建築家であり、そして音楽家であったギリシャのヤニス・クセナキスの楽曲。「難解を超え、時に不可解」とさえ言われるクセナキスの楽曲を「アンサンブル」にこだわり「6名の加藤訓子」によって演奏される作品となっている。

特に興味深いのは、クセナキスがスコアに記した事項を加藤訓子が忠実に再現している点。クセナキス自体は実は楽器の指定していないことが特徴で、打楽器の素材と考えられるものを前提として楽曲が構成されているという。

『IX』の収録が行われた相模湖交流センターの様子。デジタルマイクなどいま注目の最新レコーディングソリューションをフル活用して収録は進められた

今回の『IX』で使用された楽器の中でも、とりわけ象徴的な存在となるのが「ジクセン」という楽器

今回の『IX』では、マリンバやヴィブラフォンといったお馴染みの打楽器はもちろんのこと、この『IX』において象徴的な存在といっても過言ではないジクセンという金属楽器が登場。このジクセンは、今回の録音にあたってクセナキスの希望に限りなく近いイメージで製作された楽器で、54本のメタルをハンマーで叩くという実にユニークな楽器となっている。

その音色は、金属をハンマーで叩くというイメージ通り、非常に高い帯域まで伸びきったもの。この特徴的な音色を持つ楽器が、加藤訓子の手によって多彩な表情を見せていることも本作の大きな聴きどころだろう。なお、このジクセンを用いての収録は相模湖交流センターにて行われている。

この発売記念イベントでは192kHz/24bitのサウンドと共に、等身大の6人の加藤訓子が映し出されるライヴインスタレーションパフォーマンスにも注目だ。この試みでは、サウンド面にてクセナキスが理想としてスコアに記した「聴衆を囲むイメージで楽器を配置する」という指示を忠実に再現するというもの。録音された場所でのハイレゾ再生ということに加え、通常のサラウンドとは大きく異なるアプローチを採用したサウンドは、この日ならではの極めて貴重な体験になるだろう。

イベントの開催に先駆けてプレス関係者へ向けて横浜市民ギャラリーにて行われた展示の様子。スクリーンには薄い透過性のある幕を使用するなど、こちらもユニークな試みだ

同じく、横浜市民ギャラリーでの様子。実際にどのような映像となるのかは、ご自身の目でご確認いただきたい

この他にも、ライヴパフォーマンスはもちろんのこと、本サイトでもお馴染みの山之内正氏など各界のゲストを迎えたアフタートークも注目。ゴールデンウィークにふさわしい、音楽的な試みも満載した芸術性溢れるイベントとなりそうだ。

録音されたその場所で、非常に幾何学的なクセナキスのサウンドに挑む日本を代表するパーカッショニスト、加藤訓子の演奏に触れることができるまたとない貴重な機会となる本イベント。詳細は下記の通り。

「加藤訓子 PROJECT IX PLEIADES」
■日時:
5月1日(金)〜3日(日) 16:00開演(15:30開場)※3日間共通
■会場:
相模湖交流センター 多目的ホール
■アフタートークゲスト:山之内正(評論家)、古川雅紀(リンジャパン)、浜田均(ミュージシャン)、佐藤紀雄(ミュージシャン・アンサンブルノマド主宰)他
■主催:
kuniko kato arts project
■料金:
全席自由 4,000円(友の会・65歳以上3,600円、学生 2,000円)
予約受付: 相模湖交流センター窓口もしくは042-682-6121への電話で対応
※チケット代金の支払いは窓口のほか、郵便振替を利用できる。

【問い合わせ先】
神奈川県立相模湖交流センター
TEL/042-682-6121
(受付時間9:00〜21:30 ※月曜休館、月曜が祝日の場合翌日休館)

同時開催
オープンギャラリー(映像ライブ上映)
日時:同日11:00、13:30の2回開催
入場料:1,000円 ※公演チケットをお持ちの方は、チケットご提示にて入場可

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