晩秋に発売、価格は未定

フォステクス、300Bで駆動する超弩級真空管ヘッドホンアンプ「HP-V8」先行披露

公開日 2015/08/03 17:13 編集部:風間雄介
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フォステクスは、8月7日に二子玉川にオープンする「FOSTEXショールーム」(関連ニュース)のマスコミ向け内覧会を開催。その中で、同社が開発中の超弩級ヘッドホンアンプ「HP-V8」を先行披露した。

FOSTEXの真空管ヘッドホンアンプ「HP-V8」。右下の小さなポータブルアンプが「HP-V1」

同社が「先例のないアナログ技術を駆使して開発」したというモデルで、開発には2年程度を要した。発売は晩秋を予定。価格は未定という。

開発背景について同社の山口氏は、「HP-V1を本格的にした据え置き型を作ろうとしたら、こんなに大きくなってしまいました」と冗談交じりに語りながら、「フォステクスはHP-A8などで、DSDやデジタル接続について先駆的な取り組みを行ってきました。もちろんその後継機を作って、たとえば11.2MHz DSDに対応したり、バランスに対応したりなどといったことも考えられますし、あるいはもっとカジュアルな製品を投入したいという計画もあります。ただその前に、一度フォステクスの技術の粋を集めた製品を投入しておきたかったのです」と、開発の経緯について説明する。

ドライブ段には300Bを、電源部にはKT88を搭載するという、類を見ない回路構成を採用。これを支えるためトランスや筐体も強力な仕様とし、大量の物量を投入した超弩級ヘッドホンアンプとなる。

300BはKT88に比べ寸法が縦に長いため、横から見たときの高さを揃えるため、300Bを一段下に下げて設置するための、銅製のサブシャーシを採用。このサブシャーシによって振動対策も同時に行っている。

奥に見えるのが300B。縦に長いため、下部にサブシャーシを設けて固定している

またアウトプットトランスには、橋本電気製のものをカスタムメイドで搭載しているほか、トランスはすべて手巻き処理を採用。また充填剤はピッチ(コールタール)を使ったり、絶縁紙にも独自の工夫を凝らすなど、こだわりを満載した。

背面に回ると、端子はRCAアンバランス入力と電源インレットのみ。バランス入力もなく、パススルー出力もないというシンプルな構成だ。これも、余計な端子や回路を設けず、音質を高めることに集中した結果なのだという。

背面の端子はRCAアンバランス入力と電源インレットのみ

写真ではわかりづらいが電源インレットはフルテック製

ヘッドホン出力はバランス(XLR 4極)とアンバランスを用意し、出力セレクターによって切り替える。インピーダンスとゲインの切替スイッチも備え、計4段階でインピーダンス/ゲインを切替可能。対応するヘッドホンのインピーダンスは16Ω〜600Ωとなる。

ヘッドホン出力はバランス(XLR 4極)とアンバランスを用意

なおバランス出力については、アンプ部を4基搭載しているわけではなく、トランスの巻き線を工夫することによって、バランスに切替えて出力する方法を採用している。これについて同社は「アンプを4基積むことも考えたが、出音を聴いたらトランスで変換する方が良かったのでこの方法を採用した」としている。

真空管となるとノイズが気になるが、フォステクスでは独自の工夫によりこれもクリア。真空管アンプでは異例となる115dBのS/Nを実現した。なお、ボリュームには新日本無線の電子ボリュームを採用している。

右端のボリュームは新日本無線(JRC)製。その左にはインピーダンス/ゲイン切替スイッチも備える

筐体は梱包も含めて40kg以上と超重量級だが、これを支えるための脚部には、振動を吸収する「ゼロバンク」ゴムを採用した。

本機と同社のヘッドホン「TH900」の組み合わせで、CD音源を数分間試聴したが、音がシルクのように滑らかであることに驚かされる。かつ粒立ちの良さも両立しており、S/Nの高さも特筆すべきクオリティにある。ヘッドホンファンなら、ぜひ体験してみて欲しいサウンドだ。

なお、すでにお伝えしているように、8月8日(土) 14:00から、本機の先行発表会が開催される。発表会にはオーディオ評論家 岩井喬氏とフォステクス開発担当者が登場。「HP-V8」について解説が行われるほか、実際に音を体験することもできる。この際の試聴では、様々なUSB-DACによる音の違いを比較することもできる予定。事前の参加申込等は不要で、時間までにショールームを来訪すれば参加できる。

【問い合わせ先】
フォステクス・ショールーム
TEL/03-6672-1124

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