エンジニア深田晃氏も登場
1624年制作の歴史的なチェンバロを演奏・録音。新アルバム制作の裏側を演奏者・桑形亜樹子らが明かす
チェンバロ奏者桑形亜樹子(桑は、正しくは上から「漢数字十が3つ」)が、フランスの「ウンターリンデン美術館」が所蔵する歴史的なチェンバロを演奏・録音する「コルマール録音プロジェクト」の制作発表会がナクソス・ジャパンにて開催された。
今回収録されたチェンバロは、1624年に著名なチェンバロ製作者、ヨハネス・ルッカースの手によって制作された2段鍵盤で、18世紀にフランスで改造が施されている。その後ラ・ファイエット将軍家やサド侯爵の末裔などの手を経て、1979年からウンターリンデン美術館に所有されるようになったものだ。この貴重なチェンバロを、桑形亜樹子が演奏・録音する権利を得たことにより、このプロジェクトがスタートしたのだという。
音源は、桑形氏が信頼するレコーディングエンジニア、深田晃氏が主宰するレーベルdream windowから11月に発売になる。今回の発表会では、桑形氏、深田氏が登場し、多くのレコーディング中の写真を見ながら、録れたての音源を聴くことができた。
今回のレコーディングでは、バロック時代のフランスの作曲家、ルイ・クープランをフィーチャー。このチェンバロが制作されたのと同時代に生きた作曲家であることも踏まえ、彼のチェンバロ作品集を演奏することにしたという。
桑形氏は深田氏のレコーディングについて、「もともとあまりレコーディングには積極的ではなかったが、自分の演奏を聴いて泣いたのは初めて」と語るほど、深い信頼を寄せている。深田氏の考えによると、音楽とは「楽器、演奏家、空間が一体になったもの」であり、深田氏のエンジニアリングは、その場の空気感まで丸ごと捉える高音質な録音が大きな特徴。過去にdream windowレーベルから「メディテイション〜フローベルガーの眼差し」と、「J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻」の2作品がリリースされているが、いずれの作品も、チェンバロ特有のきらびやかなサウンドが鮮度高くパッケージングされている。
今回の3作目の録音は、今年の6月10日から14日の5日間、ウンターリンデン美術館に行われた。しかし、この期間も美術館は一般に開放されているため、毎日美術館が閉館する夕方からレコーディングセッションの用意をし、夜中にかけてレコーディングを行ったという。
桑形氏によると「近所にカフェがあって、夜10時くらいまで騒がしかったり、飛行機の音や鳥の音などもかなりうるさかったですね。レコーディングは待っている時間の方が長かったです」と語り、かなりシビアなレコーディング環境で取られたものであるという。また、使用楽器についても、「チェンバロは制作された後、後世の修復家によって手を加えられることが多いのですが、このチェンバロも例外ではなく、改造が施されています。このチェンバロも、外箱のサイズはいじらず、鍵盤を狭くして音域を広くするという珍しい手法が取られているようです」と特徴を説明。
深田氏のマイクセッティングは、前2本がメインの録音、中央は調整用として活用。後ろのマイクは、部屋全体を捉えるためのもので、これからミックスを行い、バランスの微調整を行なっていくという。
試聴は、PCに保存された録れたてのハイレゾ音源を、iFi audioのnano iDSDに入力し、アンプはDENONのPMA-2000SE、スピーカーはKEFを使って再生を行なった。クープランの「ト短調 前奏曲」からは、豊かな低音が存分に溢れ出し、歴史の流れと重みを感じさせる、それでいて瑞々しさにも溢れるフレッシュなサウンドが展開された。これはまだ録りっぱなしの音源で、ここからミックスが行われ、最終的な作品として仕上げられていくという。
また、収録期間中には、実際にお客様を入れたコンサートも開催され、その時に収録された音源も特別に披露された。ジョン・ブル作曲による「エリザベス女王のパヴァーン」では、部屋の空気すら一変させるような、厳かで厳粛な雰囲気がもたらされる。
アルバムの発売は11月27日を予定。e-onkyo musicほか複数のハイレゾ配信サイトで、ダウンロード限定で発売される。同日には、日本基督教団原宿協会にて桑形亜樹子氏によるチェンバロ・リサイタルも行われる。トークゲストとしてエンジニアの深田氏も登壇するということで、出来上がりの音源もぜひ楽しみにしていてほしい。
今回収録されたチェンバロは、1624年に著名なチェンバロ製作者、ヨハネス・ルッカースの手によって制作された2段鍵盤で、18世紀にフランスで改造が施されている。その後ラ・ファイエット将軍家やサド侯爵の末裔などの手を経て、1979年からウンターリンデン美術館に所有されるようになったものだ。この貴重なチェンバロを、桑形亜樹子が演奏・録音する権利を得たことにより、このプロジェクトがスタートしたのだという。
音源は、桑形氏が信頼するレコーディングエンジニア、深田晃氏が主宰するレーベルdream windowから11月に発売になる。今回の発表会では、桑形氏、深田氏が登場し、多くのレコーディング中の写真を見ながら、録れたての音源を聴くことができた。
今回のレコーディングでは、バロック時代のフランスの作曲家、ルイ・クープランをフィーチャー。このチェンバロが制作されたのと同時代に生きた作曲家であることも踏まえ、彼のチェンバロ作品集を演奏することにしたという。
桑形氏は深田氏のレコーディングについて、「もともとあまりレコーディングには積極的ではなかったが、自分の演奏を聴いて泣いたのは初めて」と語るほど、深い信頼を寄せている。深田氏の考えによると、音楽とは「楽器、演奏家、空間が一体になったもの」であり、深田氏のエンジニアリングは、その場の空気感まで丸ごと捉える高音質な録音が大きな特徴。過去にdream windowレーベルから「メディテイション〜フローベルガーの眼差し」と、「J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻」の2作品がリリースされているが、いずれの作品も、チェンバロ特有のきらびやかなサウンドが鮮度高くパッケージングされている。
今回の3作目の録音は、今年の6月10日から14日の5日間、ウンターリンデン美術館に行われた。しかし、この期間も美術館は一般に開放されているため、毎日美術館が閉館する夕方からレコーディングセッションの用意をし、夜中にかけてレコーディングを行ったという。
桑形氏によると「近所にカフェがあって、夜10時くらいまで騒がしかったり、飛行機の音や鳥の音などもかなりうるさかったですね。レコーディングは待っている時間の方が長かったです」と語り、かなりシビアなレコーディング環境で取られたものであるという。また、使用楽器についても、「チェンバロは制作された後、後世の修復家によって手を加えられることが多いのですが、このチェンバロも例外ではなく、改造が施されています。このチェンバロも、外箱のサイズはいじらず、鍵盤を狭くして音域を広くするという珍しい手法が取られているようです」と特徴を説明。
深田氏のマイクセッティングは、前2本がメインの録音、中央は調整用として活用。後ろのマイクは、部屋全体を捉えるためのもので、これからミックスを行い、バランスの微調整を行なっていくという。
試聴は、PCに保存された録れたてのハイレゾ音源を、iFi audioのnano iDSDに入力し、アンプはDENONのPMA-2000SE、スピーカーはKEFを使って再生を行なった。クープランの「ト短調 前奏曲」からは、豊かな低音が存分に溢れ出し、歴史の流れと重みを感じさせる、それでいて瑞々しさにも溢れるフレッシュなサウンドが展開された。これはまだ録りっぱなしの音源で、ここからミックスが行われ、最終的な作品として仕上げられていくという。
また、収録期間中には、実際にお客様を入れたコンサートも開催され、その時に収録された音源も特別に披露された。ジョン・ブル作曲による「エリザベス女王のパヴァーン」では、部屋の空気すら一変させるような、厳かで厳粛な雰囲気がもたらされる。
アルバムの発売は11月27日を予定。e-onkyo musicほか複数のハイレゾ配信サイトで、ダウンロード限定で発売される。同日には、日本基督教団原宿協会にて桑形亜樹子氏によるチェンバロ・リサイタルも行われる。トークゲストとしてエンジニアの深田氏も登壇するということで、出来上がりの音源もぜひ楽しみにしていてほしい。
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