キング関口台スタジオで

キングレコードがアナログ盤のダイレクトカッティング業務を今秋開始。スタジオ併設は国内唯一

公開日 2019/07/31 14:23 編集部:押野 由宇
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キングレコードの関連会社「キング関口台スタジオ」が、アナログ盤のカッティングマシンを蘇生させ、国内では唯一となるスタジオ併設のダイレクトカッティング業務を今秋から始める。

キング関口台スタジオが、国内唯一のスタジオ併設ダイレクトカッティング業務を開始する

ダイレクトカッティングとは、カッティングルームとレコーディングスタジオを直結し、アナログテープやデジタルファイルなどの途中変換を一切せず、録音スタジオの生音をダイレクトに溝に刻むという技術。アナログレコード制作の最高音質を誇るというものだが、その反面、曲間を含む演奏の編集、やり直しがきかないため、難易度が高い作業ともなる。

本日30日、東京・文京区の同スタジオで、国内外で活躍中の4人の演奏家を招いての実演と録音が実施された。ダイレクトカッティングの実演デモンストレーションとして、チェロ奏者・辻本玲氏が、バッハ作曲「無伴奏チェロ組曲第1番ト長調」より「第1曲 プレリュード」を演奏した音が、別室にあるカッティングマシンによってラッカー盤に録音。出来上がりほやほやのサウンドがその場ですぐに公開された。

演奏中の辻元氏

その後、同じく辻元氏演奏のバッハ作曲「無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調」より「第1曲 プレリュード」「第4曲 サラバンド」「第7曲 ジーグ」、ヴァイオリン奏者・米本響子氏演奏のイザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調」より「第3楽章 亡霊の踊り」「第4楽章 フュリ(復讐の女神)」、ピアノ奏者・上原彩子氏演奏のチャイコフスキー作曲「バレエ音楽『くるみ割り人形』」より「花のワルツ(編曲・上原彩子)」、オンド・マルノ奏者・大矢素子氏演奏のラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ(編曲・大矢素子)」といった音が、次々とダイレクトカッティングされた。

国内外で活躍中の演奏家4名が、ダイレクトカッティングの実演に参加した

録音にあたり、キング関口台スタジオ社長・岩渕慎治氏は「ダイレクトカッティングには感慨深いものがありまして、一周回ってここに帰ってきたという思いがしております。エンジニアも演奏者も一回勝負、 非常に緊張感のあるレコーディングになります。いまダイレクトカッティングができるのは、ロンドンのアビーロードスタジオとここキング関口台スタジオだけだと言われていますので、ここから世界にも発信していきたい」とコメント。

また、辻本氏は「普通のCDは、たくさんの素材をつなぎ合わせて作るのですが、 今回はダイレクトにレコーディングするということで緊張しました」とレコーディングの感想を述べ、出来上がった音を聴いて「いい意味で雑味がたくさん入っていていいなと思いました」と笑顔を見せていたとのこと。

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