オーディオと音楽の融合がテーマ
シンガーMAYAが自らセッティング、新レーベル設立も発表されたオーディオイベントレポート
ジャズ&ラテンシンガーとして活躍するMAYAによる初のオーディオイベントが、12月18日に東京・神楽坂のライブハウス「神楽音」で開催された。本イベントは、「女性目線からのオーディオ」と「音楽とオーディオの融合」をテーマとし、当日は約50名のライブファンやオーディオファンが募った。オーディオをメインとした第一部とミニライブの二部構成で行われたその模様をお伝えする。
自宅にも本格的なオーディオシステムを導入し、そのアップグレードに積極的に取り組んでいるMAYAは、季刊・analogの最新刊66号で、アナログレコードプレーヤー/ROKSAN「Radius7」の導入記を執筆。女子オーディオの副会長も務めるなど、ジャズシンガー以外の活動でも大きな注目を集めている。今回のイベントでは、いずれもMAYAが気になっているスタイリッシュでハイクオリティなオーディオシステムを用意。ケーブルやアクセサリーをMAYA自らがセッティングする音質向上術を披露。より良い音で音楽を聴く意義を体験するイベントとなっていた。
システムは、スピーカーシステム/STUDIO FRANCO SERBLIN「Accordo」、アナログプレーヤー/ROKSAN「Radius 7」、CDプレーヤー/TRIODE「TRV-CD6SE」、フォノイコライザー/AIR TIGHT「ATE-3011」、プリアンプ/Jeff Rowland「Capri S2」、パワーアンプ/McIntosh「MC602」を「神楽音」のステージにセッティング。まず、最初に使用機材の紹介が行われ、STUDIO FRANCO SERBLINの輸入元(株)アークジョイア特別顧問の野田頴克氏、ROKSANの輸入元(株)ナスペックの安達初音氏、そして(株)トライオードの山崎順一氏が順番に登壇。MAYAとトークをする形で各製品の特徴やエピソードなどが披露された。
次にこれらのシステムを用いながら、音質をアップさせるために必要な対策について、MAYAが解説とセッティングを行いながら進行するデモンストレーションが行われた。以下の7つのテーマに分けて、聴き比べをしながら来場者に向け分かりやすく解説していた。
(1)『スピーカーのセッティング』
オーディオの基本となるスピーカーの左右の間隔と振り角度を決めるところからスタート。まずは標準的な感覚で正面向きに配置された状態で音楽を再生し、MAYAの手によって間隔、振り角度共にベストポジションに変えることで、ボーカルの定位感が揃うところを聴いて欲しいと説明。「セッティングをきちんとすることで、音の生々しさやMAYAの声がリアルになり、ライブ感が増した」と来場者からも驚嘆の声が上がっていた。
(2)『ケーブルの重要性について』
ここでは、電源ケーブルと電源ボックス、インターコネクトケーブルをMAYAが交換し、アコースティックリヴァイブの代表石黒謙、氏によるケーブルの解説とMAYAのアルバム制作時にもアコースティックリヴァイブのケーブルを全面的に使用したことによるメリットなどが対談形式で説明された。ケーブルを交換することであきらかに機器本来の実力が発揮され、濁りがなく純度が上がった感じを確認でき「クリアで艶のある音で、瞬発力が出た」とMAYAはコメントをしていた。
(3)『ルームチューニングアイテムによる音の変化を知る』
左右のスピーカーの後ろとセンターに、アコースティックリヴァイブの「RWL-3」をMAYAが最適な箇所に3枚設置。声が瑞々しくなり、音像がより際立つのを確認できた。MAYAは録音現場で本製品を使用しており、ボーカルブースで使用したときのエピソードを披露。このパネルがあるとないとでは、声が跳ね返る感じや弾力性が異なり、耳に入ってくる音の感じ方が違うと説明。録音ブース内のデッドなドライ感を解消することの大切さを話していた。
(4)『オーディオ機器の振動対策の効果を探る』
オーディオ機器における振動対策を実演。ここでもMAYA自らがアンダーボードやインシュレーターを設置して振動による悪影響を対策した聴き比べを行った。あたかもボリュームが上がったようになり、立体感が向上し音像が浮き出る印象を感じとることができた。
(5)『ノイズや電磁波が与える影響について』
今回のイベント用にアコースティックリヴァイブのノイズ・電磁波対策用のアイテムが用意され、アコースティックリヴァイブの考え方として、ノイズを無理矢理消すのではなく、エネルギー感を引かず余計なノイズや歪みだけを除去する重要性が説明された。MAYAが空いている端子にターミネーターを取りつけ、電源コンディショナー、電磁波対策アイテム「REM-8」をアンプの下へ設置。より研ぎ澄まされた音になり、MAYAのボーカルがより生の声に近くなった。その効果を実証するためにMAYAがアカペラで生歌を披露する嬉しいハプニングに会場も沸いていた。
(6)『全てを整えた状態でCDとアナログを聴く』
MAYAによるスピーカーのセッティング、各ケーブルの交換、振動・ノイズ・電磁波対策が施された状態で、CDとアナログレコードを試聴。MAYAのCDアルバム「JAZZ A GOGO」や「しろいくろ」、アナログ盤「LIVE MAYA」からピックアップされた曲をじっくり聴いた。そして、MAYAが影響を受けたというアーティストである「ビヴァリー・ケニー」のエピソードを聞きながらMAYA所有のDECCAオリジナルプロモ盤「BORN TO BE BLUE」のアルバムも再生され、来場者は聴き入っていた。
(7)『アナログレコードのEQカーブについて知る』
アナログレコードの再生では、イコライジングカーブマッチングの重要性についても言及。ブルーノート・レーベルのオリジナル盤「デクスター・ゴードン」のアルバム『Gettin' Around』をRIAAカーブで再生したあとに、AIR TIGHTのフォノイコライザー「ATE-3011」で、AESカーブに変更して再生するとテナーサックスのリアリティがまるで別物になることが判明。改めてEQカーブマッチングの重要性を確認することができた。
これらの音質対策を順番に行うことで、機器のパフォーマンスも発揮され、より生々しく実体感の伴った音を会場全体で感じることができた。MAYAは、最後に「オーディオ機器を正しく設置し、アクセサリーを使いこなすことによって、アーティスト本人が聴いて欲しいと思う音源が、そのままダイレクトに伝わります。それは、制作側としても嬉しいことで、音楽の色を引き立てるのがオーディオの醍醐味です」と話していた。
そして、第1部の最後には、MAYA自身によるレーベル会社「AMBIVALENCE」を新たに立ち上げることが発表された。第1弾の作品は、すでに収録を終えており、ジャズドラマー松尾明氏のリーダー作品が年明けにリリース予定。今後、MAYA自身も含めて、音楽家が音にこだわった作品をレコードやCDでリリースしていく予定とのこと。当日の会場でも、松尾明氏の高音質デュオアルバムのマスタリング前の音源が公開され、その鮮烈な音質に来場されていた寺島靖国氏からも「こういう音で録りたかった!」と驚きのコメントが発せられた。
休憩を挟んだ第2部では、寺村容子さんとのミニライブへと移行。冒頭に普段のレコーディングやライブの際に常用しているというMAYA専用のマイクケーブルの説明が行われ、エレクトリックピアノの電源ケーブルとラインケーブル、そしてMAYAのマイクケーブルがスタジオに常備のものとつなぎ換えられ、同じフレーズを歌ってその音の差を確認した結果、ライブにおいても驚くべきクオリティの差があることが判明した。
多言語を駆使して歌唱するMAYAは、「アーティスト自身も機材をPAの人に任せっきりにするのではなく、自身が機材にこだわることが大切です。ボーカルの破裂音の通りや、言語のニュアンスが出しやすくなり声の使い方が楽になって表現がしやすくなる」とケーブルや環境にこだわることの重要性を解説していた。
ライブの曲目は、「横浜ホンキートンク・ブルース」「オー・シャンゼリゼ」など。来場者は、寺村容子さんのピアノ演奏とともにMAYAのライブを楽しんでいた。そして、イベントの最後には、MAYA特製の手書きサイン入り電源ケーブルやラインケーブルなどが当たる「じゃんけん大会」が開催され、場内は大いに賑わいを見せていた。
今回、MAYA初の試みとなるオーディオイベントであったが、テンポの良い進行と自らセッティングを行い、オーディオの勘所を実に的確に解説していた。ミニライブも含めて、「オーディオと音楽の融合」をじっくり体験できる内容で、多くの来場者が頷きながら真剣に聴いていたのが印象に残るイベントであった。
MAYAプロフィール ジャズを基本にジャンルにとらわれず9ヶ国語で歌い分けるオリジナリティ溢れる世界観で、現在までベスト盤含め 17作品のCDをリリース。Swing Journalゴ-ルドディスクやジャズディスク大賞・ボーカル賞、JaZZ JAPANのアルバム・オブ・ザ・イヤーなど数々のアワードに輝く。女子オーディオの会副会長も務めリアルオーディオ女子として多くのオーディオイベントに出演中。
自宅にも本格的なオーディオシステムを導入し、そのアップグレードに積極的に取り組んでいるMAYAは、季刊・analogの最新刊66号で、アナログレコードプレーヤー/ROKSAN「Radius7」の導入記を執筆。女子オーディオの副会長も務めるなど、ジャズシンガー以外の活動でも大きな注目を集めている。今回のイベントでは、いずれもMAYAが気になっているスタイリッシュでハイクオリティなオーディオシステムを用意。ケーブルやアクセサリーをMAYA自らがセッティングする音質向上術を披露。より良い音で音楽を聴く意義を体験するイベントとなっていた。
システムは、スピーカーシステム/STUDIO FRANCO SERBLIN「Accordo」、アナログプレーヤー/ROKSAN「Radius 7」、CDプレーヤー/TRIODE「TRV-CD6SE」、フォノイコライザー/AIR TIGHT「ATE-3011」、プリアンプ/Jeff Rowland「Capri S2」、パワーアンプ/McIntosh「MC602」を「神楽音」のステージにセッティング。まず、最初に使用機材の紹介が行われ、STUDIO FRANCO SERBLINの輸入元(株)アークジョイア特別顧問の野田頴克氏、ROKSANの輸入元(株)ナスペックの安達初音氏、そして(株)トライオードの山崎順一氏が順番に登壇。MAYAとトークをする形で各製品の特徴やエピソードなどが披露された。
次にこれらのシステムを用いながら、音質をアップさせるために必要な対策について、MAYAが解説とセッティングを行いながら進行するデモンストレーションが行われた。以下の7つのテーマに分けて、聴き比べをしながら来場者に向け分かりやすく解説していた。
(1)『スピーカーのセッティング』
オーディオの基本となるスピーカーの左右の間隔と振り角度を決めるところからスタート。まずは標準的な感覚で正面向きに配置された状態で音楽を再生し、MAYAの手によって間隔、振り角度共にベストポジションに変えることで、ボーカルの定位感が揃うところを聴いて欲しいと説明。「セッティングをきちんとすることで、音の生々しさやMAYAの声がリアルになり、ライブ感が増した」と来場者からも驚嘆の声が上がっていた。
(2)『ケーブルの重要性について』
ここでは、電源ケーブルと電源ボックス、インターコネクトケーブルをMAYAが交換し、アコースティックリヴァイブの代表石黒謙、氏によるケーブルの解説とMAYAのアルバム制作時にもアコースティックリヴァイブのケーブルを全面的に使用したことによるメリットなどが対談形式で説明された。ケーブルを交換することであきらかに機器本来の実力が発揮され、濁りがなく純度が上がった感じを確認でき「クリアで艶のある音で、瞬発力が出た」とMAYAはコメントをしていた。
(3)『ルームチューニングアイテムによる音の変化を知る』
左右のスピーカーの後ろとセンターに、アコースティックリヴァイブの「RWL-3」をMAYAが最適な箇所に3枚設置。声が瑞々しくなり、音像がより際立つのを確認できた。MAYAは録音現場で本製品を使用しており、ボーカルブースで使用したときのエピソードを披露。このパネルがあるとないとでは、声が跳ね返る感じや弾力性が異なり、耳に入ってくる音の感じ方が違うと説明。録音ブース内のデッドなドライ感を解消することの大切さを話していた。
(4)『オーディオ機器の振動対策の効果を探る』
オーディオ機器における振動対策を実演。ここでもMAYA自らがアンダーボードやインシュレーターを設置して振動による悪影響を対策した聴き比べを行った。あたかもボリュームが上がったようになり、立体感が向上し音像が浮き出る印象を感じとることができた。
(5)『ノイズや電磁波が与える影響について』
今回のイベント用にアコースティックリヴァイブのノイズ・電磁波対策用のアイテムが用意され、アコースティックリヴァイブの考え方として、ノイズを無理矢理消すのではなく、エネルギー感を引かず余計なノイズや歪みだけを除去する重要性が説明された。MAYAが空いている端子にターミネーターを取りつけ、電源コンディショナー、電磁波対策アイテム「REM-8」をアンプの下へ設置。より研ぎ澄まされた音になり、MAYAのボーカルがより生の声に近くなった。その効果を実証するためにMAYAがアカペラで生歌を披露する嬉しいハプニングに会場も沸いていた。
(6)『全てを整えた状態でCDとアナログを聴く』
MAYAによるスピーカーのセッティング、各ケーブルの交換、振動・ノイズ・電磁波対策が施された状態で、CDとアナログレコードを試聴。MAYAのCDアルバム「JAZZ A GOGO」や「しろいくろ」、アナログ盤「LIVE MAYA」からピックアップされた曲をじっくり聴いた。そして、MAYAが影響を受けたというアーティストである「ビヴァリー・ケニー」のエピソードを聞きながらMAYA所有のDECCAオリジナルプロモ盤「BORN TO BE BLUE」のアルバムも再生され、来場者は聴き入っていた。
(7)『アナログレコードのEQカーブについて知る』
アナログレコードの再生では、イコライジングカーブマッチングの重要性についても言及。ブルーノート・レーベルのオリジナル盤「デクスター・ゴードン」のアルバム『Gettin' Around』をRIAAカーブで再生したあとに、AIR TIGHTのフォノイコライザー「ATE-3011」で、AESカーブに変更して再生するとテナーサックスのリアリティがまるで別物になることが判明。改めてEQカーブマッチングの重要性を確認することができた。
これらの音質対策を順番に行うことで、機器のパフォーマンスも発揮され、より生々しく実体感の伴った音を会場全体で感じることができた。MAYAは、最後に「オーディオ機器を正しく設置し、アクセサリーを使いこなすことによって、アーティスト本人が聴いて欲しいと思う音源が、そのままダイレクトに伝わります。それは、制作側としても嬉しいことで、音楽の色を引き立てるのがオーディオの醍醐味です」と話していた。
そして、第1部の最後には、MAYA自身によるレーベル会社「AMBIVALENCE」を新たに立ち上げることが発表された。第1弾の作品は、すでに収録を終えており、ジャズドラマー松尾明氏のリーダー作品が年明けにリリース予定。今後、MAYA自身も含めて、音楽家が音にこだわった作品をレコードやCDでリリースしていく予定とのこと。当日の会場でも、松尾明氏の高音質デュオアルバムのマスタリング前の音源が公開され、その鮮烈な音質に来場されていた寺島靖国氏からも「こういう音で録りたかった!」と驚きのコメントが発せられた。
休憩を挟んだ第2部では、寺村容子さんとのミニライブへと移行。冒頭に普段のレコーディングやライブの際に常用しているというMAYA専用のマイクケーブルの説明が行われ、エレクトリックピアノの電源ケーブルとラインケーブル、そしてMAYAのマイクケーブルがスタジオに常備のものとつなぎ換えられ、同じフレーズを歌ってその音の差を確認した結果、ライブにおいても驚くべきクオリティの差があることが判明した。
多言語を駆使して歌唱するMAYAは、「アーティスト自身も機材をPAの人に任せっきりにするのではなく、自身が機材にこだわることが大切です。ボーカルの破裂音の通りや、言語のニュアンスが出しやすくなり声の使い方が楽になって表現がしやすくなる」とケーブルや環境にこだわることの重要性を解説していた。
ライブの曲目は、「横浜ホンキートンク・ブルース」「オー・シャンゼリゼ」など。来場者は、寺村容子さんのピアノ演奏とともにMAYAのライブを楽しんでいた。そして、イベントの最後には、MAYA特製の手書きサイン入り電源ケーブルやラインケーブルなどが当たる「じゃんけん大会」が開催され、場内は大いに賑わいを見せていた。
今回、MAYA初の試みとなるオーディオイベントであったが、テンポの良い進行と自らセッティングを行い、オーディオの勘所を実に的確に解説していた。ミニライブも含めて、「オーディオと音楽の融合」をじっくり体験できる内容で、多くの来場者が頷きながら真剣に聴いていたのが印象に残るイベントであった。
MAYAプロフィール ジャズを基本にジャンルにとらわれず9ヶ国語で歌い分けるオリジナリティ溢れる世界観で、現在までベスト盤含め 17作品のCDをリリース。Swing Journalゴ-ルドディスクやジャズディスク大賞・ボーカル賞、JaZZ JAPANのアルバム・オブ・ザ・イヤーなど数々のアワードに輝く。女子オーディオの会副会長も務めリアルオーディオ女子として多くのオーディオイベントに出演中。
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