林正儀氏、井上千岳氏がレビュー
ティグロンの新ケーブル処理技術「H.S.E Grande」が一般向けにも開始。その効果をレポート
2019年のオーディオ銘機賞で特別大賞を受賞したティグロンの「H.S.E」処理技術。これまで同社製品にのみ採用されていたが、その効果の大きさからユーザーからの要望もあり、昨年一般向けのケーブル製品にも処理サービスが開始。そのような状況の中でもティグロンの代表、沖野氏は研究・開発を続けており、今回、3台のマシンを使い分けて各帯域に特化した処理を行う期待の新サービス「H.S.E Grande」が開始された。ここでは、林 正儀氏と井上千岳氏による解説と、その効果についてをレポートする。
■ティグロンのHSE処理が進化を遂げバージョンアップ
ケーブルのバーンインにはいくつかの処理技術があるが、中でも大反響なのがティグロン独自のH.S.Eトリートメントだ。一定時間流す信号が、プログラムされた可聴外の広帯域な信号(0〜100kHz)なことが大きなポイントである。もともと自社製品にのみ処理をかけていたわけだが、あまりの効果に他メーカーのOEMや一般ユーザー向けに処理サービスを拡張。そのトリートメントサービスからさらに発展してこの5月、期待の新サービス「H.S.E Grande」としていよいよスタートしたのだ。
代表の沖野氏は感慨深げに回想する。そもそも高額なH.S.E処理機を導入したのは、特殊バーンイン処理によって、ケーブル本来の生のような音が蘇り、かつ長期にわたってその効果が持続するという、衝撃の体験をしたからだ。自分が夢中になれなければこんな挑戦などしない。
■3台のマシンを使い分けて、各帯域に特化した処理を行う
今回はマグネシウムシールドなどのティグロン技術によりカスタマイズしたマシンを3台使う。高域、中域、低域それぞれに分け、各帯域に特化したティグロンオリジルだ。さらにパワーアップした新時代のH.S.Eトリートメントである。
2018年の初導入からすると、数々の経験とノウハウを取り入れた長足の進歩だろう。新と旧で大きく異なるのは、「設置環境」と「機器の増設」だという。
新システムの写真でも分かるように「設置環境」については、オーディオ銘機賞グランプリを受賞したフラッグシップオーティオラック「グランド・マグネシア(GMR-3)」の最上段から順に、超高域および全体のS/Nやスピード感を向上させた専用機器「White HSE」、全帯域の奥行感に特化した専用機器「Gold HSE」、さらに音質のパワー感とダイナミックレンジに特化した専用機器「Black HSE」を設置。外部からの振動対策を強化し、H.S.E効果をさらに引き出す。
「機器の増設」については、2000シリーズの新機種を開発するにあたり同じく「White HSE」を導入した。2022年5月1日以降に出荷される全てのモデルは「H.S.E Grande」を使用したバーンイン処理が施されているのだ。
■ケーブル本来のクオリティや表現力を最大限に引き出す
この効果は何度言っても語りつくせない。分子レベルの処理によって、S/Nや微量音域の解像度が目覚ましく向上。同じ演奏とは思えないニュアンスのキメ細やかさであり、雑味や付帯音も見事に解消。管弦楽は静けさのなかに、しっかりとしたリズムの動きが見える。その瞬敏な立ち上がりと、ピークは迷いがなくシャープに伸びきっていた。空間を突き抜けダイナミックレンジは、まさに天井しらずだ。
中低音域にかけての密度感を増すとともに、ハーモニー全体がほぐれてうねりも瑞々しい。ジャズは野性的でヒューマンだ。S/Nも優秀。個々の点在感が明確になるとともに、サウンドのつながりに有機性が生まれ、より濃密でガッツの効いた一体感に感激した。
効果は絶大だが、処理はまったく自然でニュートラル。何も付加せずケーブル本来のクオリティや表現力が最大限に引き出されたことを実感させる。ケーブル処理の最終兵器だ。
販売価格は旧処理の税込13,200円から3,000円少々上がって16,500円だが、これで愛用のケーブルが大きくグレードアップするなら安いものだ、ぜひ申し込んでみてはいかがだろう。(林 正儀)
■特性的にはっきりとした変化や改善を聴き取れる
エージング用CDというのは昔からあって、長時間システムに流しておくことでエージングが促進されるというものだ。最初はホワイトノイズやピンクノイズを使った単純なものだったが、次第にさまざまな波形をプログラムしてより効率的にエージングが行えるように工夫されてきた。現在でも実際に使っている人は多いだろうし、きちんとした効果を挙げているはずである。
ただそれらはケーブルだけに特化されたものではなく、システム全体のエージングを促すものなので、その中のどこが利いているのかはっきりしないことが多い。全体として良くなった、慣れてきたと感じるのが一般的だ。
ティグロンが開発したH.S.Eトリートメントは、そうした汎用的なものとは一線を画した技術で、ケーブルのエージング用に特にプログラミングされた電流や可聴帯域の外側まで広がる周波数の信号を導体に通すことで、エージングを急速に進め最良の状態に持っていくというところに発想の新しさがある。またH.S.E Grandeは新バージョンで、信号を高・中・低各帯域に特化した3台の機材で処理を行いより効果を高めている。
HSEがこれまでのエージングCDなどと違うのは、それが単なるエージング(経時変化)ではなく、ケーブルを最良の状態に活性化させるという点にあると言うことができる。このため単純に音が変わった、良くなったというだけでなく、特性的にはっきりとした変化・改善を聴き取ることができるのが大きな特徴である。
第一に情報量が増すし、どの帯域でも密度が高まる。広いレンジでレスポンスの躍動感が高まるのも確かだ。ノイズや歪みっぽさも減少するが、ダイナミズムが大きく起伏が滑らかになることで再現力が深くなる。ひとつひとつの性能の向上をはっきり意識して作られているところが一般的なエージングとのレベルの違いで、それが音質に正確に反映されていることを実感するのである。(井上千岳)
●H.S.E Grandeの技術概要とトリートメントサービスについて
【対象製品】
・音響用ケーブル全般(RCA・XLR・SP・AC・デジタル系・・・)
・LAN・USBケーブル
・コネクター類
・イヤフォンリケーブル
・電源タップ
【対象外製品】
・フィルター等の電子部品が付いているもの
・10mを超えるもの
・端末加工がされていないもの
・著しく破損がみられるもの
・特殊な形状のコネクターが付いているもの
【H.S.Eによる効果】
・癖のない自然な質感になる
・音の瞬発力、制動性、分解能、S/Nが向上する
・奥行方向の情報量が増し、立体的な音質になる
【申し込み方法】
ティグロンのホームページ、または全国のオーディオ専門店にて受付可能(旧H.S.Eトリートメントを行った製品も受付可能)
■ティグロンのHSE処理が進化を遂げバージョンアップ
ケーブルのバーンインにはいくつかの処理技術があるが、中でも大反響なのがティグロン独自のH.S.Eトリートメントだ。一定時間流す信号が、プログラムされた可聴外の広帯域な信号(0〜100kHz)なことが大きなポイントである。もともと自社製品にのみ処理をかけていたわけだが、あまりの効果に他メーカーのOEMや一般ユーザー向けに処理サービスを拡張。そのトリートメントサービスからさらに発展してこの5月、期待の新サービス「H.S.E Grande」としていよいよスタートしたのだ。
代表の沖野氏は感慨深げに回想する。そもそも高額なH.S.E処理機を導入したのは、特殊バーンイン処理によって、ケーブル本来の生のような音が蘇り、かつ長期にわたってその効果が持続するという、衝撃の体験をしたからだ。自分が夢中になれなければこんな挑戦などしない。
■3台のマシンを使い分けて、各帯域に特化した処理を行う
今回はマグネシウムシールドなどのティグロン技術によりカスタマイズしたマシンを3台使う。高域、中域、低域それぞれに分け、各帯域に特化したティグロンオリジルだ。さらにパワーアップした新時代のH.S.Eトリートメントである。
2018年の初導入からすると、数々の経験とノウハウを取り入れた長足の進歩だろう。新と旧で大きく異なるのは、「設置環境」と「機器の増設」だという。
新システムの写真でも分かるように「設置環境」については、オーディオ銘機賞グランプリを受賞したフラッグシップオーティオラック「グランド・マグネシア(GMR-3)」の最上段から順に、超高域および全体のS/Nやスピード感を向上させた専用機器「White HSE」、全帯域の奥行感に特化した専用機器「Gold HSE」、さらに音質のパワー感とダイナミックレンジに特化した専用機器「Black HSE」を設置。外部からの振動対策を強化し、H.S.E効果をさらに引き出す。
「機器の増設」については、2000シリーズの新機種を開発するにあたり同じく「White HSE」を導入した。2022年5月1日以降に出荷される全てのモデルは「H.S.E Grande」を使用したバーンイン処理が施されているのだ。
■ケーブル本来のクオリティや表現力を最大限に引き出す
この効果は何度言っても語りつくせない。分子レベルの処理によって、S/Nや微量音域の解像度が目覚ましく向上。同じ演奏とは思えないニュアンスのキメ細やかさであり、雑味や付帯音も見事に解消。管弦楽は静けさのなかに、しっかりとしたリズムの動きが見える。その瞬敏な立ち上がりと、ピークは迷いがなくシャープに伸びきっていた。空間を突き抜けダイナミックレンジは、まさに天井しらずだ。
中低音域にかけての密度感を増すとともに、ハーモニー全体がほぐれてうねりも瑞々しい。ジャズは野性的でヒューマンだ。S/Nも優秀。個々の点在感が明確になるとともに、サウンドのつながりに有機性が生まれ、より濃密でガッツの効いた一体感に感激した。
効果は絶大だが、処理はまったく自然でニュートラル。何も付加せずケーブル本来のクオリティや表現力が最大限に引き出されたことを実感させる。ケーブル処理の最終兵器だ。
販売価格は旧処理の税込13,200円から3,000円少々上がって16,500円だが、これで愛用のケーブルが大きくグレードアップするなら安いものだ、ぜひ申し込んでみてはいかがだろう。(林 正儀)
■特性的にはっきりとした変化や改善を聴き取れる
エージング用CDというのは昔からあって、長時間システムに流しておくことでエージングが促進されるというものだ。最初はホワイトノイズやピンクノイズを使った単純なものだったが、次第にさまざまな波形をプログラムしてより効率的にエージングが行えるように工夫されてきた。現在でも実際に使っている人は多いだろうし、きちんとした効果を挙げているはずである。
ただそれらはケーブルだけに特化されたものではなく、システム全体のエージングを促すものなので、その中のどこが利いているのかはっきりしないことが多い。全体として良くなった、慣れてきたと感じるのが一般的だ。
ティグロンが開発したH.S.Eトリートメントは、そうした汎用的なものとは一線を画した技術で、ケーブルのエージング用に特にプログラミングされた電流や可聴帯域の外側まで広がる周波数の信号を導体に通すことで、エージングを急速に進め最良の状態に持っていくというところに発想の新しさがある。またH.S.E Grandeは新バージョンで、信号を高・中・低各帯域に特化した3台の機材で処理を行いより効果を高めている。
HSEがこれまでのエージングCDなどと違うのは、それが単なるエージング(経時変化)ではなく、ケーブルを最良の状態に活性化させるという点にあると言うことができる。このため単純に音が変わった、良くなったというだけでなく、特性的にはっきりとした変化・改善を聴き取ることができるのが大きな特徴である。
第一に情報量が増すし、どの帯域でも密度が高まる。広いレンジでレスポンスの躍動感が高まるのも確かだ。ノイズや歪みっぽさも減少するが、ダイナミズムが大きく起伏が滑らかになることで再現力が深くなる。ひとつひとつの性能の向上をはっきり意識して作られているところが一般的なエージングとのレベルの違いで、それが音質に正確に反映されていることを実感するのである。(井上千岳)
●H.S.E Grandeの技術概要とトリートメントサービスについて
【対象製品】
・音響用ケーブル全般(RCA・XLR・SP・AC・デジタル系・・・)
・LAN・USBケーブル
・コネクター類
・イヤフォンリケーブル
・電源タップ
【対象外製品】
・フィルター等の電子部品が付いているもの
・10mを超えるもの
・端末加工がされていないもの
・著しく破損がみられるもの
・特殊な形状のコネクターが付いているもの
【H.S.Eによる効果】
・癖のない自然な質感になる
・音の瞬発力、制動性、分解能、S/Nが向上する
・奥行方向の情報量が増し、立体的な音質になる
【申し込み方法】
ティグロンのホームページ、または全国のオーディオ専門店にて受付可能(旧H.S.Eトリートメントを行った製品も受付可能)