アナログマスターからSADiEにてDSDマスタリング
情家みえ『エトレーヌ』SACD試聴イベント、KEF Music Galaryで開催
UAレコードから今年8月に発表された情家みえのSACDハイブリッド盤の『エトレーヌ』。歌手本人も登場しての試聴イベントが、有楽町のKEF Music Galaryにて開催された。
UAレコードは、オーディオ評論家の麻倉怜士氏と潮晴男氏による「音質にこだわった」レコードレーベル。このアルバムは、2017年にLPレコードとCDで発売された作品が、SACDハイブリッド盤で発売されたもので、UAレコード初のSACD作品となる。
潮氏は、「UAレコードとしてはできれば1年に1作は発売したいと考えてきましたが、コロナ禍もありしばらく作品を出すことができませんでした。そこでUAレコードの第一弾作品をSACD化することにしたのです。ですが、せっかく作るならばいいSACDにしたいと考えて、色々実験した結果が形になっています」と発売の背景を語る。
今回の音源に限らず、UAレコードの作品はすべて一発録りで収録されており、あとからの編集は一切加えられていない。今作はSTUDERのアナログレコーダー「A-800」で、2インチ24トラックのアナログテープで収録されたのち、2chにトラックダウン。そして、キング関口台スタジオのSADiEにてDSD2.8MHzにマスタリングされたデータが使われている。ちなみに44.1kHz/16bitのCDレイヤーのデータも同時に作られたものとなる。
2017年に発売されたCDは、ProToolsで192kHz/24bitで収録されたデジタルデータをマスターとして使用しているので、既発売のCDをお持ちの方はデジタルマスターとアナログマスターの音の違いも楽しむことができるようになっている。
試聴会では、販売価格2000万円超となるKEFのフラグシップスピーカー「MUON」を使用。CDプレーヤーにはマッキントッシュの「C47」を組み合わせている。
イベントの最初には、SACDの「盤面の色の違い」による音の違いという珍しい聴き比べも行われた。当初レーベル面制作を担当したデザイナーは、赤色をベースとしたレーベルを作成したのだが、オーディオ界隈的にはレーザーの反射光の関係で、音質的には「緑」が有利とされている。そこで、(A)白を敷いた上に文字以外のところに緑を配置した(白抜き文字)パターン、(B)緑地を敷いた上に白で文字を配置したパターン、(C)当初案の「赤」、の3種類を作成。潮氏も、「こういう聴き比べは普通なかなかできないですよね。小さいレーベルだからこそできる取り組みです」と胸を張る。
実際に聴き比べてみると、確かに音質的な違いが感じられ、(A)が最も柔らかくしなやかな印象。麻倉氏も、「ちょっと意外な結果かもしれませんが、私たちも実際に聴き比べた上でこのデザインを選択しました」とこだわりを語った。
後半はSACD盤『エトレーヌ』をたっぷり試聴する。情家みえさんも、一発録りであることは収録日当日に聞かされて大変驚いたそうだが、「もうこれはやるしかないんだ」と腹を据えて収録に挑んだと振り返る。MUONのシステムで試聴すると、「当日の自分の喉の状態まで全部見えるようで、鳥肌が立ちました!」と、その情報量の多さにも感激した様子。
特に印象的だったのは後半の「キャラバン」。潮氏こだわりの30センチバスドラムが使われており、オーディオ的にも実験的な取り組みがなされているという。ピアノとベースとドラムというシンプルな構成の中に、情家さんの太い声が乗り、躍動感たっぷりのジャズを聴かせる。ミュージシャンの手さばきまでよく見える高解像度録音で、低音域の安定感や中高域の密度の濃さは非常に印象的。
最後にLPレコードとの聴き比べも行ったが、音の芯の太さにはレコードに分があるものの、ステージングの見通しの良さやすっきりとした音場感、情報量の多さなどにはSACDならではの美点が光る。
麻倉氏は、「UAレコードでは今後もレコードやCDといったフィジカルメディアを大切にしつつ、音質にこだわった作品作りを続けていきます!」と締めくくった。
UAレコードは、オーディオ評論家の麻倉怜士氏と潮晴男氏による「音質にこだわった」レコードレーベル。このアルバムは、2017年にLPレコードとCDで発売された作品が、SACDハイブリッド盤で発売されたもので、UAレコード初のSACD作品となる。
潮氏は、「UAレコードとしてはできれば1年に1作は発売したいと考えてきましたが、コロナ禍もありしばらく作品を出すことができませんでした。そこでUAレコードの第一弾作品をSACD化することにしたのです。ですが、せっかく作るならばいいSACDにしたいと考えて、色々実験した結果が形になっています」と発売の背景を語る。
今回の音源に限らず、UAレコードの作品はすべて一発録りで収録されており、あとからの編集は一切加えられていない。今作はSTUDERのアナログレコーダー「A-800」で、2インチ24トラックのアナログテープで収録されたのち、2chにトラックダウン。そして、キング関口台スタジオのSADiEにてDSD2.8MHzにマスタリングされたデータが使われている。ちなみに44.1kHz/16bitのCDレイヤーのデータも同時に作られたものとなる。
2017年に発売されたCDは、ProToolsで192kHz/24bitで収録されたデジタルデータをマスターとして使用しているので、既発売のCDをお持ちの方はデジタルマスターとアナログマスターの音の違いも楽しむことができるようになっている。
試聴会では、販売価格2000万円超となるKEFのフラグシップスピーカー「MUON」を使用。CDプレーヤーにはマッキントッシュの「C47」を組み合わせている。
イベントの最初には、SACDの「盤面の色の違い」による音の違いという珍しい聴き比べも行われた。当初レーベル面制作を担当したデザイナーは、赤色をベースとしたレーベルを作成したのだが、オーディオ界隈的にはレーザーの反射光の関係で、音質的には「緑」が有利とされている。そこで、(A)白を敷いた上に文字以外のところに緑を配置した(白抜き文字)パターン、(B)緑地を敷いた上に白で文字を配置したパターン、(C)当初案の「赤」、の3種類を作成。潮氏も、「こういう聴き比べは普通なかなかできないですよね。小さいレーベルだからこそできる取り組みです」と胸を張る。
実際に聴き比べてみると、確かに音質的な違いが感じられ、(A)が最も柔らかくしなやかな印象。麻倉氏も、「ちょっと意外な結果かもしれませんが、私たちも実際に聴き比べた上でこのデザインを選択しました」とこだわりを語った。
後半はSACD盤『エトレーヌ』をたっぷり試聴する。情家みえさんも、一発録りであることは収録日当日に聞かされて大変驚いたそうだが、「もうこれはやるしかないんだ」と腹を据えて収録に挑んだと振り返る。MUONのシステムで試聴すると、「当日の自分の喉の状態まで全部見えるようで、鳥肌が立ちました!」と、その情報量の多さにも感激した様子。
特に印象的だったのは後半の「キャラバン」。潮氏こだわりの30センチバスドラムが使われており、オーディオ的にも実験的な取り組みがなされているという。ピアノとベースとドラムというシンプルな構成の中に、情家さんの太い声が乗り、躍動感たっぷりのジャズを聴かせる。ミュージシャンの手さばきまでよく見える高解像度録音で、低音域の安定感や中高域の密度の濃さは非常に印象的。
最後にLPレコードとの聴き比べも行ったが、音の芯の太さにはレコードに分があるものの、ステージングの見通しの良さやすっきりとした音場感、情報量の多さなどにはSACDならではの美点が光る。
麻倉氏は、「UAレコードでは今後もレコードやCDといったフィジカルメディアを大切にしつつ、音質にこだわった作品作りを続けていきます!」と締めくくった。
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