自動車整備の専門学校「越生自動車大学校」と共同開催
関東のカーオーディオ市場に新風吹き込む。第1回「OACサウンドコンテスト」(埼玉)をレポート
関東のカーオーディオ市場を盛り上げるべく、第1回「OACサウンドコンテスト」が、9月29日(日)に埼玉県入間郡越生町で開催された。関東圏を中心に、全国からカーオーディオファンが集結したこのイベントをレポートしよう。
今回は初めての試みということで、自動車整備士を目指す学生さんたちのための専門学校・越生自動車大学校(Ogose Automobile College)の学園祭と同日に開催された。学園祭ではカスタムカーや自衛隊の装甲車の展示など車にまつわるさまざまなお楽しみイベントが用意されており、学生はもちろん、家族連れや近隣住民も楽しめる一大イベントとなっていた。
今回のカーオーディオコンテストは、埼玉県志木市に店を構えるエピックが中心となり、サウンドウェーブ(茨城県)やアインジール(東京都武蔵野市)、イーダオンキョウ(東京都杉並区)など、関東の主力ショップが中心となって立ち上げたものとなる。
審査員に岩井 喬氏と峯岸 良行氏をまねくとともに、関西の有力ショップAV KANSAIの岩元氏と青森県のイングラフ・木村氏も参加。音質を競い合う本格的なコンテストとして開催された。
車のナンバーを見ていても、宇都宮や水戸、松戸、品川など関東圏のエントラントが中心だが、中には新潟や八戸、大阪など遠方からの参加者もみられた。イングラフからも5台が参戦したが、そのうち4台は関東在住で、 “イングラフ関東組” と声を掛け合い旧交を温める。AV KANSAIからも2台が参戦。ショップに所属せず、自作でカーオーディオを追求する個人エントリーのユーザーも多く、全部で50台程度の車両が集結し、真剣な面持ちで審査に挑んでいた。
今回の課題曲は以下の4つ。岩井氏が審査を担当するチャレンジプロコースAと、峯岸氏が担当するチャレンジプロコースB。有名ショップのインストーラーに音質を見てもらえるサウンドチャレンジコースに加えて、トライアルとして「インストールコース」も実施。こちらは音質ではなくユニットの取り付けの美しい車を選出することになる。
いくつか注目の車両をレポートしよう。アインジールから参戦した田中さんは、スバルの「インプレッサG4」にて参戦。黄色と黒でのツートンカラーで統一された内装も、ショップの助けを借りながら自力で作り上げていったというこだわりの仕様。スピーカーはDYNAUDIOを使用、イエローの専用ピラーも美しい。アリアナ・グランデがまさに耳元で歌ってくれているかのような包まれ感に耳を奪われる。
インストールを担当したアインジールの友松さんによると、「アンプやDSP等をダッシュボード下に設置することで、結線を短くしています。そうすることでケーブルを長く取り回す必要がなくなるので、予算的にもひとつ《上のグレード》を使うことができるんです」と音質のためのアイデアを教えてくれた。
荒川区のオーディオファクトリーサウンドプロのデモカーは、日産の「R35 GT-R」。赤と黒で仕上げた精悍な内装もクールで、いかにも走りっぷりも良さそうだ。オリオスペックのカーオーディオ向けPC「canarino 12V」を組み込み、foobar2000を活用したオーディオ再生を追求している。いまカーオーディオ市場ではDAPを使っての再生が主流となっているが、「プロショップとして、あえてDAPを使わない再生を追求したいんです」と店長の竹原さん。曲の再生などはiPadのアプリをいれて操作できるようにしている。
Bluemoonのスピーカーユニットを2ウェイで搭載、アンプはHELIXを採用。またスピーカーの背後に装着する重量級の「バッフル・スタビライザー・ウエイト」をショップオリジナルで作成。「ドアの防振によって、低域がよりしっかりしてくるんです」とのことで、お客様からも反響も好評。「2ウェイならではのバランスの良さを長年追求していますよ」と専門店ならではの独自の追求に意欲を見せる。
イングラフ “関東組” のひとり、三好龍彦さん。コンテストの前日がちょうど誕生日だったそうで、イングラフチームからも「おめでとう」の声が寄せられていた。BMWに乗り込んだ瞬間に目に入るのは、アコースティック・リヴァイブの “蓮根” 。ホームオーディオ用のルームチューニングアイテムとして大ヒットを飛ばしているが、車での使用事例は初めて見た。三好さんに聞くと「めっちゃ効果ありますよ!」との由。
ZR Speakerのトップグレード「Extravagance」シリーズの使いこなしは見事で、特にクラシック楽曲の金管楽器の華やかさやダイナミックレンジの表現力には耳を奪われる。縦方向、横方向それぞれのサウンドステージが精緻に作り込まれており、クラシック音楽の新たな楽しさに出会える。
ホンダのアクティを駆るのは鍵公明さん。大阪在住で、関西圏以外のイベントは今回初参加だそうで、「9時間かけて越生までやってきました」と気合いたっぷり。DYNAUDIOのメインユニットに、ムンドルフのリボントゥイーターを高域に、BRAXのウーファーを組み合わせるなかなかに意欲的なシステムで、なんと送り出しにはソニーの “ドデカDAP” 「DMP-Z1」を組み合わせている。
「社用車でもあるので、少しずつしかグレードアップできないのですが…」と語りながらも、音の質感表現は大変に丁寧で上質、特にアリアナ・グランデの声が柔らかく耳をくすぐる幸福感がたまらない。異なるブランドのユニットを組み合わせてここまでのニュアンスを引き出せるのは、やはり組み合わせの妙というべきか。オーディオならではの楽しみでもある。この音ならばきっと長時間のドライブも楽しく過ごせるだろう。
カーオーディオメーカーや輸入商社もテントを張って自社製品をアピールする。佐藤商事は、新たに取り扱いをはじめた韓国Abyssのスピーカーユニットを展示。ホームオーディオグレードのパーツを贅沢に使ったA級アンプで注目されるが、上位機はカーボンを振動板に使ったスピーカーユニットにも期待ができそうだ。
オーディオテクニカはロングセラーとなっているRexatのアナログケーブルのほか、サウンドバーガーやワイヤレスヘッドホンなどホームオーディオ関連製品も展示。トライムは光城精工のカーオーディオ用仮想アース「Nve-05」が好調だと教えてくれた。
イスラエルのmorelを取り扱うジャンライン&パートナーズは、ホンダのN-VANを新たにデモカーとして用意、ナビをのぞいて約60万円程度と比較的お求めやすいオーディオを提案する。トゥイーターとドアウーファー、サブウーファーに加えて、リア側にサテライトスピーカーを配置して、包まれるような空間表現を実現していた。
またLINXは、スキャンスピーカーのスピーカーユニットを展示。スキャンスピークは自作スピーカーユーザーの間では知られた存在だが、カーオーディオ市場向けにはまだまだこれから市場を開拓したいところ。「ナチュラルで癖のない特性が魅力と考えています」とLINXの進藤さん。audisonのDSPと内蔵アンプを組み合わせた30万円程度のシステムを組み込んだデモカーを作成、スキャンスピークの知名度向上、そしてカーオーディオの裾野を広げたいと思いを語ってくれた。
16時半からは表彰式を開催。チャレンジプロコースA/B、コース、それから今回試験的に実施されたインストールコースの入賞者がそれぞれ発表された。
サウンドプロコースAは、AV kansai宝塚店の紙谷さん、サウンドプロコースBはEPICのアイザワさんが優勝をさらった。Bコース担当の審査員の峯岸氏は、「シンプルに色付け感が少ない車」が上位に入ってきたと振り返り、左右の特性を揃えるなど、地味な作業の積み重ねが高音質の近道だとエールを贈る。
Aコース担当の岩井氏は、チャイコフスキーの楽曲について「2本のマイクだけで録ったシンプルな録音を、どれだけダイナミックレンジ豊かに再現できるか」がキーとなったと講評を語る。車だけではなく、ホームオーディオなどさまざまな環境で聴いて楽曲への理解を深めてほしいとコメントした。
AV Kansaiの岩元氏は、「せっかくコンテストに参加するのだから、ぜひ友達を作ってほしい」とアドバイス。自分ひとりだけで音質を追求することには限界があり、友達の車の音を聴くことで、自分の音を客観的に振り返ることができると指摘。上位に入賞した車の音を聴くことで、「勝ちのパターンも見えてきます」と次のコンテストへの奮起を促した。
第一回のOACサウンドコンテストは、運営スタッフの尽力もあり大盛況のうちに幕を閉じた。アインジールの友松氏は、「来年は倍の台数の車を集めて、さらにイベントを盛り上げたいです!」と熱く展望を語ってくれた。
今回は初めての試みということで、自動車整備士を目指す学生さんたちのための専門学校・越生自動車大学校(Ogose Automobile College)の学園祭と同日に開催された。学園祭ではカスタムカーや自衛隊の装甲車の展示など車にまつわるさまざまなお楽しみイベントが用意されており、学生はもちろん、家族連れや近隣住民も楽しめる一大イベントとなっていた。
今回のカーオーディオコンテストは、埼玉県志木市に店を構えるエピックが中心となり、サウンドウェーブ(茨城県)やアインジール(東京都武蔵野市)、イーダオンキョウ(東京都杉並区)など、関東の主力ショップが中心となって立ち上げたものとなる。
審査員に岩井 喬氏と峯岸 良行氏をまねくとともに、関西の有力ショップAV KANSAIの岩元氏と青森県のイングラフ・木村氏も参加。音質を競い合う本格的なコンテストとして開催された。
車のナンバーを見ていても、宇都宮や水戸、松戸、品川など関東圏のエントラントが中心だが、中には新潟や八戸、大阪など遠方からの参加者もみられた。イングラフからも5台が参戦したが、そのうち4台は関東在住で、 “イングラフ関東組” と声を掛け合い旧交を温める。AV KANSAIからも2台が参戦。ショップに所属せず、自作でカーオーディオを追求する個人エントリーのユーザーも多く、全部で50台程度の車両が集結し、真剣な面持ちで審査に挑んでいた。
今回の課題曲は以下の4つ。岩井氏が審査を担当するチャレンジプロコースAと、峯岸氏が担当するチャレンジプロコースB。有名ショップのインストーラーに音質を見てもらえるサウンドチャレンジコースに加えて、トライアルとして「インストールコース」も実施。こちらは音質ではなくユニットの取り付けの美しい車を選出することになる。
いくつか注目の車両をレポートしよう。アインジールから参戦した田中さんは、スバルの「インプレッサG4」にて参戦。黄色と黒でのツートンカラーで統一された内装も、ショップの助けを借りながら自力で作り上げていったというこだわりの仕様。スピーカーはDYNAUDIOを使用、イエローの専用ピラーも美しい。アリアナ・グランデがまさに耳元で歌ってくれているかのような包まれ感に耳を奪われる。
インストールを担当したアインジールの友松さんによると、「アンプやDSP等をダッシュボード下に設置することで、結線を短くしています。そうすることでケーブルを長く取り回す必要がなくなるので、予算的にもひとつ《上のグレード》を使うことができるんです」と音質のためのアイデアを教えてくれた。
荒川区のオーディオファクトリーサウンドプロのデモカーは、日産の「R35 GT-R」。赤と黒で仕上げた精悍な内装もクールで、いかにも走りっぷりも良さそうだ。オリオスペックのカーオーディオ向けPC「canarino 12V」を組み込み、foobar2000を活用したオーディオ再生を追求している。いまカーオーディオ市場ではDAPを使っての再生が主流となっているが、「プロショップとして、あえてDAPを使わない再生を追求したいんです」と店長の竹原さん。曲の再生などはiPadのアプリをいれて操作できるようにしている。
Bluemoonのスピーカーユニットを2ウェイで搭載、アンプはHELIXを採用。またスピーカーの背後に装着する重量級の「バッフル・スタビライザー・ウエイト」をショップオリジナルで作成。「ドアの防振によって、低域がよりしっかりしてくるんです」とのことで、お客様からも反響も好評。「2ウェイならではのバランスの良さを長年追求していますよ」と専門店ならではの独自の追求に意欲を見せる。
イングラフ “関東組” のひとり、三好龍彦さん。コンテストの前日がちょうど誕生日だったそうで、イングラフチームからも「おめでとう」の声が寄せられていた。BMWに乗り込んだ瞬間に目に入るのは、アコースティック・リヴァイブの “蓮根” 。ホームオーディオ用のルームチューニングアイテムとして大ヒットを飛ばしているが、車での使用事例は初めて見た。三好さんに聞くと「めっちゃ効果ありますよ!」との由。
ZR Speakerのトップグレード「Extravagance」シリーズの使いこなしは見事で、特にクラシック楽曲の金管楽器の華やかさやダイナミックレンジの表現力には耳を奪われる。縦方向、横方向それぞれのサウンドステージが精緻に作り込まれており、クラシック音楽の新たな楽しさに出会える。
ホンダのアクティを駆るのは鍵公明さん。大阪在住で、関西圏以外のイベントは今回初参加だそうで、「9時間かけて越生までやってきました」と気合いたっぷり。DYNAUDIOのメインユニットに、ムンドルフのリボントゥイーターを高域に、BRAXのウーファーを組み合わせるなかなかに意欲的なシステムで、なんと送り出しにはソニーの “ドデカDAP” 「DMP-Z1」を組み合わせている。
「社用車でもあるので、少しずつしかグレードアップできないのですが…」と語りながらも、音の質感表現は大変に丁寧で上質、特にアリアナ・グランデの声が柔らかく耳をくすぐる幸福感がたまらない。異なるブランドのユニットを組み合わせてここまでのニュアンスを引き出せるのは、やはり組み合わせの妙というべきか。オーディオならではの楽しみでもある。この音ならばきっと長時間のドライブも楽しく過ごせるだろう。
カーオーディオメーカーや輸入商社もテントを張って自社製品をアピールする。佐藤商事は、新たに取り扱いをはじめた韓国Abyssのスピーカーユニットを展示。ホームオーディオグレードのパーツを贅沢に使ったA級アンプで注目されるが、上位機はカーボンを振動板に使ったスピーカーユニットにも期待ができそうだ。
オーディオテクニカはロングセラーとなっているRexatのアナログケーブルのほか、サウンドバーガーやワイヤレスヘッドホンなどホームオーディオ関連製品も展示。トライムは光城精工のカーオーディオ用仮想アース「Nve-05」が好調だと教えてくれた。
イスラエルのmorelを取り扱うジャンライン&パートナーズは、ホンダのN-VANを新たにデモカーとして用意、ナビをのぞいて約60万円程度と比較的お求めやすいオーディオを提案する。トゥイーターとドアウーファー、サブウーファーに加えて、リア側にサテライトスピーカーを配置して、包まれるような空間表現を実現していた。
またLINXは、スキャンスピーカーのスピーカーユニットを展示。スキャンスピークは自作スピーカーユーザーの間では知られた存在だが、カーオーディオ市場向けにはまだまだこれから市場を開拓したいところ。「ナチュラルで癖のない特性が魅力と考えています」とLINXの進藤さん。audisonのDSPと内蔵アンプを組み合わせた30万円程度のシステムを組み込んだデモカーを作成、スキャンスピークの知名度向上、そしてカーオーディオの裾野を広げたいと思いを語ってくれた。
16時半からは表彰式を開催。チャレンジプロコースA/B、コース、それから今回試験的に実施されたインストールコースの入賞者がそれぞれ発表された。
サウンドプロコースAは、AV kansai宝塚店の紙谷さん、サウンドプロコースBはEPICのアイザワさんが優勝をさらった。Bコース担当の審査員の峯岸氏は、「シンプルに色付け感が少ない車」が上位に入ってきたと振り返り、左右の特性を揃えるなど、地味な作業の積み重ねが高音質の近道だとエールを贈る。
Aコース担当の岩井氏は、チャイコフスキーの楽曲について「2本のマイクだけで録ったシンプルな録音を、どれだけダイナミックレンジ豊かに再現できるか」がキーとなったと講評を語る。車だけではなく、ホームオーディオなどさまざまな環境で聴いて楽曲への理解を深めてほしいとコメントした。
AV Kansaiの岩元氏は、「せっかくコンテストに参加するのだから、ぜひ友達を作ってほしい」とアドバイス。自分ひとりだけで音質を追求することには限界があり、友達の車の音を聴くことで、自分の音を客観的に振り返ることができると指摘。上位に入賞した車の音を聴くことで、「勝ちのパターンも見えてきます」と次のコンテストへの奮起を促した。
第一回のOACサウンドコンテストは、運営スタッフの尽力もあり大盛況のうちに幕を閉じた。アインジールの友松氏は、「来年は倍の台数の車を集めて、さらにイベントを盛り上げたいです!」と熱く展望を語ってくれた。
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