HOME > ニュース > ビクターと松下日東電器が次世代高密度光ディスク用単レンズ技術の共同開発に成功

ビクターと松下日東電器が次世代高密度光ディスク用単レンズ技術の共同開発に成功

公開日 2001/12/06 17:56
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
●日本ビクター(株)は、松下日東電器(株)と共同で、記憶容量25GBの次世代高密度光ディスク用に、高精度かつ高集光能力を有す光ピックアップ用対物単レンズを開発した。

同レンズは、一枚で構成される単レンズながら高精度で開口数(レンズの集光能力(分解能)を表す指標。高い方が分解能が高く、次世代光ディスク用として、0.85のものが開発されている)0.85と高い集光能力を有し、従来レンズを2枚用いる2群レンズ(次世代光ディスク用として開発が進められている組合せレンズ。高開口率を実現するためにレンズを2枚組み合わせて構成とされている。組み立てにミクロンオーダーの高い精度が必要とされていること、作動距離(ディスクとレンズの間の距離)が短いことが課題となっている。)で必要だった高度な組み立て工程を必要としないので、光ピックアップの低価格化と次世代高密度光ディスクの普及が可能となる。

大容量記録媒体として期待されている次世代高密度光ディスクの実現には、これまで高精度で高い集光性能を有する、高開口数単レンズの開発が大きく期待されていたが、高開口数を持った単レンズは、開口数が上がるにつれ深くなる球面および非球面の形状をガラス上に正確に形成することが困難であったことや、レンズの製造公差、特にレンズ両面の間の偏芯と間隔に高い精度が必要であったことなどから、その実現が難しいとされてきた。

今回、ビクターの高度なピックアップ設計技術とレンズ設計技術、松下日東電器の高度なレンズ設計技術およびガラス成形技術により、以下の2点を実現し課題が解決されたもの。
 ・球面を比較的浅く押さえながらも、良好な光学性能と製造公差の確保を両立させた設計
 ・松下日東電器のサブミクロン以下精度の金型加工と、金型を狙い通りに転写する高精度な成形

尚、このたび開発されたレンズの主な特長は以下のとおりである。

(1) 単レンズでありながら、開口数0.85と高集光能力を有するので、従来から開発が進められている2群レンズの弱点である高精度な組み立て工程が不要。このため、2群レンズに比べて大幅なコストダウンが可能。また、2群レンズの別の弱点である作動距離(ディスク表面とレンズ表面間の距離)の短さに関しても、この単レンズは、作動距離を0.6mmと長くすることができ、ディスクの信頼性向上に大きく寄与。

(2) レンズの集光性能を低下させる収差<=波面収差量0.02λ台(「波面収差量」はレンズの性能を表す指標で低いほど良い。レンズの不完全性を収差と呼ぶ。収差があると、集光能力が低下する。光ディスクシステム全体での収差の限界は、0.07λ(波長)とされている。対物レンズへ期待される収差量は、0.04λ以下である)>がほとんどない高精度なレンズのため、特別な収差補正技術を用いることなく、次世代光ディスク用のピックアップを構成することが可能。

(3) DVD用のピックアップと同程度の精度で、次世代光ディスク用のピックアップを構成できるため、ピックアップのコストダウンが可能。

(4) 金型素材として超硬(精密加工性がよく、堅く、熱的にも安定であることを特徴としたタングステンカーバイト合金。ガラス成形用の金型に適する。研削法により非球面を加工する)を用いているため、量産時の金型寿命が長くなり、コスト低減にも寄与。
 
これらの特長により、同レンズは次世代光ディスク用ピックアップの低コスト化の道筋を付けると共に、それによる次世代光ディスクの普及を大きく前進させるものとして期待される。(Phile-web編集部)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック