Senka21 1月号<スペシャルインタビュー> Part.3
12月26日販売開始 A.I. DVD 1枚 1,500円(期間限定特別価格) / ワーナー・ホーム・ビデオ 日本代表 原田 健氏 |
◆ワーナー・ホーム・ビデオ 日本代表 原田 健氏
◇インタビュー・麻野 勉
―― さて、米国では、ウォルマートさんがかなり販売してらっしゃるそうですね。
原田 ワーナー全体の売上げの35%を占めており、米国本社とウォルマートさんとは大変親密な関係にあります。ウォルマートさんの専門の部隊もあるほどです。日本でも、昨年スタートしたセブンイレブンさんには専門部隊を設けており、オリジナル商品の開発を含め、セブンイレブンさんやイトーヨーカドーさんの社内物流にまで、共同での取り組みを行っています。
セブンイレブンさんとの取り組みでは、最初の頃は、深夜帯や早朝の購入が多かったのですが、最近は本当にあらゆる時間帯で買われています。また、我々からすれば、おでんを買って、ビールを買って、ついでに格闘もののDVDを買ってというイメージをコンビニに対して漠然と描いていましたが、実際には、今回の10月からのスーパー・ハリウッド・キャンペーンでも、『トムとジェリー』『ネバーエンディングストーリー』『グーニーズ』といったあたりが一番売れています。我々が今まで考えていた、おじさん中心のセブンイレブンとは違った結果で、むずかしいチャネルだと改めて思いました。「コンビニはこうだろう」という考え方自体が実は外れていて、本当に色々な人が利用している。それだけDVDの購入層も多様化していると思いますね。
―― これからは、いわゆる団塊の世代にあたる、こだわりのある層の年齢が高くなってくる。時間もお金もある、こういう層が欲しがるDVDもどんどん出してほしいですね。
原田 確かに僕もそこにあたりますが、そういう層が待っているDVDのタイトルがまだ出ていませんね。これまでのDVDのマーケティングは、僕らの世代を無視していました。自分の青春の一部を、今は、自宅のホームシアターシステムで見ることができます。DVDで見たい映画がまだまだたくさんありますね。
―― 2003年は面白い年になりますか。
原田 そうですね。いい映画がたくさん出てきます。当社では、米国映画が約80本。韓国映画も2003年秋くらいからDVD化していきます。さきほど申し上げたニッチ市場向けに出してくるタイトルも50本ほどを予定しており、年間目標で130タイトルくらい。かなり面白くなると思いますね。
―― ソフトでは、商品説明やアフターサービスの必要なハードと異なり、販路のひとつとしてeコマースが大変注目されています。こちらでも、新しい取り組みを開始されたそうですね。
原田 11月20日から、とりあえずセブンドリームさんとスタートさせたのが、eコマースの経費削減に対する取り組みです。
通常のeコマースの場合には、当社が商品の梱包費用と輸送賃を負担して、業者の倉庫まで商品を持っていきます。eコマースの場合にはカタログのタイトルが多いので、業者は在庫を広く浅く持たなければならない。そうなると必ず不良在庫を多く抱えて、それが経営を圧迫します。ここにひとつの大きな問題があります。さらに、届いた商品を個別に包装・梱包するのに外部に下請けに出していますが、相当の経費がかかっています。
そこで私たちが考えたのは、eコマース運営会社さんは在庫を持たずに、当社の在庫から直接販売されたらいかがですか、という提案です。メーカーですからあらゆる在庫を持っています。お客様から注文が入ったら、当社負担で包装・梱包して、宅配業者にお渡します。彼らの経営は非常に楽になると思いますし、こちらも、包装・梱包の費用に関しては、モノを運ぶ費用が浮いた分でまかなうことができます。市場にどれだけ不良在庫が貯まっているのかという心配もなくなりますからね。
ネットビジネスというのは、単に商品の売り方の出口が変わるだけなんです。最終的に一番効率化されなければならないのは、バックオフィスであり、物流なんですよ。ここをどうするかで、eコマースがこの世の中に存在し続けるかどうかが決まると思います。
―― さて最後に、原田さんは松下電器ご出身ということですが、ソフト側から見た、ハード側の課題は、現在どの辺にありそうですか。
原田 ハードメーカーさんにも、文化論でもないですが、お客様に商品を説明していく姿勢がもっと欲しいですね。例えば、DVDプレーヤーを薦めるにしても、14インチのテレビで見る場合と、プラズマで見る場合とでは、当然、薦めるDVDプレーヤーも、ホームシアターのシステムも違ってこなければならない。お客様が何に対してお金を払っているのかがよく見えていないように思います。
最終的にお客様が求めているのは、映画をどれくらいキレイに見たいかなのではないでしょうか。そのためにも、製品が作り手の体温や設計思想がもっと感じられるものであってほしいと思います。実際につくっている開発部隊の人間が、もっとエゴを出してもいいのではないでしょうか。(senka21編集部)