大手家電メーカー4社が、白もの家電のネット接続技術仕様「iReady」を共同開発
(左)ネット対応機器を制御する、タッチパネル式のホーム端末プロトタイプ (右)Bluetooth、無線LAN両方方式によるネットワーク対応を実現した機器のデモが行われた |
これまで、ネット家電による新しい付加価値を持つサービスや機器には大きな期待が寄せられていたが、異なるメーカー間での機器の接続互換性や、ネット接続機能内蔵による機器のコスト上昇などの課題がその普及拡大の妨げとなっていると指摘されてきた。これまで4社は、コスト上昇を押さえた白ものネット家電の普及を目指し、ネット接続機能を白ものネット家電本体から分離するための相互接続実証実験を進めてきたが、さらなる飛躍を狙い、異なるメーカーの機器間での相互接続の確立とネット配信サービス規格の共通化を目標とした技術仕様「iReady」の共同開発に取り組むこととなった。
「iReady」のネーミングには「IT Ready」/「Internet Ready」/「I am Ready」などの意味が含まれている。ユーザーにとっては機器の製造メーカーを気にせずネット家電を接続し、色々なネットワークサービスを手軽に楽しめる環境が実現され、またメーカーにとってもネット家電の製造コスト抑制やサービス運用コストの抑制を進め、「白もの家電のiReady化」へと結びつけて行くことが目標であるとしている。
「iReady」におけるネット家電の構想では、ネットワーク接続に必要な通信機能を家電本体から分離し、通信機能をアダプタに実装していく考えだ。共通の仕様をもつネットワーク端子をエアコンや電子レンジなどといった対応機器に実装し、アダプタをつなげるだけでネット家電としての機能が付加されるというものだ。通信機能を機器本体と分離することにより、製品の価格上昇をおさえ、サイズのコンパクト化にもつなげることができるという。また、現在はBluetooth、無線LAN両方方式(ECHONET ver.3準拠を予定)でのネット接続を実現する製品開発が進められているが、アダプタ化により、将来現れる通信メディアに対応させることをも容易となる。さらにこれまで各社が独自に進めてきたネット配信サービスに関しても、異なるメーカーの白ものネット家電が共存したホームネットワークへのサービスやサーバーへの共同運用が可能となり、4社以外のメーカーへ規格合流を促進し、ネット家電の普及拡大につなげていくことができるという。
4社は今後、「iReady」の規格確立を急ぎ、来年の早い段階から「iReady」に対応した白もの家電製品を発表していくという。また一方で技術仕様のオープン化を実現し、国内外企業への「iReady」技術仕様の採用促進も併せて提案していく。ネット配信サービスの共同運用、便利 安心 快適をキーワードに白もの機器のネットワーク化促進を実現していく考えだ。
記者会見の最後に行われた質疑応答の内容を以下に掲載する。
Q:「iReady」の技術を搭載した商品をいつから、どのくらいの規模で市場に投入していくのか
A:<三洋>今回は技術仕様の発表までだが、今後規格の確定させた後は速やかに商品開発を進めていきたい
<シャープ>来年から徐々に商品を出していきたい。詳細はただいま検討している段階だ
<東芝>東芝が既に展開しているネット家電製品「フェミニティ」シリーズの製品群はいずれもアダプタ内蔵型だった。今後「iReady」の技術を採用していくことで他社製品との互換性が拡大し、お客様にとってよりメリットの大きい商品を安価で発表できると期待している。商品計画は今のところはまだ未定だ
<三菱>できるだけ速く技術仕様を固め、いろいろな商品を出していきたい
Q:同様にネット家電の製品開発を押し進める日立、松下と比べたとき「iReady」のアドバンテージはどこにあるのか
A:「iReady」のネットワーク機能をアダプタ化によるオプション仕様とした点、将来における高い拡張性が実現できるものと思っている。日立、松下との機器とも将来つながっていく可能性は高いと考えている
Q:今回製品の製造コストを押さえることを目標として上げているが、商品の価格として目標設定しているレベルはどのあたりか
A:家電本体は今販売されている製品とほとんど変わらない価格で販売できるだろう。ネットワーク機能を内蔵した製品よりは確実に安価な製品を開発できる。あとはアダプタの価格だが、こちらは量産時にはサードパーティー各社の参加により、価格も様々な商品が登場してくるものと期待している
Q:ネット家電向けのサービスにはどんなものを揃えていくのか。その運営は4社合同で行うのか
A:キラーアプリケーションの充実が急務だ。色々なサービスを検討し、実現していきたい。「iReady」ではサービスのプラットフォームも共通化していく考えである。これにより、ユーザーの皆様は広くメーカーを超えたサービスが楽しめるようになるだろう。
Q:今回参加各社の現時点における白もの家電の販売シェアはどれくらいか
A:エアコンは4社計で43%、冷蔵庫は同じく4社計で56%
Q:東芝の「フェミニティ」は「iReady」へ移行されるのか
A:「フェミニティ」は「iReady」の技術を採用し発展させる方向へシフトして行くだろう。ネットワーク機能は内蔵仕様からアダプタ化されることで製品のバリエーションも広げられるものと期待している
Q:今後4社の白もの家電は基本「iReady」対応のモデルになるのか
A:<三洋>規格が確定すれば積極的に「iReady」対応モデルを増やしていきたい
<シャープ>今後の製品開発の中で大きな柱になるだろう。商品の個性に応じた「iReady」化を進めていきたい
<東芝>本体の機能、デザインを充実させながら、ユーザーから需要の高いジャンルの製品を皮切りに「iReady」対応製品を拡大していきたい
<三菱>製品全部を「iReady」対応にするかは今後検討していく。同時にサービスの内容を充実させることも大切だ
Q:基本的に日本企業だけで「iReady」のネットワーク拡大を進めていくのか。海外企業の参加は
A:今回の発表を皮切りに「iReady」の仕様を広く告知し、賛同を呼びかけていきたい。ネット家電の世界標準を目標にしているので、海外企業の参加ももちろん歓迎している
Q:どうしてこの4社になったのか
A:今回の「iReady」で採用予定の「アダプタ方式」を構想していた4社が自然発生的に手を結んだものと考えている。私たち以外にもこの方式をネット家電の理想としてイメージするメーカーも多いはずだ
Q:発売されるアダプタの大きさは
A:今様々な場所で標準的に使われているカードアダプタと同じくらいの大きさになると考えている。おそらくコンパクトフラッシュタイプの大きさになるだろう。家電として使う際には技術的な課題をクリアして、大きさなどを決めていきたい
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(Phile-web編集部)