[2004年度 松下電器経営方針] 質疑応答の全問・全答
本日行われた記者会見の模様 |
Q:連結営業利益率5%の達成を2003年通期までに達成できなかった主な原因はどこにあると考えているか。今後どうやって克服していくか。
A:20世紀型の効率の悪い体質に基づいて策定してしまった計画が響いたものと反省している。売上高9兆円という、実現の可能性の低い数値目標に引きずられた結果となった。2004年度は売上高に関する目標は策定していない。それぞれのドメインごとに実現可能な目標を定め、実行していけるものと思う。もう一つの反省点としては、生産性が低い事業がいくつか残っていたことがあげられる。ヒトからヒトへの数珠繋ぎによる生産体制が全体に影響を及ぼした。今後はV商品に設定した項目の生産体制を再確認し、生産工程におけるIT化を進めていく考えだ。
Q:コラボレーション委員会には何人くらいのメンバーがいるのか。理想とする完成図は。
A:委員会メンバーは正確には把握していないが、電産からは90人、電工からは70人ほどの規模になるのでは。委員会の答申は3月末までに出してもらう。委員会に方針の発表を任せているので、今後の戦略発表などについてはいましばらくお待ちいただきたい。
Q:今後「破壊」の部分での改善策は検討しているか。
A:各ドメインごとに、「破壊」の部分を含めた構造改革は2004年度もスピーディーに引き続き行っていく。一例を挙げると、電子部品は2004年内に選択と集中を実現し、5%を超える営業利益をあげられる体質にしていくつもりだ。その他のドメインも個々に改革を進めている。
Q:DVDレコーダーにおけるソニーなどライバル企業の攻勢にどう対応していくか。
A:おかげさまで弊社のDVDレコーダーが好調だ。これをベースに、シンガポール、大連に生産体制を拡張し月産40万規模を実現していく。新製品も投入していく。今年も好調に推移していくことができるだろう。
Q:新しく2005年から生産開始を予定している半導体新工場の建設地に富山県の魚津を選んだ理由は。
A:現在の工場の隣接地で、それなりの大きな土地を自治体から提供してもらえたのが魚津だった。効率良く拡張ができ、水の問題もクリアできたことが大きい。
Q:デバイス製品の位置付けはどのようにとらえているか。
A:当社にとってデバイスを持っているということは、他者と比較して極めて高い優位性を確保できていることだと考えている。特にこれからのデジタルAV製品の製造において、開発から販売へ極めて短期間で動きがとれることが大きい。またブラックボックスを中心に、他社にない製品も出して行ける。今後もデバイス事業の重要性を強く認識して事業を進めていきたい。
Q:地元・関西の景気をどのように考えているか。
A:関西の景気に一翼を担う松下は、その成長にそれなりに貢献できるパワーを獲得できたのではと思う。他の関西系企業も成長を続けている。エレクトロニクスを中心に、皆で関西の景気上昇に貢献できると考えている。弊社は窮地を脱出できたが、危機は続いていると自戒したい。営業利益5%を達成するまでは、今後も気を引き締めて経営をつづけていきたい。
Q:これだけのヒット商品をもちながら、コスト削減も進め、なぜ利益率が5%に達しないのか。
A:いまはまだまだ構造改革中であるととらえている。生産効率の見直しはもっとできるはずだ。現在の問題を克服し、躍進をするための素地がこれまで作れたので、これからは2006年に向かって進んでいける体制にあると思っている。
Q:2010年にグローバルNo.1を宣言しているが、それを達成するための営業利益率はどの程度と考えているか。
A:「営業利益10%の達成」、これを私個人は目標と考えている。
Q:売上げの数字見通しについての内訳を詳しく教えて欲しい。こういった分野、こういったところが鍵など詳しく説明してくれ
A:本日は概要の発表なので具体的な内容はお答えすることはできない。しかし、海外の利益比率拡大、AVCのモバイルを中心としたバリューチェーンの利益倍増、デバイスの利益率における強化などは、大きなキーポイントとなるだろう。
Q:魚津工場について、2005年に操業開始としているが、丁度この頃は半導体不況が予想されている。何故この時期にスタートさせるのか、不安はないのか。
A:半導体の需要は元来予測できるものではないし、不況を恐れていては躍進のための投資はできない。我々としても半導体は重要視している分野であるので、成功に向けて挑戦をすることが重要と考えている。
Q:米国、中国・韓国企業の追い上げに危機感は感じていないのか。常に先を走り続けるためにどういう努力を重ねていくか。
A:韓国・中国企業、また米国はDELL、モトローラなど企業が薄型テレビに参戦すれば競争は激化するだろう。しかしながら、ことテレビに関しては日本の企業は極めて洗練された技術力をもっているしこれは他国に真似のできるものではないと私は考えている。日本のテレビメーカーが持っている貴重なブラックボックスと言えるだろう。同時にブラックボックスは乗り越えられてしまうものであると理解している。日本の製造業が生き抜いていくためには他国にできないアイデアを作り続けていくことが必要。これから弊社はその一翼をになっていくことができると期待している。
Q:2006年までの目標として、「5%以上」と掲げている言葉の持つ意味は。
A:ドメイン別に5%に前後するところがでてくるだろうと考えている。それぞれの目標に従って達成した数値の総計が5%となると予測したため、「以上」という表現をつかった。
Q:システムLSIは中長期的に外販も行っていくのか。
A:私たちの半導体事業はまず内部で成功を遂げることが大きな目標であると認識している。
Q:海外企業と競争した際の、流通コスト改革をどのように考えているか。
A:これからはネット販売の比率が高まってくると予測する。現在の既存のシステムに甘んずることなく、流通にも新しいシステムを研究していく必要があると思う。一方で私たちのモノづくりに自信があるので、こちらをしっかりとやっていれば、海外企業の攻勢を過度に意識する必要はないと考えている。
(Phile-web編集部)