「ヒバクシャ-世界の終わりに」が「第12回地球環境映像祭」大賞受賞!
アジア・オセアニア地域の19カ国(地域)から寄せられた103本の作品の中から、アース・ビジョン大賞は日本の鎌仲ひとみ監督作品「ヒバクシャ-世界の終わりに」(2003年/116分/16ミリ/制作配給:(株)グループ現代)に決定した。
この作品は、湾岸戦争の劣化ウラン弾による放射線汚染を受けたイラク、原爆を被爆した日本、それらの武器を製造したアメリカに取材し、各地での放射線による被曝が現在も一般の人や自然を蝕み、このような低線量放射線汚染が地球規模で増大しつつあることを検証していったもの。
審査委員長の佐藤忠男氏は、「原爆の被害について、意外に世界の人は知らないし、原爆の映画も見られていない。この作品は低レベル放射能の被害について新しい情報を盛り込み、単純に批判するだけでなく、イラク、アメリカ、日本を被爆という共通の問題意識から平等に考え、世界的に捉えている。原爆の問題をどのように世界の人に伝えていくかを考える良い例ともいえるし、普通の人がどのように放射能の問題とかかわっているかを考えることができる。一見、なんでもないように見えるが画期的だ。この作品が世界のみんなに見られるように願っている。」とコメントした。
他に最優秀作品賞には、インドネシアのトニー・トゥリマルサント監督がスマトラ島ポルセア地方の人々がパルプ工場から自分たちの土地を守る姿を描いた「ドリームランド」(2002年/30分/DV/Cup of coffee 制作)。審査員特別賞にオーストラリアのサリー・イーグルトン監督作品「濁りゆく海-グレートバリアリーフの生と死」(2003/オーストラリア/52分/Betacam/Film Australia in association with December Films制作)が選ばれた。
アース・ビジョン事務局では、受賞・上映作の映像と写真を、市民団体、自治体、教育関係団体などの非営利の環境イベントに提供するサービスもおこなっている。
受賞作、その他、詳細については、下記のURLを参考のこと。
(取材・文 山之内優子)
写真左)審査委員長佐藤忠男氏より大賞を授与される鎌仲ひとみ監督(2月15日四谷区民ホール)
写真右)アース・ビジョン大賞受賞作「ヒバクシャ−世界の終わりに」より。劣化ウラン弾による放射線障害が心配されるイラクの少年と、その家族