新ライン立ち上げでPDP大幅増産へ−−パイオニアが事業説明会を開催
●パイオニア(株)は、本日会社説明会を開催し、主に同社のPDP事業に関して今後の事業展開の見通しを発表した。
まずはじめに同社社長の伊藤周男氏が登壇。2005年3月期の見通しについて、売上げを8,000億円、営業利益を270億円と発表した。伊藤社長はこの数字を「大変厳しく受け止めている」としながらも、「来期で必ず挽回する」と宣言し、収益性向上への取り組みとして「製造原価の低減」「経費コントロールの強化」「資産の圧縮によるキャッシュフローの改善」「販路の拡大」「人員配置の適正化」を挙げた。
このうち製造原価の低減については、「市場価格の下落にコスト削減が追いつかなかった」とし、DVDレコーダー、DVDドライブ事業では生産をすべて中国に移管するなど、生産体制を整理統合することを明らかにした。DVDレコーダーについては「コスト競争力のあるモデルを作るべく、抜本的な設計の見直しを行う」とも述べ、新製品の開発にこれまで以上の力が注がれそうだ。
また、経営の最高課題として在庫の削減に最も注力しているとし、現在1,355億円ほどの在庫を、来年3月には1,050億円程度に減らすことを計画している。
続いて、同社専務執行役員プラズマディスプレイビジネスカンパニー プレジデントの五月女勝氏が、PDP事業の今後について説明した。
五月女氏は、PDP事業の業績見通しを1370億円程度と説明。これはホームエレクトロニクス事業の売上高のうち40%を占め、同事業の中で最大の商品分野となった。これは、パイオニア本体の売上げが昨年の16万台から今年は30万台に増えたことに加え、10月から経営統合した旧NECプラズマディスプレイの18万台が加わり、合計48万台と急増したことによる。
市場動向については「昨今、欧州の売上げが急増しており、これにあわせて中期予想を上方修正した」と説明。地域別では「北京オリンピックにあわせて中国が急伸するだろう」と述べ、日本を除くアジア市場が最も伸びると予想した。
五月女氏は市場シェアについても言及し、今年9月の数値で40インチ以上クラスでは30%、50インチ以上クラスでは46%と、いずれもシェア1位を獲得していると説明した。「6月の段階で新製品を前倒しで投入し、シェアを急伸させた効果が続いている」のが理由という。「今後は利益率の良い50インチクラスでのシェアを死守したい」とも述べ、大型サイズに最注力する考えを示した。
生産体制では、パイオニアディスプレイプロダクツ(株)の山梨工場で新たに立ち上げた第4ラインの生産能力をさらに増強するとし、これにより2007年の年間パネル生産能力を120万台まで高めるとした。2004年の生産能力は25万台なので、およそ5倍に増えることになる。
また、NECプラズマディスプレイを小会社にし、新たに10月よりパイオニアプラズマディスプレイ(株)として発足させた新会社においても、「パイオニア独自のダイレクトカラーフィルターやクリア駆動法、多面取り生産の活用などにより高品質化とコスト削減を実現すべく、生産体制の見直しを行っている」と述べた。
これらの生産体制の見直し、また部材の見直しなどにより、「年率20%程度で市場価格の下落が続くと予想しているが、これを上回る原価ダウンを実現する」と宣言した。また、今後の基本方針として「大型・高精細プラズマに集中特化する」とし、「その中でフルラインナップを取る」戦略が明らかにされた。
なお、本日付の日本経済新聞で、05年中に300億円規模の投資を行い新ラインを建設するとの報道があったが、これについては「2005年、2006年の投資は考えていない」と伊藤社長が言明し、「2007年以降も市場の拡大は続くので、来年早々にプロジェクトチームを立ち上げて生産能力のさらなる増強を検討していく」と付け加えた。
質疑応答では、主に財務内容についての質問が多く出た。「フルHDパネルの投入時期は」との質問に対しては、五月女氏が「現在まさしく研究を行っているところ。現在のXGAクラスパネルでも十分に美しいと考えており、フルHDパネルを投入するとしたら、どの程度販売価格に転嫁できるかが鍵になる。コスト、経済性などを考慮し、目下考えているところだ」と答えた。時期に関しては「まだ発表できる段階にない」と述べるにとどまった。
また、来期の売上げ目標については、伊藤社長が「1兆円という当初目標は厳しいが、何とか9,000億円はやりたいと考えている」と述べ、その方策については「来年2月頃に発表する」とした。また、オーディオ事業について「最近はミニコンポよりもiPod、という風潮が強まっている」とし、「今後事業をどうしていくか、構造改革の可能性を含めて、一度白紙に戻して検討する」と述べた。
(Phile-web編集部)
まずはじめに同社社長の伊藤周男氏が登壇。2005年3月期の見通しについて、売上げを8,000億円、営業利益を270億円と発表した。伊藤社長はこの数字を「大変厳しく受け止めている」としながらも、「来期で必ず挽回する」と宣言し、収益性向上への取り組みとして「製造原価の低減」「経費コントロールの強化」「資産の圧縮によるキャッシュフローの改善」「販路の拡大」「人員配置の適正化」を挙げた。
このうち製造原価の低減については、「市場価格の下落にコスト削減が追いつかなかった」とし、DVDレコーダー、DVDドライブ事業では生産をすべて中国に移管するなど、生産体制を整理統合することを明らかにした。DVDレコーダーについては「コスト競争力のあるモデルを作るべく、抜本的な設計の見直しを行う」とも述べ、新製品の開発にこれまで以上の力が注がれそうだ。
また、経営の最高課題として在庫の削減に最も注力しているとし、現在1,355億円ほどの在庫を、来年3月には1,050億円程度に減らすことを計画している。
続いて、同社専務執行役員プラズマディスプレイビジネスカンパニー プレジデントの五月女勝氏が、PDP事業の今後について説明した。
五月女氏は、PDP事業の業績見通しを1370億円程度と説明。これはホームエレクトロニクス事業の売上高のうち40%を占め、同事業の中で最大の商品分野となった。これは、パイオニア本体の売上げが昨年の16万台から今年は30万台に増えたことに加え、10月から経営統合した旧NECプラズマディスプレイの18万台が加わり、合計48万台と急増したことによる。
市場動向については「昨今、欧州の売上げが急増しており、これにあわせて中期予想を上方修正した」と説明。地域別では「北京オリンピックにあわせて中国が急伸するだろう」と述べ、日本を除くアジア市場が最も伸びると予想した。
五月女氏は市場シェアについても言及し、今年9月の数値で40インチ以上クラスでは30%、50インチ以上クラスでは46%と、いずれもシェア1位を獲得していると説明した。「6月の段階で新製品を前倒しで投入し、シェアを急伸させた効果が続いている」のが理由という。「今後は利益率の良い50インチクラスでのシェアを死守したい」とも述べ、大型サイズに最注力する考えを示した。
生産体制では、パイオニアディスプレイプロダクツ(株)の山梨工場で新たに立ち上げた第4ラインの生産能力をさらに増強するとし、これにより2007年の年間パネル生産能力を120万台まで高めるとした。2004年の生産能力は25万台なので、およそ5倍に増えることになる。
また、NECプラズマディスプレイを小会社にし、新たに10月よりパイオニアプラズマディスプレイ(株)として発足させた新会社においても、「パイオニア独自のダイレクトカラーフィルターやクリア駆動法、多面取り生産の活用などにより高品質化とコスト削減を実現すべく、生産体制の見直しを行っている」と述べた。
これらの生産体制の見直し、また部材の見直しなどにより、「年率20%程度で市場価格の下落が続くと予想しているが、これを上回る原価ダウンを実現する」と宣言した。また、今後の基本方針として「大型・高精細プラズマに集中特化する」とし、「その中でフルラインナップを取る」戦略が明らかにされた。
なお、本日付の日本経済新聞で、05年中に300億円規模の投資を行い新ラインを建設するとの報道があったが、これについては「2005年、2006年の投資は考えていない」と伊藤社長が言明し、「2007年以降も市場の拡大は続くので、来年早々にプロジェクトチームを立ち上げて生産能力のさらなる増強を検討していく」と付け加えた。
質疑応答では、主に財務内容についての質問が多く出た。「フルHDパネルの投入時期は」との質問に対しては、五月女氏が「現在まさしく研究を行っているところ。現在のXGAクラスパネルでも十分に美しいと考えており、フルHDパネルを投入するとしたら、どの程度販売価格に転嫁できるかが鍵になる。コスト、経済性などを考慮し、目下考えているところだ」と答えた。時期に関しては「まだ発表できる段階にない」と述べるにとどまった。
また、来期の売上げ目標については、伊藤社長が「1兆円という当初目標は厳しいが、何とか9,000億円はやりたいと考えている」と述べ、その方策については「来年2月頃に発表する」とした。また、オーディオ事業について「最近はミニコンポよりもiPod、という風潮が強まっている」とし、「今後事業をどうしていくか、構造改革の可能性を含めて、一度白紙に戻して検討する」と述べた。
(Phile-web編集部)