今日は「音の日」 JASコンファレンス2004開催〜サラウンド最前線
●1877年12月6日にトーマスエジソンがフォノグラフを発明したことにちなみ、日本オーディオ協会らが制定した「音の日」。その「音の日」である本日、「第10回 JASコンファレンス2004」が都内にて行われた。今回の主題は「サラウンドオーディオの最新情報」。日頃サラウンドオーディオに携わる4人のゲストが順次講演を行った。
講演に先立ち、日本オーディオ協会会長の鹿井信雄氏が挨拶を行った。鹿井氏は「今年はオリンピックがサラウンド放送された記念の年。またそれらの『記録』に関しても話題になった年」であるとし、「『サラウンド』『ハイファイ』に加え、PCを中心とした『圧縮音楽』の3つが大きなオーディオの流れになってきており、オーディオ協会としても大きな関心を持っている」と語った。
講演の第一部の題目は「R&Dの現場から」。初めに登壇したのはNHK放送技術研究所の主任研究員を務める濱崎公男氏だ。同氏はまずサラウンドの歴史を振り返り、「サラウンドは映像・映画との結びつきで発展してきた」と説明。「空間印象」という言葉をキーワードに、臨場感を再現する再生システムとそれに必要な録音方法の研究を続けているという。また、同研究所が開発した7680×4323ドットのスーパーハイビジョンにあわせたサラウンドシステムとして、22.2マルチチャンネル音響を紹介。他のマルチチャンネルフォーマットとの互換も図れるというこの22.2chサラウンドで、既にオーケストラの収録などを行っているという。来年開催される愛知万博では、600インチスクリーンを使ったスーパーハイビジョン映像とこの22.2chサラウンドを体験することができる。最後に同氏は「録音再生の新たな概念として『音源情報』と『音響空間情報』の2つを独立して収録することで、視聴位置を限定しないインタラクティブ性のある高臨場感オーディオが実現可能になる」と説明し、続く松井氏にマイクを譲った。
同じくNHK技研に所属する松井健太郎氏は、“オブジェクト指向”という概念を用いた、PCによるサラウンドシステム「PC-VRAS(バーチャル・リアリティ・オーディオ・システム)」を紹介。本システムでは「音源」「音場」「ミキサー」などがそれぞれ属性を持ったオブジェクトとして定義され、それらオブジェクト間の情報を処理することで高度なサラウンドをPC上で再現するというもの。デモンストレーションでは、NHKのホールの仮想空間を3D CGで再現し、その中を自由に移動。移動した場所に応じ、演奏の聞こえ方が変わる様子が5.1chで体験できた。
第2部の題目は「ソフト制作の現場から」。サラウンド収録のソフトを手掛ける2人のプロフェッショナルが講演・デモをおこなった。
初めに講演を行ったのは(株)ミキサーズ・ラボ代表取締役社長の内沼映二氏。11月に発売した、音楽音のみを使ったオーディオチェックディスクの制作に関する説明を行った。同氏が手掛けたDVDオーディオのチェックディスク「CHECKING DVD BY MUSIC」は、機械的な信号音を全く使わずに制作された。5,6年前からサラウンド録音の仕事が増え始めたが、モニターシステム調節に時間がかかることや、信号音を聞き続けることが辛かったこともあり、本ソフトの制作を思いついたという。また、CDの登場とともに忘れられつつある「趣味としてのオーディオ」を改めて楽しんで欲しいとの願いも本ソフトには込められているという。67人の大編成のオーケストラをパートごとに録音・ミックスした本ソフトのデモンストレーションは、多くの来場者の関心を集めていた。
最後に登壇したのは(有)エヌ・アンド・エフの福井末憲氏。“録音家”として活躍する同氏は、ナチュラルなサラウンドにこだわった独自の録音技術「SF-NSSFMS(ネイチャー・サラウンド・サウンド・フィールド・マイクロフォン・システム)」を紹介。フロントLRをメイン・サウンド・ステージ、センターとリアLRをサラウンド・サウンド・フィールドと定義づけた独自の考え方は、5.1chのITU-Rの設置と一致するものであると説明し、これに最適な録音方法が「SF-NSSFMS」であるとした。3mのバーに6つのマイクを取り付けて収音するこの方法は、ステレオLRとリアの音の繋がりを最も自然に再現できると説明。デモンストレーションでは同氏が録音を手掛けたSACDマルチのソフトを体験することができた。
(Phile-web編集部)
講演の第一部の題目は「R&Dの現場から」。初めに登壇したのはNHK放送技術研究所の主任研究員を務める濱崎公男氏だ。同氏はまずサラウンドの歴史を振り返り、「サラウンドは映像・映画との結びつきで発展してきた」と説明。「空間印象」という言葉をキーワードに、臨場感を再現する再生システムとそれに必要な録音方法の研究を続けているという。また、同研究所が開発した7680×4323ドットのスーパーハイビジョンにあわせたサラウンドシステムとして、22.2マルチチャンネル音響を紹介。他のマルチチャンネルフォーマットとの互換も図れるというこの22.2chサラウンドで、既にオーケストラの収録などを行っているという。来年開催される愛知万博では、600インチスクリーンを使ったスーパーハイビジョン映像とこの22.2chサラウンドを体験することができる。最後に同氏は「録音再生の新たな概念として『音源情報』と『音響空間情報』の2つを独立して収録することで、視聴位置を限定しないインタラクティブ性のある高臨場感オーディオが実現可能になる」と説明し、続く松井氏にマイクを譲った。
同じくNHK技研に所属する松井健太郎氏は、“オブジェクト指向”という概念を用いた、PCによるサラウンドシステム「PC-VRAS(バーチャル・リアリティ・オーディオ・システム)」を紹介。本システムでは「音源」「音場」「ミキサー」などがそれぞれ属性を持ったオブジェクトとして定義され、それらオブジェクト間の情報を処理することで高度なサラウンドをPC上で再現するというもの。デモンストレーションでは、NHKのホールの仮想空間を3D CGで再現し、その中を自由に移動。移動した場所に応じ、演奏の聞こえ方が変わる様子が5.1chで体験できた。
第2部の題目は「ソフト制作の現場から」。サラウンド収録のソフトを手掛ける2人のプロフェッショナルが講演・デモをおこなった。
初めに講演を行ったのは(株)ミキサーズ・ラボ代表取締役社長の内沼映二氏。11月に発売した、音楽音のみを使ったオーディオチェックディスクの制作に関する説明を行った。同氏が手掛けたDVDオーディオのチェックディスク「CHECKING DVD BY MUSIC」は、機械的な信号音を全く使わずに制作された。5,6年前からサラウンド録音の仕事が増え始めたが、モニターシステム調節に時間がかかることや、信号音を聞き続けることが辛かったこともあり、本ソフトの制作を思いついたという。また、CDの登場とともに忘れられつつある「趣味としてのオーディオ」を改めて楽しんで欲しいとの願いも本ソフトには込められているという。67人の大編成のオーケストラをパートごとに録音・ミックスした本ソフトのデモンストレーションは、多くの来場者の関心を集めていた。
最後に登壇したのは(有)エヌ・アンド・エフの福井末憲氏。“録音家”として活躍する同氏は、ナチュラルなサラウンドにこだわった独自の録音技術「SF-NSSFMS(ネイチャー・サラウンド・サウンド・フィールド・マイクロフォン・システム)」を紹介。フロントLRをメイン・サウンド・ステージ、センターとリアLRをサラウンド・サウンド・フィールドと定義づけた独自の考え方は、5.1chのITU-Rの設置と一致するものであると説明し、これに最適な録音方法が「SF-NSSFMS」であるとした。3mのバーに6つのマイクを取り付けて収音するこの方法は、ステレオLRとリアの音の繋がりを最も自然に再現できると説明。デモンストレーションでは同氏が録音を手掛けたSACDマルチのソフトを体験することができた。
(Phile-web編集部)