TI、圧縮音声高音質化技術やバーチャルサラウンド技術など発表
日本テキサスインスツルメンツ(日本TI)は、小口径スピーカーの音質や圧縮音声ファイルの音質を向上する2種類のアルゴリズムと、2スピーカーでバーチャルサラウンドを創出するアルゴリズムを開発。本日同社にて記者発表会を開催した。
発表した新技術は以下の3つ。
■低音域拡張技術
AV機器の薄型・小型化によるスピーカーの小型化で、低音再生能力が低下しているという現状を背景に開発された低音域の拡張技術。音響心理学で知られる“Missing Fundamental”という現象を利用した技術で、実際には再生されていない音を、その倍音を鳴らすことで聞こえているように錯覚させるというもの。本技術は、この倍音を発生させる「倍音発生器」が特長で、特許も取得しているという。
本技術によって拡張された低音は、実際の低周波として出力されてはいないので、集合住宅などで近隣にあたえる振動騒音も回避できるという。またTI製のDSPに最適化することで、高精度かつ低演算量を実現している。
発表会で行われたデモンストレーションでは、同技術により低音を拡張した音声を液晶テレビのスピーカーから再生。量感の増した低音をはっきりと確認することができた。
■バンド幅拡張技術
MP3やWMAに代表される圧縮音声の高音域を原音に近い形まで補完する技術。圧縮音声は人間には聞こえづらい高音域をカットする傾向にあるが、この高音域を創り出し付加することで、原音のクリアな音声を再現する。
本技術は、カットされた音域を検出しその部分を創出した音声で補う。自然界で高域は倍音から成っていることから、本技術では中音域の倍音成分を複製し高音域を創出。これを滑らかに繋げることで、高域補完を実現する。
圧縮音声ファイルはカットオフ周波数が1曲の中で動くものもあるが、本技術ではこのカットオフ周波数をリアルタイムで追従するのが特長。常に適切な処理を行うように設計されている。また本技術はビットレートなどに依存しないため、テレビやラジオなどの圧縮音声以外の音声にも効果を発揮する。
■バーチャルサラウンド技術
・バーチャルスピーカー技術
2本のスピーカーでマルチチャンネルサラウンドを実現するための新技術。従来のバーチャルスピーカー技術と同様に、右の音は右耳に、左の音は左耳にだけ届けるような音の打ち消し処理を行う技術だが、フィルタ設計に独自性を持たせた「周波数領域クロストーク相殺フィルタ設計法」を採用し、相殺すべき音声のみを相殺するのが特長だ。また、逆フィルタによるダイナミックレンジの低下を防ぐ「電力相補フィルタ」の採用も特長の一つ。
・バーチャルヘッドホン技術
ヘッドホンで臨場感のあるサラウンド再生を実現する技術。今回、仮想の聴取環境における音波反射パターンのシミュレーションを可能にする独自の「ルームモデル」を開発。任意のバーチャルスピーカー配置に対して、「ルームモデル」は動的にフィルタ係数を生成するのが特長だ。
なお、今回の新アルゴリズムを開発したのは同社「筑波テクノロジーセンター(TTC)」。同センターは1991年に開設された「筑波R&Dセンター」が2000年にプロダクト・デザイン・グループを統合し活動を開始した機関で、アメリカ以外に初めてつくられたTIの研究・開発機関だ。
(Phile-web編集部)
発表した新技術は以下の3つ。
■低音域拡張技術
AV機器の薄型・小型化によるスピーカーの小型化で、低音再生能力が低下しているという現状を背景に開発された低音域の拡張技術。音響心理学で知られる“Missing Fundamental”という現象を利用した技術で、実際には再生されていない音を、その倍音を鳴らすことで聞こえているように錯覚させるというもの。本技術は、この倍音を発生させる「倍音発生器」が特長で、特許も取得しているという。
本技術によって拡張された低音は、実際の低周波として出力されてはいないので、集合住宅などで近隣にあたえる振動騒音も回避できるという。またTI製のDSPに最適化することで、高精度かつ低演算量を実現している。
発表会で行われたデモンストレーションでは、同技術により低音を拡張した音声を液晶テレビのスピーカーから再生。量感の増した低音をはっきりと確認することができた。
■バンド幅拡張技術
MP3やWMAに代表される圧縮音声の高音域を原音に近い形まで補完する技術。圧縮音声は人間には聞こえづらい高音域をカットする傾向にあるが、この高音域を創り出し付加することで、原音のクリアな音声を再現する。
本技術は、カットされた音域を検出しその部分を創出した音声で補う。自然界で高域は倍音から成っていることから、本技術では中音域の倍音成分を複製し高音域を創出。これを滑らかに繋げることで、高域補完を実現する。
圧縮音声ファイルはカットオフ周波数が1曲の中で動くものもあるが、本技術ではこのカットオフ周波数をリアルタイムで追従するのが特長。常に適切な処理を行うように設計されている。また本技術はビットレートなどに依存しないため、テレビやラジオなどの圧縮音声以外の音声にも効果を発揮する。
■バーチャルサラウンド技術
・バーチャルスピーカー技術
2本のスピーカーでマルチチャンネルサラウンドを実現するための新技術。従来のバーチャルスピーカー技術と同様に、右の音は右耳に、左の音は左耳にだけ届けるような音の打ち消し処理を行う技術だが、フィルタ設計に独自性を持たせた「周波数領域クロストーク相殺フィルタ設計法」を採用し、相殺すべき音声のみを相殺するのが特長だ。また、逆フィルタによるダイナミックレンジの低下を防ぐ「電力相補フィルタ」の採用も特長の一つ。
・バーチャルヘッドホン技術
ヘッドホンで臨場感のあるサラウンド再生を実現する技術。今回、仮想の聴取環境における音波反射パターンのシミュレーションを可能にする独自の「ルームモデル」を開発。任意のバーチャルスピーカー配置に対して、「ルームモデル」は動的にフィルタ係数を生成するのが特長だ。
なお、今回の新アルゴリズムを開発したのは同社「筑波テクノロジーセンター(TTC)」。同センターは1991年に開設された「筑波R&Dセンター」が2000年にプロダクト・デザイン・グループを統合し活動を開始した機関で、アメリカ以外に初めてつくられたTIの研究・開発機関だ。
(Phile-web編集部)