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25年間の家族の軌跡を追うドキュメンタリー「ありがとう」完成

公開日 2006/04/19 20:16
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映画「ありがとう」より 初詣をする奈緒ちゃん一家

著書「カントクのつぶやき」を手にする伊勢真一監督 2006・4・14 東京の試写会会場にて
横浜市いずみ区に住む、ある一家の姿を25年間よりそって記録した映画「ありがとう」が完成した。

てんかんと知的障害があり、長くは生きられないといわれた長女の奈緒ちゃんは32歳となり、2005年に自立を目指し家を離れ独立することになった。

映画は、奈緒ちゃんを温かく厳しく育んできたお母さんや、停年を目前に、これからの生き方を考えるお父さん、奈緒ちゃんの弟、そして、奈緒ちゃんを囲む地域の人たちの姿を、家族の傍らにたたずむようにして記録した。

「奈緒は私たちが育てたのではなく、地域の人々に育てられ成長した子どもです」というお母さんが、どんな心配りをしてきたか、子どもたちの自立後、互いに自分の人生にむきあう夫婦それぞれの心境、そろそろと社会に脚を踏み入れて自立し始める子どもたち。

どのような家族にもドラマがあり、年月を経て家族がどのように自立し、支えあっていくのかという問いがある。この家族の姿は、見る人それぞれ、どこか自分のこととして感じられるだろう。

すでに奈緒ちゃんの少女時代を描いた「奈緒ちゃん」を95年に、地域作業所を舞台にした映画「ぴぐれっと」を2002年に完成させている伊勢監督は、「もっと厳しい現実があるなどのご意見もあるけれど、この映画を25年間撮影し続けることができたのは、奈緒ちゃんと家族の皆さんのおかげ。できればこれからもずっと撮影していきたい。」という。

この映画の上映は、じわじわと全国で上映が広がっていた前作同様に自主上映グループや地域での上映を積極的にすすめている。人と人との関係を映画が道具になって作り続けていく。そんなタイプの映画製作と上映のスタイルが、全国で広がっているようだ。

2006.5.15(月)横浜市泉区泉公会堂、6.9(金)仙台市福祉プラザふれあいホール、6.10(土)岩手県・花巻市大沢温泉、6.11(日)花巻市IASブドリ舎、6.16(金)下北沢・北沢タウンホール、7.14(金)相模大野・グリーンホール相模大野、7.16(日)小岩・小岩コミュニティホール など各地で監督のトークつきの上映があるほか、東京では今年夏、ポレポレ東中野での上映が決定している。

映画、上映会の詳細については下記を参照。
http://www2.odn.ne.jp/ise-film/

(取材・文:山之内優子) 

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