LED光源でカラーホイールが不要に − 日本TIが今後のDLP戦略を語る
別項でお伝えしたとおり、日本テキサス・インスツルメンツ(株)は本日、DLPチップの新製品「.65WXGA DarkChip3」を発表した。
ここでは、記者懇談会で明らかになった、DLPの今後の戦略についてご紹介していこう。
同社DLP事業部長のピーター・ヴァンケッセル氏は、DLPの現状について、「過去10年で1,000万台以上のDLPシステムを出荷してきた。搭載機種は350以上、ブランドは75以上に及ぶ。500g以下の製品から業務用のDLPシネマまで、幅広い製品に搭載されていることが特徴だ」と説明した。
またヴァンケッセル氏は、DLPがこれまで多くの支持を受けた理由について、「画質の高さ、ポータビリティーの高さ、経年劣化の少ない画質の安定性」を挙げ、これらの特徴が、DLP採用メーカーのブランド認知を高めていると分析した。
フロント・プロジェクター事業については、「2006年に500万台の市場が、2009年には1,000万台になると予測している。成長率は25%程度で堅調に推移するだろう。新たなカテゴリーとして、インスタントシアターやポケット・プロジェクター、ビデオゲームなどの需要が増えると考えている」とした。
ポケット・プロジェクターという新たな概念について補足すると、携帯ゲーム機やデジカメ、携帯電話など、大型画面の搭載が困難な機器向けに、LEDを光源に用いた超小型のプロジェクターを用意するというイメージのようだ。今年中にサムスン、三菱電機、東芝がそれぞれLED光源のDLPプロジェクターを投入するとのこと。同社では、今年はほぼゼロに等しいポケットプロジェクターの市場規模が、2010年には140万台を超すと予測している。
またヴァンケッセル氏は、日本のフロントプロジェクター市場について「年間25万ユニット程度と、規模としてはまだ小さい」としながらも、「日本は世界中にプロジェクターを供給しているメーカーが集積しており、非常に影響力がある。日本市場で堅実にシェアを伸ばすため、BrilliantColorやDarkChip3といった新しいテクノロジーを投入するとともに、メーカーの日本市場でのマーケティング活動を支援していく」と述べ、引き続き積極的に日本市場に取り組む考えを示した。
DLPリアプロジェクションテレビに関しては、ヴァンケッセル氏は「正直に言って、日本では存在感があまりあるとは言えない」としながらも、「北米や欧州では40インチ以上のテレビのリーダー的な存在で、成長率も20%と堅調に推移している」と海外での好調ぶりをアピール。サムスンや三菱、東芝、松下、RCA、LG、HPなどが製品を販売しており、2005年には125機種が市場に投入されたが、今年はさらに機種数が増えるという。他方式に対するアドバンテージとして、ヴァンケッセル氏は「1080pのDLPチップを量産している」ことを挙げ、「次世代光ディスクなどのフルHDコンテンツをそのまま表示できる点をアピールしていく」と戦略を述べた。
映画館向けのDLP Cinema事業については、「既に1,200以上のスクリーンに導入されており、数年内に15,000スクリーンに導入される宇予定。これは驚異的な伸びといっていい」と事業の好調さをアピール。また、DLP Cinemaの特徴として「現在、2,500万人以上の映画ファンがDLP Cinemaを鑑賞しているが、その方々が電気店で同じ方式のDLPプロジェクターやDLP TVを購入することができる。映画館と同じ感動を家庭でも味わえることになる」ことを挙げた。
デジタルシネマの映像規格は、アメリカの7大メジャースタジオが設立した業界団体DCIが策定している。解像度4,096×2,160画素の「4K」規格や2,048×1,080画素の「2K」規格などがあるが、現在のところ、4Kを1台で投影できるのは、ソニーのSXRDプロジェクター「SRX-R110」(関連ニュース)のみ。
これについてヴァンケッセル氏は、「これまで数々の映画館に導入してきた実績からも、2Kでほとんどの映画館の要求を満たすことができる。今のところ、どうしても4Kまで持って行かなければならないという差し迫った要求はない。ただし、技術的に4KのDLPチップを作ることは可能で、必要が生じたら検討したい」とした。
ワンチップDLPではカラーホイールを回転させることで色を表現させるため、見る者によってはカラーブレーキングノイズが気になることがあるが、これについては、同社DLP事業部 技術統括部 部長の大原一浩氏が、解決のための方法を2つ紹介。1つは3チップのDLPを使うもので、これは既にマランツ「VP-10S1」(関連ニュース)などが実現している。
もう1つの方法は、光源にLEDを用い、超高速でRGBの光をスイッチングさせるというもの。カラーホイールの48倍のシークエンススピードとなるため、カラーブレーキングノイズを視認することはできなくなる。実際に、サムスンがLED光源を使ったDLP TVを発売する予定があるという。
(Phile-web編集部)
ここでは、記者懇談会で明らかになった、DLPの今後の戦略についてご紹介していこう。
同社DLP事業部長のピーター・ヴァンケッセル氏は、DLPの現状について、「過去10年で1,000万台以上のDLPシステムを出荷してきた。搭載機種は350以上、ブランドは75以上に及ぶ。500g以下の製品から業務用のDLPシネマまで、幅広い製品に搭載されていることが特徴だ」と説明した。
またヴァンケッセル氏は、DLPがこれまで多くの支持を受けた理由について、「画質の高さ、ポータビリティーの高さ、経年劣化の少ない画質の安定性」を挙げ、これらの特徴が、DLP採用メーカーのブランド認知を高めていると分析した。
フロント・プロジェクター事業については、「2006年に500万台の市場が、2009年には1,000万台になると予測している。成長率は25%程度で堅調に推移するだろう。新たなカテゴリーとして、インスタントシアターやポケット・プロジェクター、ビデオゲームなどの需要が増えると考えている」とした。
ポケット・プロジェクターという新たな概念について補足すると、携帯ゲーム機やデジカメ、携帯電話など、大型画面の搭載が困難な機器向けに、LEDを光源に用いた超小型のプロジェクターを用意するというイメージのようだ。今年中にサムスン、三菱電機、東芝がそれぞれLED光源のDLPプロジェクターを投入するとのこと。同社では、今年はほぼゼロに等しいポケットプロジェクターの市場規模が、2010年には140万台を超すと予測している。
またヴァンケッセル氏は、日本のフロントプロジェクター市場について「年間25万ユニット程度と、規模としてはまだ小さい」としながらも、「日本は世界中にプロジェクターを供給しているメーカーが集積しており、非常に影響力がある。日本市場で堅実にシェアを伸ばすため、BrilliantColorやDarkChip3といった新しいテクノロジーを投入するとともに、メーカーの日本市場でのマーケティング活動を支援していく」と述べ、引き続き積極的に日本市場に取り組む考えを示した。
DLPリアプロジェクションテレビに関しては、ヴァンケッセル氏は「正直に言って、日本では存在感があまりあるとは言えない」としながらも、「北米や欧州では40インチ以上のテレビのリーダー的な存在で、成長率も20%と堅調に推移している」と海外での好調ぶりをアピール。サムスンや三菱、東芝、松下、RCA、LG、HPなどが製品を販売しており、2005年には125機種が市場に投入されたが、今年はさらに機種数が増えるという。他方式に対するアドバンテージとして、ヴァンケッセル氏は「1080pのDLPチップを量産している」ことを挙げ、「次世代光ディスクなどのフルHDコンテンツをそのまま表示できる点をアピールしていく」と戦略を述べた。
映画館向けのDLP Cinema事業については、「既に1,200以上のスクリーンに導入されており、数年内に15,000スクリーンに導入される宇予定。これは驚異的な伸びといっていい」と事業の好調さをアピール。また、DLP Cinemaの特徴として「現在、2,500万人以上の映画ファンがDLP Cinemaを鑑賞しているが、その方々が電気店で同じ方式のDLPプロジェクターやDLP TVを購入することができる。映画館と同じ感動を家庭でも味わえることになる」ことを挙げた。
デジタルシネマの映像規格は、アメリカの7大メジャースタジオが設立した業界団体DCIが策定している。解像度4,096×2,160画素の「4K」規格や2,048×1,080画素の「2K」規格などがあるが、現在のところ、4Kを1台で投影できるのは、ソニーのSXRDプロジェクター「SRX-R110」(関連ニュース)のみ。
これについてヴァンケッセル氏は、「これまで数々の映画館に導入してきた実績からも、2Kでほとんどの映画館の要求を満たすことができる。今のところ、どうしても4Kまで持って行かなければならないという差し迫った要求はない。ただし、技術的に4KのDLPチップを作ることは可能で、必要が生じたら検討したい」とした。
ワンチップDLPではカラーホイールを回転させることで色を表現させるため、見る者によってはカラーブレーキングノイズが気になることがあるが、これについては、同社DLP事業部 技術統括部 部長の大原一浩氏が、解決のための方法を2つ紹介。1つは3チップのDLPを使うもので、これは既にマランツ「VP-10S1」(関連ニュース)などが実現している。
もう1つの方法は、光源にLEDを用い、超高速でRGBの光をスイッチングさせるというもの。カラーホイールの48倍のシークエンススピードとなるため、カラーブレーキングノイズを視認することはできなくなる。実際に、サムスンがLED光源を使ったDLP TVを発売する予定があるという。
(Phile-web編集部)