ハイブリッドカメラ「DZ-HS303」を増田和夫が試す<3> ハンドリングレポート
●質感が高くホールドしやすいボディ
今回は使用したインプレッションを書いてみよう。まずデザインからチェック。機能は先端的だが、外見はオーソドックスで、ファミリー向けDVカメラのスタイルを踏襲している。これはDVDカムと同じポリシーで、親しみやすさで普及を図るデザイン戦略といえるだろう。メタル調の外装は、前モデルよりもメタリック度が増して高級感がある。限定色のメタリックブルーも深みがあって質感が高い。
前回述べたように、実際に手にしてみると、むしろ持ちやすくなった印象だ。背面の録画ボタンで撮って、上面レバーでズーム、という操作も横型DVカメラを踏襲している。これなら、今までと同じ要領で違和感なく使えるだろう。
●HDDにフットワーク良く撮影
レンズの画角は35mm換算52.7mm〜520mm(動画時)と望遠寄りになっているが、光学10倍/デジタル最大240倍のズーム撮影が可能で、約305万画素のJPEG静止画もSDメモリーカードに撮影可能だ。記録先であるHDD/DVD/SDカードの切り替えは背面にあるモードダイアルで行う。本機では、JPEG静止画記録はSDカードのみになり、HDDとDVDは動画記録専用になった。カメラでDVDに記録されたJPEG静止画とスライドショーは、プレーヤーやレコーダーで再生&ダビングできない場合があるため、本機のように、HDDとDVDを動画専用と割り切ったほうが、むしろ使いやすいだろう。
モードダイアルで記録メディアを選べば、従来のDVDカムと同じ感覚で撮影が可能だ。起動時やメディアを変更する毎に数秒のタイムラグが出るが、HDD起動は約4秒とDVDより高速に立ち上がり、撮影チャンスを逃さない。スタンバイ状態から約1秒で起動できる「秒撮」モードを継承しているが、HDDで撮れば秒撮モードがオフでもフットワーク良く撮影できるだろう。画質モードは最高画質のXTRA(HDD約110分以上撮影)・FINE(HDD約180分)・STD(HDD約360分)が選べ、XTRAでもHDDなら長時間撮影が可能だ。バッテリーの持ちも良好で、特にHDD撮影はDVDより省電力になり、テストでは標準バッテリーで連続約124分/114分(ビューファインダーのみ/液晶ディスプレイのみ)の撮影ができた。
本機では、まずHDDに撮って、好きなシーンをDVDにダビングする、という使いこなしが勧められる。今までのDVDカムでは、DVDディスクの予備はあるか、残量はあるか、というように、常にDVDメディアを意識する必要があったが、HDD撮影では、そうした煩わしさから解放されるのが嬉しい。気をつけたい点としては、HDDに撮る際に、撮影モードやアスペクト比を混在すると、DVD-Rなどのビデオモードメディアに一括ダビングできないので、最初にモードを決めてHDDに撮ると良いだろう(混在した場合はシーン選択ダビングが可能)。
●簡単&高度なダビング機能
HDDに撮影した動画をDVDにダビングしてみよう。確実にダビングするため、ACアダプターを接続する必要があるが、ダビング操作はとても簡単だ。撮影したシーンを「まるごとダビング」したい場合は、カメラにDVDを入れて「ダビング」ボタンを押すだけ、というシンプルさだ。ダビングすると、DVD-RなどビデオモードメディアにはサムネイルつきのDVDメニューが自動で付く。まるごとダビングが終わるとHDDのタイトルを消すか否かが選択できるしくみだ。
このほか再生リストからシーン(チャプター)を「えらんでダビング」もできる。撮影は日付毎にタイトル分けされ、日付内の各シーンは自動的にチャプター分けされる。手動でチャプターマークの打ち込みはできないが、シーン分割がチャプターマーク打ち込みになり、シーン結合がチャプターマークの削除になる。
さらにプレイリスト編集にも対応し、カット&アッセンブル編集したプレイリストをDVDにダビング可能だ。付属リモコンは撮影操作が主体になるが、十字キーでGUIを操作できるので編集もこなせる。編集精度はGOP(15フレーム)単位になるが、カメラ単体でここまでできれば十分だろう。
PCとの連携も従来のDVDカムと同じ要領でできる。本機をPCにUSB接続すると、本機の内蔵HDDはDVD-ROM(読み出し専用)ドライブとして認識される。本機のDVDドライブは記録可能なマルチDVDドライブとして認識されるしくみ。同梱ソフト「ImageMixer3」などを使って、動画編集や12cmDVDへのオーサリングなどが可能だ。
カメラがハイブリッド化することで、より便利になり、新しい使い方ができることが実感できた。カメラの記録メディアは今後も大きく進化していくと予想されるが、今すぐ便利に使えるという点で、ハイブリッドカムは実用性の高い撮影ツールといえるだろう。
(増田和夫)
バックナンバー
・第1回:「カメラ革命」は本当か
・第2回:ハードウェア構造をチェック
増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。
今回は使用したインプレッションを書いてみよう。まずデザインからチェック。機能は先端的だが、外見はオーソドックスで、ファミリー向けDVカメラのスタイルを踏襲している。これはDVDカムと同じポリシーで、親しみやすさで普及を図るデザイン戦略といえるだろう。メタル調の外装は、前モデルよりもメタリック度が増して高級感がある。限定色のメタリックブルーも深みがあって質感が高い。
前回述べたように、実際に手にしてみると、むしろ持ちやすくなった印象だ。背面の録画ボタンで撮って、上面レバーでズーム、という操作も横型DVカメラを踏襲している。これなら、今までと同じ要領で違和感なく使えるだろう。
●HDDにフットワーク良く撮影
レンズの画角は35mm換算52.7mm〜520mm(動画時)と望遠寄りになっているが、光学10倍/デジタル最大240倍のズーム撮影が可能で、約305万画素のJPEG静止画もSDメモリーカードに撮影可能だ。記録先であるHDD/DVD/SDカードの切り替えは背面にあるモードダイアルで行う。本機では、JPEG静止画記録はSDカードのみになり、HDDとDVDは動画記録専用になった。カメラでDVDに記録されたJPEG静止画とスライドショーは、プレーヤーやレコーダーで再生&ダビングできない場合があるため、本機のように、HDDとDVDを動画専用と割り切ったほうが、むしろ使いやすいだろう。
モードダイアルで記録メディアを選べば、従来のDVDカムと同じ感覚で撮影が可能だ。起動時やメディアを変更する毎に数秒のタイムラグが出るが、HDD起動は約4秒とDVDより高速に立ち上がり、撮影チャンスを逃さない。スタンバイ状態から約1秒で起動できる「秒撮」モードを継承しているが、HDDで撮れば秒撮モードがオフでもフットワーク良く撮影できるだろう。画質モードは最高画質のXTRA(HDD約110分以上撮影)・FINE(HDD約180分)・STD(HDD約360分)が選べ、XTRAでもHDDなら長時間撮影が可能だ。バッテリーの持ちも良好で、特にHDD撮影はDVDより省電力になり、テストでは標準バッテリーで連続約124分/114分(ビューファインダーのみ/液晶ディスプレイのみ)の撮影ができた。
本機では、まずHDDに撮って、好きなシーンをDVDにダビングする、という使いこなしが勧められる。今までのDVDカムでは、DVDディスクの予備はあるか、残量はあるか、というように、常にDVDメディアを意識する必要があったが、HDD撮影では、そうした煩わしさから解放されるのが嬉しい。気をつけたい点としては、HDDに撮る際に、撮影モードやアスペクト比を混在すると、DVD-Rなどのビデオモードメディアに一括ダビングできないので、最初にモードを決めてHDDに撮ると良いだろう(混在した場合はシーン選択ダビングが可能)。
●簡単&高度なダビング機能
HDDに撮影した動画をDVDにダビングしてみよう。確実にダビングするため、ACアダプターを接続する必要があるが、ダビング操作はとても簡単だ。撮影したシーンを「まるごとダビング」したい場合は、カメラにDVDを入れて「ダビング」ボタンを押すだけ、というシンプルさだ。ダビングすると、DVD-RなどビデオモードメディアにはサムネイルつきのDVDメニューが自動で付く。まるごとダビングが終わるとHDDのタイトルを消すか否かが選択できるしくみだ。
このほか再生リストからシーン(チャプター)を「えらんでダビング」もできる。撮影は日付毎にタイトル分けされ、日付内の各シーンは自動的にチャプター分けされる。手動でチャプターマークの打ち込みはできないが、シーン分割がチャプターマーク打ち込みになり、シーン結合がチャプターマークの削除になる。
さらにプレイリスト編集にも対応し、カット&アッセンブル編集したプレイリストをDVDにダビング可能だ。付属リモコンは撮影操作が主体になるが、十字キーでGUIを操作できるので編集もこなせる。編集精度はGOP(15フレーム)単位になるが、カメラ単体でここまでできれば十分だろう。
PCとの連携も従来のDVDカムと同じ要領でできる。本機をPCにUSB接続すると、本機の内蔵HDDはDVD-ROM(読み出し専用)ドライブとして認識される。本機のDVDドライブは記録可能なマルチDVDドライブとして認識されるしくみ。同梱ソフト「ImageMixer3」などを使って、動画編集や12cmDVDへのオーサリングなどが可能だ。
カメラがハイブリッド化することで、より便利になり、新しい使い方ができることが実感できた。カメラの記録メディアは今後も大きく進化していくと予想されるが、今すぐ便利に使えるという点で、ハイブリッドカムは実用性の高い撮影ツールといえるだろう。
(増田和夫)
バックナンバー
・第1回:「カメラ革命」は本当か
・第2回:ハードウェア構造をチェック
増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。