シャープ、業界初の32V型フルHD液晶テレビを発売

シャープは、業界初の32V型フルHD液晶テレビ“AQUOS”2機種を12月22日より発売する。

発売するのは、アンダースピーカータイプの「LC-32GS10」とサイドスピーカータイプの「LC-32GS20」の2機種で、価格はオープンだが、いずれも28万円前後での販売が予想される。

フルHD解像度の液晶テレビは、これまで37V型のモデルが最小だった。両機は業界で初めて、32V型でフルHD解像度を実現した。同社では、「3H（画面高さの3倍）である1.2mの視聴距離で見ても画面の粗さが気にならない」としている。なお、AQUOSシリーズでは、32V型から65V型までフルHDモデルがラインナップされたことになる。

液晶パネルは新開発の「ブラックASV液晶パネル」で、亀山第2工場で生産したもの。コントラスト比は2,000対1と、同社従来パネル比で約67％向上し、ハイビジョン液晶テレビとして世界最高の数値を実現した。また、室内照度が200ルクスの時のコントラスト比「リビングコントラスト」は900対1。

視野角は上下左右176度。「マルチ画素技術」を採用し、1ドットを2つのセルに分割して、セル単位で階調表現をコントロールすることで、人肌などの中間色も画面の色調変化や白浮きを起こさないよう工夫している。

パネルの動画応答速度は6msecで、これまでの同社製32V型液晶テレビ「LC-32GH1/2」などと同様。また、赤・緑・青のほかに深紅を加えた4波長バックライトも旧モデルから踏襲している。

内蔵チューナーは地上アナログ、地上/BS/110度CSデジタル。デジタルチューナーは1基のみで、デジタル放送の2画面表示などは行えない。

音声面では、AQUOSの特徴である1ビットデジタルアンプを引き続き採用。ただし、1ビットデジタルアンプには、5.6MHzでサンプリングする、AQUOS用に新規開発した1チップΔΣ変調LSIを搭載。サンプリング周波数を従来機種に比べ約2倍に高めたことで、さらなる高音質化を実現した。

スピーカーネットは高開口率な金属素材を採用。ユニットはバスレフ式で、2ウェイ6スピーカーとなっている。

HDMI入力端子は2系統で、1080p映像の入力に対応。「AQUOSファミリンク」にも対応しており、同機能を搭載した同社製のレコーダーやサラウンドシステムと接続することで、機器間の連携操作などが可能になる。リモコンもAQUOSファミリンク対応で、1つのリモコンだけでレコーダーやサラウンドシステムの操作が行える。

映像入力端子はほかに、ビデオ4、Sビデオ2、D4端子2、DVI-I端子1を装備。またi.Link（TS）端子も備え、レコーダーやビデオカメラと接続することができる。

年間消費電力量は両機種とも155kWh/年で、2008年の省エネ基準をクリア。なお、「LC-32GH1/2」の年間消費電力は147kWh/年だったので、消費電力の増加は僅かに抑えられている。

＜編集部の視点＞
大型モデルからはじまったフルHD化の波が、いよいよ32V型モデルにも押し寄せてきた。従来から同社は「技術的には32型以下でもフルHD化は可能」と説明し、需要があるかどうか見極めながら開発を進める考えを繰り返し表明してきた。今年の年末商戦では、薄型テレビの価格が大幅に下落したことから、メーカー各社はより単価の高い40V型以上の拡販に力を入れている。また、37V型と32V型の価格帯が以前より大幅に接近しており、32V型の存在意義が薄れていた感もある。今回の発売は、同社が32V型モデルに新たな付加価値を与えるという意志の表明と捉えることもできる。

ただし、一部には「32V型というサイズにフルHDは必要ない」という意見があることも事実。適正な視聴距離で見た場合、WXGAクラスとの差が判別できないというのがその理由だ。果たして32V型のフルHD液晶テレビは受け入れられるのか、市場の反応を注意深く見守りたい。

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（Phile-web編集部）