ギャオプラスを鈴木桂水氏が体験! − テレビで楽しむ無料ブロードバンド放送の魅力に迫る
ギャオプラスのサービスを楽しむためには、CATVチューナーのような専用端末を購入するだけで、本機をテレビなどに接続して、GyaOのコンテンツが視聴できるようになる。もちろんGyaOの放送コンテンツは全て無料なので、ギャオプラス専用テレビ接続PC(以下:テレビ接続PC)を購入すれば以後の利用料金は発生しない。今まで、パソコンの前でしか楽しめなかったGyaOのコンテンツがテレビで楽しめるという点だけでなく、ブロードバンドで楽しむ動画コンテンツが、リビングもいっそう楽しみやすくなったという点で興味深いサービスだ。今回はギャオプラスついて(株)USENへインタビューを行い、詳しい内容について訊ねることにした。
■“ギャオプラス”の魅力って何ですか? − USEN訪問インタビュー
━━はじめに“ギャオプラス”のシステムについて、概要を教えてください。
岡根氏:“ギャオプラス”はインターネットで配信している「GyaO」の動画を、テレビで楽しむための端末です。実測4Mbps以上で通信できるADSL、もしくは光回線などのブロードバンドに接続して利用します。テレビとはアナログのD端子/S端子/コンポジット端子で接続できます。HDMI端子も備えていますが、現時点での動画解像度は480iとなっています。
━━解像度と配信のビットレートはいかがでしょうか。
林氏:720×480iなのでアナログ地上波程度の画質です。ビットレートは最大で768kbps(VBR)です。将来はファームウェアのアップデートにより720pでの配信も考えていますが、その場合は光回線の使用など、サービスを提供するためのインフラを選択する必要があるかと思います。
岡根氏:GyaOの利用者は2006年6月に1,000万人を突破しています。それ以降も順調に伸びていますが、さらに利用者の裾野を広げるためにテレビ接続専用のテレビ接続PCを開発しました。
林氏:サポートセンターに寄せられた「テレビでもGyaOを見たい」というユーザーの皆様からの声にも後押されました。映画など長時間の作品はパソコンの前に座って楽しむよりも、リビングのソファーでゆったりと見たいという意見を多くいただきました。GyaOは著作権保護の技術として、マイクロソフトのDRMを採用しています。そのためMacintoshユーザーが利用できませんでしたが、ギャオプラスなら専用端末を購入頂ければ、様々な方々にGyaOのコンテンツを楽しんでいただくことができます。
岡根氏:ギャオプラスの専用端末は、リモコンで簡単に操作ができますので、電子機器の操作が苦手な方々でも、テレビと同じ感覚で操作できるのも魅力だと感じています。
━━動画配信をしているサーバーはどれぐらいのアクセスに耐えられるのでしょうか。
岡根氏:現在は約1,000万人が同時にアクセスしてもスムーズにサービスが提供できる環境になっています。日曜の夜などにアクセスが集中しますが、障害は発生していません。
━━ギャオプラスの番組はどれくらいの数がありますか。
岡根氏:現在のところ、約3,000〜4,000本の番組を揃えています。
岡根氏:主に生放送やブログと連動した番組などが、PC用のGyaOのみで視聴できる番組です。一例を挙げると、GyaOジョッキー、歌ブログ、ショッピング、ゲーム、ランキングなどの番組はギャオプラスでは今のところ視聴できません。ですが、アニメ、映画、ドラマなど、PC版でも特に人気の高いコンテンツのほとんどが、ギャオプラスでも視聴できます。
━━GyaOの利用者層について教えていただけますか。
岡根氏:ギャオプラスについてはまだ今年の2月から始まったばかりのサービスなので、詳しいユーザーの情報は揃っていません。PC版のGyaOについては、パソコンからの利用については30代・40代の男性が多くいらっしゃいます。一方、モバイルでは女性の比率が増えます。ギャオプラスの登場により、さらに幅広くユーザーを獲得できるものと期待しています。
■ギャオプラスの専用端末を体験! − 画質チェック&実機ハンドリングレポート
操作性が良いというギャオプラスだが、実際はどうなのか、限られた時間だったが実機を操作した。必要な配線を済ませて初期設定を行えば視聴を開始できる。
接続が完了すれば後はトップメニューから見たいジャンル、番組などを選択して、お望みの番組を選べばいい。たしかに操作が複雑になりすぎたHDD&DVDレコーダーよりはずっと簡単に番組選びができる。これならマニュアルを見なくても操作できそうだ。
使っていて気になったのがトップページに表示されるランキングだ。“やっぱり”と言った感じでアダルト番組が上位を独占している。ただし子供がいる家庭なら視聴年齢制限を設定することで表示されなくなるので心配はいらない。
気になる画質はGyaOのオリジナルドラマ『マンハッタン ダイアリーズ』でテストした。テストには23型の液晶テレビを使用したが、思いのほか映像が美しかったことに驚いた。もともとフルHDで撮影されたコンテンツだけあって、動きの少ない場面では地上アナログ放送並の映像を楽しめる。ゴーストなどが発生しないことを考えれば、こちらの方が上とも言えるだろう。ただ雑踏や街並みなどにパン(寄る)をする映像ではノイズが出てしまった。全体的な画質の印象を例えるならHDD&DVDレコーダーで1枚のDVDに4時間記録できる長時間モードに近いと感じた。再生中は一時停止、早送り、早戻しなどの操作が可能。あたかもDVDを見ているように楽しめるが、パソコンでの表示と同じくCMはスキップできない。
■ブロードバンドの強みを活かした、ギャオプラスの魅力を実感
GyaOは懐かしのアニメや映画などからオリジナルのコンテンツまで充実したコンテンツを配信している。ネット配信の強みとして、ビデオレンタル店にも置いていないようなレアな映画や 海外ドラマが充実するのも見逃せない。ギャオプラスを使ってみて、それらのコンテンツを、パソコンからはなれ、リビングで満喫できるのは素晴らしいと感じた。
USEN広報担当者の説明によると、今後もオリジナルコンテンツの制作に力を入れると言うことなので、さらなるコンテンツの充実が期待できそうだ。またギャオプラスの機能をテレビ接続PCだけでなく、テレビ、ゲーム機に内蔵しても新たな利用シーンが見えてきそうだ。まずはどんなコンテンツが揃っているのか、パソコンでGyaOを利用してみてはいかがだろうか。もし、コンテンツにハマったらギャオプラス専用テレビ接続PCの購入を検討すれば良いだろう。
■取材・レポート 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経 BP社デジタルARENAにて「使って元取れ!ケースイのAV機器<極限>酷使生活」、徳間書店「GoodsPress」など、AV機器を使いこなすコラムを執筆中。