【日仏監督インタビュー/フランス編】 − レジス・ヴァルニエ監督
ホームシアターファイル誌でも取材した2007年フランス映画祭。映画祭で来日し、新作を上映したレジス・ヴァルニエ監督と、同映画祭で日本人監督としてフランス映画『不完全な二人』を上映した諏訪敦彦監督のインタビュー、ロングバージョンを数回に分けてお届けする。
― ヴァルニエ監督は、カトリーヌ・ドヌーヴが主演した『インドシナ』(1992年)や、エマニュエル・べアール主演の『フランスの女』(1995年)など、東西の現代史を背景にした壮大なドラマで日本の観客にもおなじみです。今回の『逃げろ、いつか戻れ』(邦題『サイン・オブ・デス』)では、原作のどこに興味を感じましたか?
ヴァルニエ:プロデューサーがこの原作の映画化の話を持ってきたんですが、これが刑事ものだったので、興味を持ちました。というのは私は、数年前から刑事ものがやってみたいと思って、自分で脚本を書いてみたのですが、あまりうまくいきませんでした。この原作はフレッド・ヴァルガスというフランスの人気女性作家が書いた刑事シリーズの1冊で、今も5作目が書かれ、ベストセラーになっています。このシリーズの刑事のキャラクターがよいと思い、また、現代のパリを撮りたいと思っていましたので、この小説の映画化に挑戦しました。
― 小説を映画化するために注意された点は?
ヴァルニエ:小説の映画化というのは難しいものです。今回のバルガスの小説も、言葉づかいなどが大変研究されているもので、これを映像化するには、言葉から映像におきかえることが必要でした。どこかの時点で言葉を頭から追い出して映像にしなければならないという難しさがあるんです。こういったものには3つの要素が不可欠で、それは、筋と役と雰囲気なんですが、今回、それは満足できたと思います。
そして、重要なシーンを撮る場合には、実際のシーンに必要な長さの演技をやってもらって、役者がエネルギーをその場面につぎ込むようにしました。そういう場合、何回かテイクをとっても、だんだん役者のエネルギーが低下してくので、結局最初のテイクが良いということがよくあります。
― キャスティングはご自身でされたのですか?
ヴァルニエ:ええ。主役の刑事を演じているジョゼ・ガルシアは、もともと喜劇の人で、TVのコメディやトークショーにでていたのです。
映画のコメディにでたのですが、彼自身が別の役をやりたいという時期でした。体型もかわってきて、いかにもドラマチックなものができるような内面を兼ね備えた年齢にもなってきました。
それに、コミックに出ていた役者というのはドラマチックな演技ができるものなのです。というのは、人を笑わせるということは、人を感動させたり泣かせたりということより
難しいことだからなんです。ですから、喜劇をできる役者は悲劇もできるのです。彼のシリアスな役者としての才能は、私が発見したというよりもともと才能があったということです。現在40歳で、素晴らしい味を出しています。
― 刑事の友人の役にルカ・ベルボーが出ていますが、彼は監督もしている人ですね。
ヴァルニエ:ルカ・ベルボーはとても早くから俳優のキャリアを始め、たぶん、16か17歳ぐらいで、クロード・シャブロルの2作品に出ました。しかしその後はあまり役がなく成功しない時期があって、その後、彼は自分の役を自分で書いて作ろうと思い、シナリオを書いて、監督もして俳優もするということをしました。彼は映画監督としても大変よい作品を作っていますし、才能があります。
5年前に彼は一度に3本の映画を撮ったんです。1本目は感情的なメロドラマ。もうひとつは刑事もの。もうひとつはコメディなんですが、その3つの中で出てくる役者がみな同じというものでした。それぞれは独立した映画ですが、それはすごく興味深いものでした。私はルカのことは大好きで、とてもよい俳優であると同時に素晴らしい人格です。
この映画の彼の役は、慎み深くおとなしい人柄ですが、実際の人柄もそのように慎み深い人なんです。
― そして広場で手紙を読み上げる不思議な個性の男にオリヴィエ・グルメが出演しています。彼はどんな役者でしょうか?
ヴァルニエ:オリヴィエ・グルメは、映画に出演している若手女優マリー・ジランやルカ・ベルボーと同じベルギー人で、彼らと同様にパリで暮らしています。グルメのことはダルデンヌ兄弟の映画に出ているのを見て、私は彼らを 発見しました。ダルデンヌ兄弟は、二度カンヌでパルムドールを受賞しているベルギーの監督ですね。グルメは役者として本当に素晴らしい人で、いくつもの映画で、ちがう役、ちがうタイプ、ちがう体ででてきます。今回の役はとても難しい役で、パリの小さな広場で、毎日、アナウンスのようなものを読み上げるというのは、現代のパリで考えるととても変なことなのですが、この変な役をやるために才能のある俳優が必要でした。ですから、私はこの役の俳優には、すぐにオリヴィエ・グルメを考えました。
― 実際にポンビドーセンターの前で、ああやってアナウンスを読み上げる人が今いるのですか?
ヴァルニエ:いないんです。小説の中のフィクションです。いかにも本当らしくするために、パントマイムの人やものまねをする芸術家など、あの変にいそうな芸術をやっている人たちを配置しました。
― この映画の中では、パリの古いところと新しいところが一緒になっていますね。
ヴァルニエ:今回の話を受けた時点で、現代のパリを撮りたいという希望がありました。パリは繊細な町であり、映画にも一番登場する町です。パリでは毎日なんらかの形での撮影が最低10カ所でおこなわれていますが、それらは決まりきったイメージ、ロンドンといえばビッグベン、ギリシアといえばアクアポリス、そしてパリというとエッフェル塔というあまりにも短絡的なイメージばかりです。それ以外のパリ、いつも動いている現代のパリを今回はとりたいと思いました。というのは、この話を伝統的なパリのイメージで撮ったのでは、話のリアリティがなくなるだろうと思ったのです。
私の挑戦としては、今までのとりかたではないパリがどうやって撮れるかで、文化遺産的なものはみなとっぱらってしまっています。つまりエッフェル塔も映さず、そういったものを中心にしないパリです。
― 現代をあらわすには、パリのどんな場所で撮影をしたのですか?
ヴァルニエ:撮影は実際に生きている現代のパリを背景にしたのです。そこで、まずパリの東側にミッテランが作ったパリの国立新図書館、そしてアダムスベルグのアパルトマンはパリの西側のセーヌに面したところでちょっと入ったところ、ここは70年代から80年代に建てられた建築が多いところです。そういう場所を使いました。パリな毎日、生きて動いている町で、日々、モダンになっていっています。そういう町としてのパリを撮れたのではと思います。今回の映画では伝染病におかされ、おののいているパリという条件でした。恐れ、心配、恐怖をどう表すか。映画では恐怖を描くというのは、夜、雨、きしむ音、影などで恐怖を表します。
ですからこそ、私は今回、恐怖の場所を昼間の場所、開けた場所でとっています。というのは、この恐怖はヴィールスという、まだ目に見えない、神秘化しないものによって起こっている、現代の恐怖なのです。
― 監督ご自身とのパリの町との関わりは?
ヴァルニエ:私は5歳からずっとパリに住んでいます。パリは地区によって建築様式にちがいがあり、様々な表情を持っています。今回の映画の中では、どこを見せたいというよりも、パリ全体として捉えています。というのはパリというのは、時代によって小さなパリから大きなパリにひろがっていって、パリそのものが現在にいたる歴史を持っています。
― 撮影の時期は?
ヴァルニエ:1年前の春の終わりから夏のはじめにかけて撮影しました。
― カーチェイスもありました。
ヴァルニエ:ええ、カーチェイスは初めての撮影で、技術的な難しさはあって、ストリーボードをきちんと作って、技術スタッフと打ち合わせをよくして望みました。楽しい経験でしたよ。
― 最後に、監督にとって、映画を作るというのはどういうことでしょうか?
ヴァルニエ:この映画では、今回私は映画の重要なジャンルという刑事ものに挑戦しました。ですからやりたかったんです。そして、これまでは歴史を通じて物語を語りましたが、今回は現代を語りたいと思ったのです。
より大きく映画というものを考えると、私が映画監督として映画を作ることは、私にとってまずとても単純に仕事で、それが天職だと思います。私はこの仕事に情熱をもって臨んでいます。そして仕事に情熱があると、私生活と職業生活をわけて考えられないということがあると思いますが、私にとっては、映画が人生そのものになっています。自分の人生を映画の中にすべて捧げているのです。
― 来日すぐのご多忙なスケジュールの中、ありがとうございました。
(2007年3月17日 東京赤坂にて インタビューと文:山之内優子)
レジス・ヴァルニエ
1948年生まれ。1992年『インドシナ』(カトリーヌ・ドヌーヴ主演)でアカデミー外国語映画賞。ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞。『悲しみのヴァイオリン』(1986年)、『フランスの女』(1995年)、『イースト/ウェスト 遥かなる祖国』(2000年)など、現代史を舞台にしたスケールの大きな大河小説のような映画づくりに定評がある。
【作品詳細】
『逃げろ、いつか戻れ』 Pars vite et reviens tard
邦題『サイン・オブ・デス』として、2008年1月9日DVD発売予定
http://www.albatros-film.com/title.phtml?route=&titleid=607
●解説
原作は、フランスの新潮流ミステリーの旗手フレッド・ヴァルガスの同名小説。考古学者で中世の専門家でもある小説家が、現代の都市を襲う感染症の恐怖を描きだし、フランスでベストセラーとなった。
歴史大河ロマンを得意とするヴァルニエ監督は、この原作をもとに、俳優にフランス随一の喜劇役者、ジョゼ・ガルシアなど映画界で活躍する個性派を揃え、監督自ら、「筋、役、雰囲気」の3拍子がそろったという見応えある壮大なサスペンス・ホラーを仕上げた。
●ストーリー
現代のパリ。広場ではその日に投函された手紙を読み上げる男が、不思議なメッセージを読み上げている。そして、パリのアバルトマンの扉にはあやしげな数字が残され、ペストを思わせる黒い死体が次々に発見されていく。パリ警察署の警視、アダムスベルグが捜査に乗り出す。あやしげな数字は中世のペスト除けの呪文であることが判明する…。
●スタッフ
監督/レジス・ヴァルニエ 製作/シリル・コルボー=ジュスタン、ジャン=バチスト・デュポン 脚本/ジュリアン・ラプノー、アリアーヌ・フェール、レジス・ヴァルニエ、ローランス・ショー、アリエット・マラン 撮影/ローラン・ダイヤン 原作者/フレッド・ヴァルガス 出演/ジョゼ・ガルシア、マリー・ジラン、ミシェル・セロー、オリヴィエ・グルメ、リュカ・ベルヴォー、リン・ダン・ファン、ニコラ・カザール
― ヴァルニエ監督は、カトリーヌ・ドヌーヴが主演した『インドシナ』(1992年)や、エマニュエル・べアール主演の『フランスの女』(1995年)など、東西の現代史を背景にした壮大なドラマで日本の観客にもおなじみです。今回の『逃げろ、いつか戻れ』(邦題『サイン・オブ・デス』)では、原作のどこに興味を感じましたか?
ヴァルニエ:プロデューサーがこの原作の映画化の話を持ってきたんですが、これが刑事ものだったので、興味を持ちました。というのは私は、数年前から刑事ものがやってみたいと思って、自分で脚本を書いてみたのですが、あまりうまくいきませんでした。この原作はフレッド・ヴァルガスというフランスの人気女性作家が書いた刑事シリーズの1冊で、今も5作目が書かれ、ベストセラーになっています。このシリーズの刑事のキャラクターがよいと思い、また、現代のパリを撮りたいと思っていましたので、この小説の映画化に挑戦しました。
― 小説を映画化するために注意された点は?
ヴァルニエ:小説の映画化というのは難しいものです。今回のバルガスの小説も、言葉づかいなどが大変研究されているもので、これを映像化するには、言葉から映像におきかえることが必要でした。どこかの時点で言葉を頭から追い出して映像にしなければならないという難しさがあるんです。こういったものには3つの要素が不可欠で、それは、筋と役と雰囲気なんですが、今回、それは満足できたと思います。
そして、重要なシーンを撮る場合には、実際のシーンに必要な長さの演技をやってもらって、役者がエネルギーをその場面につぎ込むようにしました。そういう場合、何回かテイクをとっても、だんだん役者のエネルギーが低下してくので、結局最初のテイクが良いということがよくあります。
― キャスティングはご自身でされたのですか?
ヴァルニエ:ええ。主役の刑事を演じているジョゼ・ガルシアは、もともと喜劇の人で、TVのコメディやトークショーにでていたのです。
映画のコメディにでたのですが、彼自身が別の役をやりたいという時期でした。体型もかわってきて、いかにもドラマチックなものができるような内面を兼ね備えた年齢にもなってきました。
それに、コミックに出ていた役者というのはドラマチックな演技ができるものなのです。というのは、人を笑わせるということは、人を感動させたり泣かせたりということより
難しいことだからなんです。ですから、喜劇をできる役者は悲劇もできるのです。彼のシリアスな役者としての才能は、私が発見したというよりもともと才能があったということです。現在40歳で、素晴らしい味を出しています。
― 刑事の友人の役にルカ・ベルボーが出ていますが、彼は監督もしている人ですね。
ヴァルニエ:ルカ・ベルボーはとても早くから俳優のキャリアを始め、たぶん、16か17歳ぐらいで、クロード・シャブロルの2作品に出ました。しかしその後はあまり役がなく成功しない時期があって、その後、彼は自分の役を自分で書いて作ろうと思い、シナリオを書いて、監督もして俳優もするということをしました。彼は映画監督としても大変よい作品を作っていますし、才能があります。
5年前に彼は一度に3本の映画を撮ったんです。1本目は感情的なメロドラマ。もうひとつは刑事もの。もうひとつはコメディなんですが、その3つの中で出てくる役者がみな同じというものでした。それぞれは独立した映画ですが、それはすごく興味深いものでした。私はルカのことは大好きで、とてもよい俳優であると同時に素晴らしい人格です。
この映画の彼の役は、慎み深くおとなしい人柄ですが、実際の人柄もそのように慎み深い人なんです。
― そして広場で手紙を読み上げる不思議な個性の男にオリヴィエ・グルメが出演しています。彼はどんな役者でしょうか?
ヴァルニエ:オリヴィエ・グルメは、映画に出演している若手女優マリー・ジランやルカ・ベルボーと同じベルギー人で、彼らと同様にパリで暮らしています。グルメのことはダルデンヌ兄弟の映画に出ているのを見て、私は彼らを 発見しました。ダルデンヌ兄弟は、二度カンヌでパルムドールを受賞しているベルギーの監督ですね。グルメは役者として本当に素晴らしい人で、いくつもの映画で、ちがう役、ちがうタイプ、ちがう体ででてきます。今回の役はとても難しい役で、パリの小さな広場で、毎日、アナウンスのようなものを読み上げるというのは、現代のパリで考えるととても変なことなのですが、この変な役をやるために才能のある俳優が必要でした。ですから、私はこの役の俳優には、すぐにオリヴィエ・グルメを考えました。
― 実際にポンビドーセンターの前で、ああやってアナウンスを読み上げる人が今いるのですか?
ヴァルニエ:いないんです。小説の中のフィクションです。いかにも本当らしくするために、パントマイムの人やものまねをする芸術家など、あの変にいそうな芸術をやっている人たちを配置しました。
― この映画の中では、パリの古いところと新しいところが一緒になっていますね。
ヴァルニエ:今回の話を受けた時点で、現代のパリを撮りたいという希望がありました。パリは繊細な町であり、映画にも一番登場する町です。パリでは毎日なんらかの形での撮影が最低10カ所でおこなわれていますが、それらは決まりきったイメージ、ロンドンといえばビッグベン、ギリシアといえばアクアポリス、そしてパリというとエッフェル塔というあまりにも短絡的なイメージばかりです。それ以外のパリ、いつも動いている現代のパリを今回はとりたいと思いました。というのは、この話を伝統的なパリのイメージで撮ったのでは、話のリアリティがなくなるだろうと思ったのです。
私の挑戦としては、今までのとりかたではないパリがどうやって撮れるかで、文化遺産的なものはみなとっぱらってしまっています。つまりエッフェル塔も映さず、そういったものを中心にしないパリです。
― 現代をあらわすには、パリのどんな場所で撮影をしたのですか?
ヴァルニエ:撮影は実際に生きている現代のパリを背景にしたのです。そこで、まずパリの東側にミッテランが作ったパリの国立新図書館、そしてアダムスベルグのアパルトマンはパリの西側のセーヌに面したところでちょっと入ったところ、ここは70年代から80年代に建てられた建築が多いところです。そういう場所を使いました。パリな毎日、生きて動いている町で、日々、モダンになっていっています。そういう町としてのパリを撮れたのではと思います。今回の映画では伝染病におかされ、おののいているパリという条件でした。恐れ、心配、恐怖をどう表すか。映画では恐怖を描くというのは、夜、雨、きしむ音、影などで恐怖を表します。
ですからこそ、私は今回、恐怖の場所を昼間の場所、開けた場所でとっています。というのは、この恐怖はヴィールスという、まだ目に見えない、神秘化しないものによって起こっている、現代の恐怖なのです。
― 監督ご自身とのパリの町との関わりは?
ヴァルニエ:私は5歳からずっとパリに住んでいます。パリは地区によって建築様式にちがいがあり、様々な表情を持っています。今回の映画の中では、どこを見せたいというよりも、パリ全体として捉えています。というのはパリというのは、時代によって小さなパリから大きなパリにひろがっていって、パリそのものが現在にいたる歴史を持っています。
― 撮影の時期は?
ヴァルニエ:1年前の春の終わりから夏のはじめにかけて撮影しました。
― カーチェイスもありました。
ヴァルニエ:ええ、カーチェイスは初めての撮影で、技術的な難しさはあって、ストリーボードをきちんと作って、技術スタッフと打ち合わせをよくして望みました。楽しい経験でしたよ。
― 最後に、監督にとって、映画を作るというのはどういうことでしょうか?
ヴァルニエ:この映画では、今回私は映画の重要なジャンルという刑事ものに挑戦しました。ですからやりたかったんです。そして、これまでは歴史を通じて物語を語りましたが、今回は現代を語りたいと思ったのです。
より大きく映画というものを考えると、私が映画監督として映画を作ることは、私にとってまずとても単純に仕事で、それが天職だと思います。私はこの仕事に情熱をもって臨んでいます。そして仕事に情熱があると、私生活と職業生活をわけて考えられないということがあると思いますが、私にとっては、映画が人生そのものになっています。自分の人生を映画の中にすべて捧げているのです。
― 来日すぐのご多忙なスケジュールの中、ありがとうございました。
(2007年3月17日 東京赤坂にて インタビューと文:山之内優子)
レジス・ヴァルニエ
1948年生まれ。1992年『インドシナ』(カトリーヌ・ドヌーヴ主演)でアカデミー外国語映画賞。ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞。『悲しみのヴァイオリン』(1986年)、『フランスの女』(1995年)、『イースト/ウェスト 遥かなる祖国』(2000年)など、現代史を舞台にしたスケールの大きな大河小説のような映画づくりに定評がある。
【作品詳細】
『逃げろ、いつか戻れ』 Pars vite et reviens tard
邦題『サイン・オブ・デス』として、2008年1月9日DVD発売予定
http://www.albatros-film.com/title.phtml?route=&titleid=607
●解説
原作は、フランスの新潮流ミステリーの旗手フレッド・ヴァルガスの同名小説。考古学者で中世の専門家でもある小説家が、現代の都市を襲う感染症の恐怖を描きだし、フランスでベストセラーとなった。
歴史大河ロマンを得意とするヴァルニエ監督は、この原作をもとに、俳優にフランス随一の喜劇役者、ジョゼ・ガルシアなど映画界で活躍する個性派を揃え、監督自ら、「筋、役、雰囲気」の3拍子がそろったという見応えある壮大なサスペンス・ホラーを仕上げた。
●ストーリー
現代のパリ。広場ではその日に投函された手紙を読み上げる男が、不思議なメッセージを読み上げている。そして、パリのアバルトマンの扉にはあやしげな数字が残され、ペストを思わせる黒い死体が次々に発見されていく。パリ警察署の警視、アダムスベルグが捜査に乗り出す。あやしげな数字は中世のペスト除けの呪文であることが判明する…。
●スタッフ
監督/レジス・ヴァルニエ 製作/シリル・コルボー=ジュスタン、ジャン=バチスト・デュポン 脚本/ジュリアン・ラプノー、アリアーヌ・フェール、レジス・ヴァルニエ、ローランス・ショー、アリエット・マラン 撮影/ローラン・ダイヤン 原作者/フレッド・ヴァルガス 出演/ジョゼ・ガルシア、マリー・ジラン、ミシェル・セロー、オリヴィエ・グルメ、リュカ・ベルヴォー、リン・ダン・ファン、ニコラ・カザール