<CES2008:日本ビクター> プライベートショーで気を吐く、ビクターの北米モデル群
■まもなく発売される世界最薄の42型液晶テレビ
ビクター(JVC)は、CESと同じくしてラスベガス内のホテルでプライベートショーを開くことが慣例となっている(CESでの展示はなし)。今年の会場はシーザーズパレス・ホテルのボールルームを貸し切って開催された。すでにHDDビデオカメラ「Everio」の新モデルについては、会田肇氏のレポートがある(関連記事1)(関連記事2)ので割愛させていただき、そのほかの注目機についてレポートしていこう。
まずはテレビ関係から。CESでディスプレイメーカー各社が超薄型タイプを発表しているのと同じく、ビクターもウルトラスリム液晶テレビ「LT-42SL89」と「LT-46SL89」の2モデル(42型と46型)を発表した。いずれもフルHDタイプで最薄部39mmと世界最薄を謳っている。各社ともデバイス(プラズマか液晶か)や画面インチサイズの違いで世界最薄を掲げるため、何をもって世界最薄かが分かりにくいが、少なくともビクターモデルはまもなく発売される“商品である”点がいちばん大きい。欧州で今春、北米と日本では今夏を目標に市場投入していく。北米ではオーディオビジュアルのプロショップが取り扱う、高付加価値ブランド「PROCISION」で販売していくという。
■テレビにiPodドックがついた「Tele Dock」
ありそうでなかったテレビが「Tele Dock」。液晶テレビの前面下部に、iPodドックを装備したアイデア商品である。iPod文化の進んだ北米だけで成立する商品ということで、日本発売の予定はない。サイズラインナップは32型(720p)、42型(1080p)、47型(1080p)、52型(1080p)の4モデル。iPodの操作もテレビ画面のメニューおよびテレビリモコンで行える。「スタイリッシュドロップダウンドア」というネーミングで、iPodドック未使用時はテレビに収納できるようになっている。
再生はiPodの音楽はもちろん、iPodビデオの映像再生をテレビ側で行うことができる。実際のiPodビデオの解像度では、もちろん高画質は望めないのだが、47型で再生したデモではそれほど見られない映像ではなかった。もう少し解像感を得るために「ミニモード」という画面の縮小機能も搭載している。再生メニューも多彩で、iPod内の静止画を使ったスライドショーは、同じくiPod内の音楽をBGMに使って行うことができる。またテレビ放送のスポーツ中継を見ながら、音声をiPod内のお気に入りの曲にすることも可能で、北米のホームパーティなどで、野球などのスポーツのスコアだけを写しながらというシーンに最適だという(JVCの説明)。
■今度はiPodドックが2つもついたデュアルデザインだ
次なるiPodサウンドシステムも変わりもの。「NX-PN7」はなんとiPodドックを2つも装備したデュアルデザインとなっている。しかもiPhone(北米のiPodケータイ電話)にも対応している。北米だけで2,000万台以上が出荷されたiPodシリーズはすでに2台目需要も生み出しており、このような商品企画が生まれた。FM/AMチューナー内蔵、iPodビデオ出力にも対応している。
「2台挿せたら何ができるの?」という素朴な疑問も生まれる。答えは「2台連携は何もできない」。使い勝手としては「充電用途」が最も大きく、つぎに「単なるiPodスタンド」を使うというシンプルながら、2台以上のiPodユーザーのニーズを捉えている。「左でiPodの音楽再生をしながら、右でiPhoneの充電をする」、「左が音楽用、右がビデオ用」、「左がご主人用、右が奥様用」などなど。これも極度に深化したiPod文化の生んだライフスタイルなのかもしれない。もちろん日本発売はない。日本へ平行輸入した場合は電圧をクリアした上でドック部は使えるが、当然搭載のFMチューナーは使用不可能である。
■アメリカ人が言った「Front Surround」
意外で興味深かったのは、JVCのプレスカンファレンスで北米ビクターの代表が、「TH-F3」のモデル紹介において「Front Surround」という解説を行ったこと(もちろん英語で)。というのも「フロントサラウンド」は日本人が作った造語(和製英語)だ。正確にはパイオニアのホームシアターシステムが商品機能として使ったのが最初だが、それはまさしくサラウンドスピーカーを前に持ってきただけの仕様だった。昔の「Walkman」じゃないが、無理を通せば言葉として新しい意味を持つことが現実にわかった瞬間だった。
いずれにしてもTH-F3は、アンプ内蔵の4.1chホームシアターシステムで、4ch分をフロントスピーカーのペア上下で受け持つ、まさしくフロントサラウンドである。HDMIのCECコントロール機能、1080pアップコンバート機能などを装備する。ビクターの北米オーディオシステム(ミニコン系)はいずれもUSB入力を持ち、iPodやUSBオーディオに対応しているという。iPodの普及の影響はそれほどなのである。
■出そうで出ないBDプレーヤーから映像が出た!
BD陣営でディスクを生産供給する素養もありながら、なかなかBD機を発売しないビクターだが、やはり高級「PROCISION」ブランドのコーナーでBDプレーヤーの最新試作機が参考出品されていた。しかもプレーヤーからの映像再生を行っているので、モックアップではない。そろそろBDプレーヤー1号機が登場するかもしれない。隣に同一デザイン仕様のAVレシーバーが並ぶが、こちらはモックアップであった。また、試聴室を構えてフルHDプロジェクターのDLA-HD100のデモも行われていた。
(AVレビュー編集部 永井)
ビクター(JVC)は、CESと同じくしてラスベガス内のホテルでプライベートショーを開くことが慣例となっている(CESでの展示はなし)。今年の会場はシーザーズパレス・ホテルのボールルームを貸し切って開催された。すでにHDDビデオカメラ「Everio」の新モデルについては、会田肇氏のレポートがある(関連記事1)(関連記事2)ので割愛させていただき、そのほかの注目機についてレポートしていこう。
まずはテレビ関係から。CESでディスプレイメーカー各社が超薄型タイプを発表しているのと同じく、ビクターもウルトラスリム液晶テレビ「LT-42SL89」と「LT-46SL89」の2モデル(42型と46型)を発表した。いずれもフルHDタイプで最薄部39mmと世界最薄を謳っている。各社ともデバイス(プラズマか液晶か)や画面インチサイズの違いで世界最薄を掲げるため、何をもって世界最薄かが分かりにくいが、少なくともビクターモデルはまもなく発売される“商品である”点がいちばん大きい。欧州で今春、北米と日本では今夏を目標に市場投入していく。北米ではオーディオビジュアルのプロショップが取り扱う、高付加価値ブランド「PROCISION」で販売していくという。
■テレビにiPodドックがついた「Tele Dock」
ありそうでなかったテレビが「Tele Dock」。液晶テレビの前面下部に、iPodドックを装備したアイデア商品である。iPod文化の進んだ北米だけで成立する商品ということで、日本発売の予定はない。サイズラインナップは32型(720p)、42型(1080p)、47型(1080p)、52型(1080p)の4モデル。iPodの操作もテレビ画面のメニューおよびテレビリモコンで行える。「スタイリッシュドロップダウンドア」というネーミングで、iPodドック未使用時はテレビに収納できるようになっている。
再生はiPodの音楽はもちろん、iPodビデオの映像再生をテレビ側で行うことができる。実際のiPodビデオの解像度では、もちろん高画質は望めないのだが、47型で再生したデモではそれほど見られない映像ではなかった。もう少し解像感を得るために「ミニモード」という画面の縮小機能も搭載している。再生メニューも多彩で、iPod内の静止画を使ったスライドショーは、同じくiPod内の音楽をBGMに使って行うことができる。またテレビ放送のスポーツ中継を見ながら、音声をiPod内のお気に入りの曲にすることも可能で、北米のホームパーティなどで、野球などのスポーツのスコアだけを写しながらというシーンに最適だという(JVCの説明)。
■今度はiPodドックが2つもついたデュアルデザインだ
次なるiPodサウンドシステムも変わりもの。「NX-PN7」はなんとiPodドックを2つも装備したデュアルデザインとなっている。しかもiPhone(北米のiPodケータイ電話)にも対応している。北米だけで2,000万台以上が出荷されたiPodシリーズはすでに2台目需要も生み出しており、このような商品企画が生まれた。FM/AMチューナー内蔵、iPodビデオ出力にも対応している。
「2台挿せたら何ができるの?」という素朴な疑問も生まれる。答えは「2台連携は何もできない」。使い勝手としては「充電用途」が最も大きく、つぎに「単なるiPodスタンド」を使うというシンプルながら、2台以上のiPodユーザーのニーズを捉えている。「左でiPodの音楽再生をしながら、右でiPhoneの充電をする」、「左が音楽用、右がビデオ用」、「左がご主人用、右が奥様用」などなど。これも極度に深化したiPod文化の生んだライフスタイルなのかもしれない。もちろん日本発売はない。日本へ平行輸入した場合は電圧をクリアした上でドック部は使えるが、当然搭載のFMチューナーは使用不可能である。
■アメリカ人が言った「Front Surround」
意外で興味深かったのは、JVCのプレスカンファレンスで北米ビクターの代表が、「TH-F3」のモデル紹介において「Front Surround」という解説を行ったこと(もちろん英語で)。というのも「フロントサラウンド」は日本人が作った造語(和製英語)だ。正確にはパイオニアのホームシアターシステムが商品機能として使ったのが最初だが、それはまさしくサラウンドスピーカーを前に持ってきただけの仕様だった。昔の「Walkman」じゃないが、無理を通せば言葉として新しい意味を持つことが現実にわかった瞬間だった。
いずれにしてもTH-F3は、アンプ内蔵の4.1chホームシアターシステムで、4ch分をフロントスピーカーのペア上下で受け持つ、まさしくフロントサラウンドである。HDMIのCECコントロール機能、1080pアップコンバート機能などを装備する。ビクターの北米オーディオシステム(ミニコン系)はいずれもUSB入力を持ち、iPodやUSBオーディオに対応しているという。iPodの普及の影響はそれほどなのである。
■出そうで出ないBDプレーヤーから映像が出た!
BD陣営でディスクを生産供給する素養もありながら、なかなかBD機を発売しないビクターだが、やはり高級「PROCISION」ブランドのコーナーでBDプレーヤーの最新試作機が参考出品されていた。しかもプレーヤーからの映像再生を行っているので、モックアップではない。そろそろBDプレーヤー1号機が登場するかもしれない。隣に同一デザイン仕様のAVレシーバーが並ぶが、こちらはモックアップであった。また、試聴室を構えてフルHDプロジェクターのDLA-HD100のデモも行われていた。
(AVレビュー編集部 永井)