ダビング10/iPodへの補償金は約8割が「不要」 − JEITAがアンケート結果発表
先日のニュースでお伝えしたとおり、文化庁は今月8日、私的録音・録補償金制度の改正案を提出し、その内容が波紋を呼んでいる。
文化庁は「私的録音・録画補償金制度」について、iPodをはじめとした携帯オーディオプレーヤーによる「音楽CDからの録音」と、地上デジタル放送など「無料デジタル放送からの録画」について、新たに補償金制度の支払いが必要と主張。
6月2日からの運用開始が予定されていた「ダビング10」についても、コンテンツ権利者サイドから「採用に関する一連の経緯等において、コンテンツ権利者の要請が反映された上で策定されたものではない」という理由から、新たにデジタル放送の録画機や、録画機能を組み込んだテレビについても対象とすることが改正案に含まれている。補償金の支払いが決まった場合に誰が負担するかなど、この問題に関する議論は白熱しており、ダビング10の開始遅れがほぼ確実になった大きな原因に、この補償金制度の問題がある。
このような状況を受け、社団法人 電子情報技術産業協会(以下JEITA)は、私的録音補償金、私的録画補償金に関するアンケート調査を、それぞれ独立して行った。調査の目的としてJEITAは、「一般消費者の意識、私的録音・録画の録音源等の実体を把握」することを挙げている。
どちらのアンケートも、DAPやデジタルレコーダーを所有している12歳以上のユーザーを対象にし、集計対象は先着500名とした。私的録音と私的録画の回答者は重ならないように配慮したという。
■レコーダーの録画用途は約7割がタイムシフト
私的録画に関するアンケート調査では、テレビ放送の録画用途を質問。それによると、「放送時間に見られないので、後で見るため」と答えた方が55.6%、「見たい番組が重複したため」が13.9%で、タイムシフトとしての利用が約70%を占めるとJEITAは指摘。アーカイブ用途のために行う録画は16.1%と低かった。
また、「録画しそびれた番組がパッケージソフトとして販売された際、購入したことがあるか」という質問については、83.6%が「ない」と回答。「大半の回答者にとっては、録画しそびれたことが、即パッケージ商品の購買動機に繋がっているわけではない」とした。
さらに、コピーワンスやダビング10などの概要について説明した上で、「コピー制限が課された状況で、引き続き権利者にアナログ放送時代と同様に私的録画補償金を支払うことについてどう思うか」という質問に対しては、「自由に複製できないので補償金は払う必要がない」が78.4%、「補償金を引き続き支払うべきだと思う」が21.6%と、約8割が補償金を不要と回答した。
■「音楽CD販売減は私的録音の増加だけが理由ではない」
私的録音に関する調査結果も、私的録画のものと同様の傾向を示した。
まずJEITAは、用途やメディアごとに、価格に私的録音補償金が含まれていると思うかを質問。レンタル店でのレンタル料については61%が、CDの代金については68.4%が、音楽配信の配信量については69.2%が、「私的録音補償金が含まれていると思う」と回答。JEITAは「私的録音の対価が、支払う対価の中に含まれているか否かという点では、3つの音源を同等に考えていることが伺える」と指摘した。
さらに質問は核心に迫り、「音楽CDに対して、購入代金を支払ったり、レンタル料金を支払っているのに、さらにデジタル携帯音楽オーディオプレーヤーに補償金をかけるべきと思いますか」という問いには、「補償金をかけるべきではないと思う」が85%、「補償金をかけるべきだと思う」が15%となり、補償金不要との回答が8割以上を占めた。
また、音楽CDの購入枚数についても質問。購入枚数が「変わらない」との回答が48.8%とほぼ半数だったが、「減った」「とても減った」との回答も合計で41.6%となった。購入枚数が減った理由については、「レンタルショップから借りたCDからの録画増えた」がトップで21.1%、次いで「購入したい音楽CDが減ってきた」が20%、「CD購入に使えるお金が減ったから」が15.5%で続いた。これについてJEITAは、「購入枚数の減少は私的録音の増加だけが問題ではない」と結論づけている。
(Phile-web編集部)
文化庁は「私的録音・録画補償金制度」について、iPodをはじめとした携帯オーディオプレーヤーによる「音楽CDからの録音」と、地上デジタル放送など「無料デジタル放送からの録画」について、新たに補償金制度の支払いが必要と主張。
6月2日からの運用開始が予定されていた「ダビング10」についても、コンテンツ権利者サイドから「採用に関する一連の経緯等において、コンテンツ権利者の要請が反映された上で策定されたものではない」という理由から、新たにデジタル放送の録画機や、録画機能を組み込んだテレビについても対象とすることが改正案に含まれている。補償金の支払いが決まった場合に誰が負担するかなど、この問題に関する議論は白熱しており、ダビング10の開始遅れがほぼ確実になった大きな原因に、この補償金制度の問題がある。
このような状況を受け、社団法人 電子情報技術産業協会(以下JEITA)は、私的録音補償金、私的録画補償金に関するアンケート調査を、それぞれ独立して行った。調査の目的としてJEITAは、「一般消費者の意識、私的録音・録画の録音源等の実体を把握」することを挙げている。
どちらのアンケートも、DAPやデジタルレコーダーを所有している12歳以上のユーザーを対象にし、集計対象は先着500名とした。私的録音と私的録画の回答者は重ならないように配慮したという。
■レコーダーの録画用途は約7割がタイムシフト
私的録画に関するアンケート調査では、テレビ放送の録画用途を質問。それによると、「放送時間に見られないので、後で見るため」と答えた方が55.6%、「見たい番組が重複したため」が13.9%で、タイムシフトとしての利用が約70%を占めるとJEITAは指摘。アーカイブ用途のために行う録画は16.1%と低かった。
また、「録画しそびれた番組がパッケージソフトとして販売された際、購入したことがあるか」という質問については、83.6%が「ない」と回答。「大半の回答者にとっては、録画しそびれたことが、即パッケージ商品の購買動機に繋がっているわけではない」とした。
さらに、コピーワンスやダビング10などの概要について説明した上で、「コピー制限が課された状況で、引き続き権利者にアナログ放送時代と同様に私的録画補償金を支払うことについてどう思うか」という質問に対しては、「自由に複製できないので補償金は払う必要がない」が78.4%、「補償金を引き続き支払うべきだと思う」が21.6%と、約8割が補償金を不要と回答した。
■「音楽CD販売減は私的録音の増加だけが理由ではない」
私的録音に関する調査結果も、私的録画のものと同様の傾向を示した。
まずJEITAは、用途やメディアごとに、価格に私的録音補償金が含まれていると思うかを質問。レンタル店でのレンタル料については61%が、CDの代金については68.4%が、音楽配信の配信量については69.2%が、「私的録音補償金が含まれていると思う」と回答。JEITAは「私的録音の対価が、支払う対価の中に含まれているか否かという点では、3つの音源を同等に考えていることが伺える」と指摘した。
さらに質問は核心に迫り、「音楽CDに対して、購入代金を支払ったり、レンタル料金を支払っているのに、さらにデジタル携帯音楽オーディオプレーヤーに補償金をかけるべきと思いますか」という問いには、「補償金をかけるべきではないと思う」が85%、「補償金をかけるべきだと思う」が15%となり、補償金不要との回答が8割以上を占めた。
また、音楽CDの購入枚数についても質問。購入枚数が「変わらない」との回答が48.8%とほぼ半数だったが、「減った」「とても減った」との回答も合計で41.6%となった。購入枚数が減った理由については、「レンタルショップから借りたCDからの録画増えた」がトップで21.1%、次いで「購入したい音楽CDが減ってきた」が20%、「CD購入に使えるお金が減ったから」が15.5%で続いた。これについてJEITAは、「購入枚数の減少は私的録音の増加だけが問題ではない」と結論づけている。
(Phile-web編集部)